ビジネスにおける価格を上げる重要性と利益構造
価格を上げられない事業は止まる
こんにちは。
今回はビジネスを運営する方々が意外なほどに単価を上げれらないことに関しての気付きと、価格を上げる重要性について書いてみます。
販売者やサービス提供者たちは、自信の商品やサービスに対して価格を上げることがなぜか苦手です。
いままでその価格で販売していた実績や、その価格だから売れている。などの概念があり価格を上げること自体に非常に強い抵抗感を感じるようです
偉そうなことを言っておりますが、以前の私もそうでした。
原価が上がっている。
広告費も上がっている。
人件費も上がっている。
このようにどうしても価格を上げなければならない局面や、もしくは頭では分かっていながら、そんな時でも販売価格やサービス価格を上げるという決断ができない事業者が非常に多いと感じます。
理由ははっきりしています。
・お客さんに悪い気がする。
・ライバルより高くなったら売れなくなる気がする。
・今までその価格で売れていたので価格を変えるのが怖い。
価格を上げるという行為は、実は単なる数字変更ではありません。心理的なハードルを越える行為です。
そしてここで立ち止まってしまう事業者は多い。その結果、静かに利益を削り続けいずれ限界を迎えることも多いのです。
この記事では「価格を上げること」そのものの重要性について書きます。
特に利益が少ない事業主は参考にしてください。
なぜ事業者は価格を上げられないのか
前述したように価格を上げられない事業者は多い。
原価は上がっている。
広告費も上がっている。
人件費も上がっている。
それでも価格だけは据え置きのままで我慢する。その理由は大きく3つある。
1. 顧客への罪悪感
「値上げしたら申し訳ない」
この感情はとても自然であり真面目な事業者ほど強く感じる。
しかし、価格決定だけは感情でしてはいけない。感情が悪いわけではないが価格は構造の一部と捉えるべきなのです。
・原価
・広告費
・利益率
・キャッシュフロー
・再投資余力
こういったビジネスの構図を無視して罪悪感という感情で価格を決めれば構造が歪む。構造が歪めば、どこかに無理が出る。その無理はやがて事業全体を蝕む。
冷静に考えればわかることだが適正利益を取ることは、顧客を裏切ることではない。
むしろ、継続できなくなり今後も顧客に価値の提供ができないことの方がよほど無責任だ。
2. 競争への恐怖
「ライバルより高くなったら負ける」
これは思い込みに近いモノであることが多いです。
確かに販売数は減るかもしれないし、ECのモール販売であれば検索順位が落ちる可能性もある。
だがそれは本質的なことではない。
自信が行っているビジネスの目的は商品やサービスに対する販売数ではなく、販売したことにより利益を生み継続することです。
ライバルよりはちゃんと売れている。しかし利益が残らない。
これは勝ちではない。
販売初期段階において安くして販売実績を積むということも戦略としては理解できます。しかしながらそれは永遠に続けるものではないのです。
Amazonでの販売を例に出してみます。
Amazon販売でのガジェット系では価格競争は日常であり海外セラーが極端に安い価格で参入することは数年前から当たり前の光景であります。しかしそういった彼らの戦略に我々のような健全な事業者が付き合う必要はないのです。
価格競争の中で消えていく店舗はこの10年で何度も見てきました。
市場は常に入れ替わり、残るのは利益構造を作った事業者だけだと断言できます。
3. 売上減少への不安
「今より売れなくなるのではないか」
確かに販売単価をあげることによって、販売に対する転換率は下がる可能性があります。しかし忘れてはいけないのが価格は顧客体験を設計しているということ。
顧客からすれば安い商品に対する意識というものは無意識ではあるが「それなりのもの」という期待値の低いものになりがちです。
ここが面白いところで、実は最初から期待値が低いと少しの不満でも評価は荒れやすくなります。
理由は人間の心理的な部分に干渉することのようです。
