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②『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第3章〜


前回の振り返り


囮にされ、仲間から見捨てられた少年アスラ。
しかし死に物狂いで逃げ延びた先で、思いもよらぬ力──《追加ボーナス》の真価が姿を現した。
天使ミリアとの契約、薬草採取の依頼から得られた回復の魔石。
最弱と嘲られてきた彼の一歩は、確かに新しい道を踏み出していた。

次なる挑戦は「初めての討伐」。
目の前に立ちはだかるのは、下級モンスター・ゴブリン。
逃げるか、立ち向かうか──アスラの答えはひとつだった。


幕間 子狼と黒銀の短剣


薬草採取を終え、夕暮れの森を抜けようとしていたアスラ。
その時、かすかな鳴き声が耳に届いた。

「……?」

茂みをかき分けると、そこにいたのは一匹の子狼だった。
白銀の毛並みを震わせ、傷ついた足をかばいながら、怯えた瞳でアスラを見上げている。
その瞳は琥珀色に澄み、どこか強い意志を秘めていた。

「……大丈夫だ。俺は敵じゃない」

アスラが短剣を下げた瞬間、淡い光が舞い上がり、目の前にカードが浮かんだ。
そこに描かれていたのは、黒銀に輝く短剣と──子狼の姿。

《追加ボーナス》

文字を読み上げると、アスラの手に握られた短剣が黒銀に輝き、
同時に子狼の傷は癒え、力を取り戻したように駆け寄ってきた。

「……これが、俺の力……」

子狼は尻尾を振り、嬉しそうにアスラの足元へ身を寄せる。
アスラはその頭を撫で、静かに言った。

「お前は今日から、俺の仲間だ──リュカ」

ミリアが背後から囁く。
「主君……仲間を得ることもまた、あなたの《追加ボーナス》の力です」

黒銀の短剣を強く握りしめるアスラ。
最弱と呼ばれた彼に、武器と仲間が与えられた。

次なる挑戦は、初めての討伐。
仲間と共に挑むその時が、いま近づいている。


第3章 初めての戦闘

森は湿った空気を湛えていた。
鬱蒼とした木々の間からわずかに差し込む陽光が、地面にまだら模様を描いている。
足元では落ち葉が湿り気を含み、踏みしめるたびに小さな音を立てた。

「……依頼はゴブリン討伐か」

アスラは小さく呟き、腰の短剣に指を触れた。
薬草採取で手に入れた黒銀の刃──《追加ボーナス》によって与えられたものだ。
刃先は鈍く光り、握った感触は不思議なほど手に馴染む。

その隣を、ふわりと銀髪が揺れた。
ミリアが翼を畳み、柔らかな笑みを向けている。

「主君、恐れることはありません。あなたはもう“荷物持ち”ではないのですから」
「……分かってる」

足元では子狼リュカが低く唸り声を上げ、森の奥を見据えていた。
耳がぴんと立ち、全身が緊張で硬直している。

やがて、木陰から気配がにじむ。
濁った緑色の皮膚。小柄な体に不釣り合いな錆びた刃。
ゴブリンが、血走った目でアスラを睨んでいた。


「ギギッ!」

突如として飛びかかる。
錆びた短剣が振り下ろされ、金属音が弾けた。

「くっ……!」

アスラは咄嗟に黒銀の短剣で受け止める。
衝撃が腕に響き、膝が揺らぐ。
だが、逃げるという選択肢は頭をかすめなかった。

(俺は……もう囮じゃない!)

踏み込み、体をひねりながら刃を弾き返す。
リュカが横から飛びかかり、ゴブリンの腕に噛みついた。
「ギャッ!」
隙を突いて、アスラは渾身の力で喉元を突き刺した。

錆びた武器が落ち、ゴブリンの体が崩れ落ちる。
血の匂いが鼻を刺す。
荒い息をつきながらも、アスラは短剣を構えたまま立ち尽くしていた。

「……やったのか」

その瞬間、空気が震えた。


光が舞い、一枚のカードが宙に浮かぶ。
描かれていたのは一本の弓と、小さな炎のような紋章。

「……まただ」
「主君、声に出して」ミリアが促す。

アスラはカードを手に取り、刻まれた文字を読み上げた。

眩い閃光が走り、次の瞬間、彼の手には軽やかな弓が握られていた。
さらに茂みが揺れ、小さな火の玉がふわりと浮かび上がる。

「……火精霊?」

炎の中から声が聞こえた。
「ボクはフィル。契約は君と、だね」

小さな精霊がくるくると宙を舞い、アスラの肩にちょこんと乗った。
その光景にアスラは目を見張った。


武器だけではない。仲間すら呼び寄せる。
《追加ボーナス》──その力は、想像を超えていた。



討伐証を持ってギルドへ戻ると、広間がざわめいた。
腰の短剣、背に背負った弓、肩に乗る火精霊、足元の子狼。
最弱と笑われた男の姿ではなかった。

リナが驚きに息を呑む。
「アスラさん……まさか本当に討伐を」
「……依頼完了だ」

その声は震えていなかった。

周囲の冒険者たちがざわめく。
「嘘だろ、あの最弱が……?」
「武器に、獣に……精霊まで……」

誰もが信じられないという顔をしている。
だが、事実はそこにあった。

アスラは拳を握りしめた。
胸の奥で何かが燃え上がる。

(俺は……まだ始めたばかりだ。最弱の名は、必ず覆す)

その決意の光は、もはや誰にも笑い飛ばせるものではなかった。




あとがき(第3章)


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

第3章では、アスラが初めて「戦闘」を経験しました。
かつては囮にされ、逃げるしかなかった彼が──今回は逃げずに立ち向かい、
見事ゴブリンを討ち取ったのです。

さらに《追加ボーナス》は武器だけでなく、まさかの仲間=火精霊フィルまで与えるという展開に。
“最弱”と呼ばれた力の本当の姿が、少しずつ見えてきましたね。

ギルドでも噂は広まり始めています。
笑っていた者たちが驚き始め、アスラを見る目が変わっていく……。
次章以降、その変化はさらに大きくなっていきます。

次回は 第4章「広がる噂」。
最弱と呼ばれた冒険者の名が、街中に広がっていく時──彼に待ち受けるのは賞賛か、それとも新たな妬みか。

どうぞ楽しみにしていてください!

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