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③『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第4章〜

前回の振り返り


薬草採取の依頼で《追加ボーナス》の力を実感したアスラ。
そして出会った仲間──子狼リュカ、手に入れた黒銀の短剣。
初めて挑んだゴブリン討伐では、逃げずに立ち向かい、火精霊フィルまでも仲間に加えることができた。
最弱と呼ばれた少年の周囲で、確かに何かが変わり始めていた。

第4章 広がる噂


ギルド「銀月の角笛」の大扉を押し開けると、酒場を思わせる熱気とざわめきが押し寄せた。
昼間だというのに酔客のように大声を上げる者、掲示板の前で小競り合いをする者。
そのすべての視線が、一瞬にしてアスラに集まった。

腰には黒銀の短剣。
背には新しく得た弓。
肩に揺らめく小さな炎──火精霊フィル。
そして足元では琥珀の瞳をした子狼リュカが静かに寄り添っている。

「……あれが、本当に“最弱”か?」
「嘘だろ……討伐どころか精霊まで……」
「いやいや、見間違いだろ。荷物持ちのはずだ」

ざわめきは広がり、やがて大きな波紋となっていった。

受付に近づくと、リナが目を丸くして立ち上がった。
「アスラさん……! 依頼は、完了したんですか?」
アスラは静かに、討伐証を差し出す。
「……ゴブリン討伐、完了だ」

リナは震える手で札を受け取り、思わず小さな声を漏らした。
「すごい……本当に」

そのやり取りを見ていた冒険者たちの表情は複雑だった。
驚き、戸惑い、そしてわずかな恐れ。
昨日まで「最弱」と笑っていた相手が、一夜にして確かな力を示したのだから。



奥の席で酒をあおっていた大柄な男が立ち上がった。
粗野な声が広間に響く。

「おい、最弱! 何をしたって言うんだ?」
アスラは視線を向ける。──ガレス。
かつて一緒に潜ったダンジョンで、真っ先に自分を囮にした男。

隣には魔法使いのセルナ、斧使いのドランも座っていた。
三人とも、あの日と変わらぬ薄ら笑いを浮かべている。

「まさか自分の力で倒せたなんて思ってないだろ?」セルナが鼻で笑う。
「どうせ誰かに助けてもらったんだろう」ドランが酒杯を傾けた。

広間の空気が一瞬にして冷たくなる。
周囲の冒険者たちは噂を耳にしていたからだ。
アスラが仲間に見捨てられ、囮にされたという話は、既にギルド中に広がっていた。

「……俺は、もう囮じゃない」

アスラは静かに言い放った。
腰の短剣がかすかに光を返す。
リュカが低く唸り、フィルが肩で炎を揺らした。
その光景だけで、彼の言葉に嘘はないことを証明していた。




噂は一日で街に広がった。
最弱が討伐を果たした。
最弱が武器を手に入れた。
最弱が精霊と契約した──。

道行く商人でさえひそひそと囁くほどだった。
アスラはまだ“最強”からは程遠い。
だが、最弱と嘲る声はもはやただの笑い話ではなくなっていた。

夜、宿の部屋で窓辺に立つアスラ。
星々が瞬き、遠くの森が影のように横たわっている。
背後からミリアの声が柔らかく響いた。

「主君……噂は広がりました。けれど、それは祝福だけではなく、妬みや敵意も呼ぶでしょう」
アスラは頷く。
「分かってる。だけど……これが俺の始まりだ」

握る短剣は、まだ頼りない輝きしか放たない。
だが、その光は確かに彼自身のものだった。




あとがき(第4章)


お読みいただき、ありがとうございます!

第4章では、アスラの力がギルドで噂となり、彼を取り巻く人々の目が変わり始めました。
「最弱」と笑っていた者が「驚き」に変わり、そして「恐れ」と「妬み」にも変わっていく……。
力を示すということは、それだけで周囲を動かしてしまうのですね。

次章では、かつての仲間たちとの再会が物語を大きく揺さぶります。
裏切られた過去を背負いながら、アスラはどう向き合うのか。
そして《追加ボーナス》の真価は、まだほんの一部しか見えていません。

どうぞ、第5章も楽しみにしていてください。

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