一方で高価格商品は購入時点で期待値は上がります。そして人は自分の選択した結果を正当化したいものなのです。高い商品を買った人ほど該当商品を丁寧に扱い、その価値を見出そうとする傾向があります。
例えば高価な財布やブランド品の購入の場合。
実際に購入した後に雑に扱うだろうか。ほとんどの人がそのようなモノを雑に扱うことはしない。なんなら大事に箱まで残し、傷をつけないように使い大切に保管する。
このようになることが大半であるように思います。
実のところ、価格というものは単なる数字ではない。ということ。購入した後に「どう扱われる商品か」を決める心理設計でもある。このように視点を変えてみると全然違う見方ができるはずです。
安くないと売れないは幻想
多くの事業者は言います。
「高くしたら売れなくなる」
だがそれは市場の声ではなく自分の不安の声で有ることが多い。ビジネスは感情ではなく構造で動く。価格を感情で決めれば構造は歪み構造が歪めば利益が残らない。
利益が残らなければ事業は続かない。
価格は勇気ではなく設計であるからこそ利益から逆算して決めるもので販売数ではなく、持続可能性から考えるもの。
価格を上げることは強気になることではなく事業自体を守るための判断であると考えるべきなのです。
1980円という安心
たとえば1980円で販売している商品があるとします。1980円という価格には販売者側にとって不思議な安心感があります。2000円を超えていないためか「ギリギリ2,000円未満」という心理的ライン。
事実、モール販売では3,000円以内の商品は売れやすいと言われます。確かにその価格帯は衝動買いが起きやすいです。だからこそ1980円は安全地帯のように感じます。
売れやすそう。
無難そう。
怒られなさそう。
しかしそれは売れる根拠ではなく、
販売者側の心理的な安心に過ぎません。
値上げを決意する瞬間
どうしても価格を上げざるを得ない状況はありますがそれでも多くの事業者は迷う。
できるだけ安く提供したい。
コスパが良いと思われたい。
値上げで売れなくなるのが怖い。
そしてようやく決断する。
「よし、値上げしよう」
このとき多くの人が選ぶのが1980円 → 2180円。
なぜ2180円なのか。理由は単純で大幅な値上げではないから。200円なら許されるだろう。顧客も理解してくれるだろう。
そう自分に言い聞かせるが、ここに販売者特有の思い込みがあります。
顧客の立場で考えてみてください。
2180円
2380円
2580円
体感的な差はどれほどあるでしょうか。
販売者ほど細かく価格を見ていません。むしろ顧客はもっと大きな枠で判断しています。
2,000円前後か
3,000円前後か
5,000円前後か
価格帯のゾーンで認識しているのです。
つまり、1980円と2180円はほぼ同じゾーンに属しているにもかかわらず、利益だけが中途半端に削られていく。
ここが問題です。
価格は期待値を決める
さらに重要なのはここで、価格は顧客の期待値を決めます。
1980円の商品に対する無意識の期待値。
2980円の商品に対する無意識の期待値。
人は価格から勝手にイメージを作ります。
安い=それなり
高い=良さそう
これは理屈ではなく、心理です。
そして面白いことに、同じ商品でも価格が安い方がレビューは荒れやすい傾向があります。
なぜか。
期待値が低い分、少しの不満が目立つからです。
一方、価格が高いと購入者は自分の選択を正当化しようとします。高いものを買った自分を肯定したい。だから丁寧に扱い、価値を見出そうとする。
まったく同じ商品なのに、評価の出方が変わる。価格は単なる数字ではなく体験の入口なのです。
販売者の思い込み
多くの事業者はこう考えます。
「値上げは怖い。大きな値上げは危険だから少しずつ上げよう」
しかしそれは顧客目線ではなく、販売者の不安を和らげるための調整です。
本当に考えるべきなのは、この商品はいくらなら適正な利益を確保できるか。
いくらなら再投資できるか。
いくらなら長期的に続けられるか。
価格は感情で刻むものではなく構造から逆算するものです。
私が逃した1億円
以前、私の会社で販売していた主力商品がありました。6年間で20万個売れたロングセラー商品です。当初の販売価格は2380円。
本音を言えば、もう少し上げたかった。しかしどうしてもライバルが同じ場所にいるため価格を合わせてしまうことになりました。
6年で20万個の販売
2380円 × 20万個 = 約4億7600万円。
では仮に2980円で販売していたらどうなっていたか。
2980円 × 20万個 = 約5億9600万円。
差は約1億2000万円です。
もちろん価格を上げれば転換率は変わるでしょうし販売数も同じとは言えません。しかし仮に販売数が多少減ったとしても、この差が完全に消えるとは考えにくいです。この1億2000万円は売上差で有るように見えて実は利益差です。
価格を上げるという決断をしなかった代償はあまりにも大きすぎました。
当然、法人税も加味されてくることなので、1億がそのまま手元に残るということはありません。すこし乱暴な計算ですが法人税の実効税率として30%は国に持っていかれたとしても8400万です。
もっとざっくりと半分利益が減ったとしても4200万です。
もしこの資金が手元にあったら、事業の打ち手はまったく違っていたはずです。
価格の決断は未来の選択肢を増やす行為でもあります。
売上よりも単価の影響力
多くの事業者は「売上を伸ばす」ことに集中します。最初はそれでいいです。
しかし価格を上げることは、売上を伸ばすことよりもはるかに影響力が大きい。なぜなら価格はすべてに掛け算されるからです。
広告費
在庫量
仕入れリスク
人件費
事業の余力
すべてに影響します。
価格が低いと、常に「数」を追い続けなければならない。薄利多売の図式です。このなると転換率、CPA、ライバルの出現など、なにかあればすぐにでも吹き飛ぶことにもなり得ます。
しかし
価格を高く設定し1個販売あたりの利益額が高ければ、少ない数でも成立することになります。
この違いは極めて大きい。これは身を持って体験しました。
価格を上げるということは構造を変えること
価格を上げるというのは、単なる値上げをすることだけではありません。
自身がもっているビジネスそのものの構造を変えることになります。
・数を追って販売数を増やす構造からの脱却
・価格競争から距離を取る
・顧客を選ぶ
・価値を再定義する
価格というもの自体がポジショニングそのものです。
ライバルに合わせるということは、自分のポジションを他人に決めてもらうということ。
せっかく自身が苦労して商品開発してブランディングして会社経営して、と自身の商品を自信を持って販売したとしても、「ライバルがいるから」という理由だけで価格をあわせてしまうことは非常に勿体ないことです。
価格を上げるということは、自分でポジションを決めるということです。
もちろん、ただ単に価格だけを上げればいいわけではありません。
・価値が明確であること
・商品やサービスが顧客満足度をあげることができるもの
・転換率を改善する努力をすること
当たり前ですが、これらの努力は必要です。価格を上げるには設計が必要です。設計をせずに価格を据え置くことは、さらに危険です。
数を売らなければ成立しないモデルの脆さ
数を売らなければ成立しないモデルは常に外部環境に左右されます。
広告費が少し上がる。
原材料が少し上がる。
競合が増える。
それだけで崩れます。価格が低いままでは、余裕が生まれません。価格を上げることは、耐久力を持たせることです。
価格を上げることは怖い。しかし怖いからこそ、向き合う価値があります。
価格を上げられない事業は、常に他人の基準で動きます。価格を上げられる事業は、自分の基準で動きます。その違いは、数年後に大きな差になります。
最後に
価格は売上を作る数字ではなく事業そのものの未来を作る数字です。
いま価格を上げるべきかどうか悩んでいるなら一度感情を外してみるといいです。ライバルも、お客さんへの罪悪感も、一度横に置いてみる。
そしてこの価格は、自分の事業を強くする価格なのか。価格を上げることは、勇気ではなく設計です。
その設計を避け続ける限り、事業はいつまでも他人の基準に縛られます。価格を決めるのは市場でもライバルでもありません。
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