EC業界の将来性|なぜ同じやり方が通用しなくなったのか|今までとこれから
「ちゃんとやっているのに、利益が残らない」
これを読んでいる方の多くは、そう感じているのではないでしょうか。 売上はある。広告も回している。商品ページも整えた。 でも手元に残らない。
これは努力が足りないのではなく やり方の前提が、時代と合わなくなっているのです。
私がEC業界に入ってから今までの期間で業界の環境は大きく変わりました。
何が変わったのか。
一言で言えば、市場は伸び続けている一方で運営する側にとっては年々難易度が上がっているという点です。
EC市場全体の規模だけを見れば、今も成長しています。
ニュースやレポートを見ても、ECは今後も拡大していくと言われています。
ただし実際に店舗を運営している立場から見ると、この成長を素直に実感できている店舗は決して多くありません。
売上は伸び悩んでいる
広告を回しても以前ほど成果が出ない
利益が残りづらくなっている
こうした感覚を持っている運営者は、かなり多いのではないでしょうか。
この記事では、
EC業界がこれまでどのように変化してきたのか、
そして、これからどんな視点が必要になるのか、
私自身の経験をもとに整理してみたいと思います。
私がEC業界に入った頃
私がEC業界に入った当初は今と比べると市場には余白がありました。
商品ページをきちんと作っている店舗自体が少なく、
写真のクオリティも低く、
商品説明も最低限、という状態が珍しくありませんでした。
そのため、
・ページを丁寧に作る
・訴求する
・情報を整理する
・ユーザーが不安に思う点を先回りして説明する
それだけでも、十分に売上を作ることができました。
同じレベルでやれる競合が少なく、ユーザーの選択肢も限られていたため、基本を押さえるだけで差がつきやすかったのです。
市場の拡大と同時に参入者も急増した
EC市場はその後も拡大を続けました。特に大きな転換点になったのが、2020年前後です。
コロナの影響により、実店舗での販売が難しくなったり在宅特需で多くの事業者がECに参入しました。
フリマアプリで転売をしていた。副業レベルで物販をしていた
そういった層もモール販売に移行してきた印象もあります。
参入者の数が増えたことで、ECはより身近なビジネスになりました。
そのすこしあとから競争は一気に激しくなっていきます。
モールが信用を補完していた
本来であれば誰も知らないような小規模ブランドの商品は、ユーザーから見れば不安が大きい存在です。
しかしモール販売ではそういった不安を払拭してくれる手段がありました。
ランキング
レビュー
ショップ評価
といった仕組みが、信用の代わりを果たしていた。
高額な有名メーカーの商品と並んで表示されても自社の商品が
価格は半額近く、レビュー評価も高い。
そのような条件であれば、誰も聞いたことのないOEM商品であっても、購入されやすい状況が生まれました。
この構造は多くの運営店舗が採用し、私もその恩恵をうけておりました。
時間が経つにつれ、売れている店舗のやり方はすぐに共有され、真似されるようになります。
ランキング1位
高評価レビュー
専門家監修
これらは、今では珍しい要素ではありません。
むしろ、やっていないと不安に思われる最低限の要素
と、いう位置づけになっています。
そしてどれもが普通の店舗でも容易く出来てしまうレベルのモノ。
この状態で「広告をかけて売りましょう」と言われても売上は上がっても利益があがる構造にはできるとは思いません。
以前、転売していた店舗が差別化のために「次はOEMだ」と言いながら走っていたときとまったく同じ構図です。
重要なのは、この横並びの状態でも数年前までは成立していた、という点です。
市場が伸びており参入者のレベルにはばらつきがあった
こうした要因が重なり、同じようなことをしていても、一定の売上を作ることができました。
その成功体験が、多くの店舗にとって基準になっています。
コスト構造の変化が運営を難しくしている
しかし現在は状況が変わっています。
仕入れ価格
物流費
人件費
広告費
これらはほとんどのケースで上昇しています。特にモール販売では広告の存在が無視できません。
Amazonでは、検索結果の上位に広告枠が並び、自然検索のすぐ下にも広告が表示されます。
楽天も同様に、PC・スマホともに広告枠は年々増えています。
売上を維持・拡大しようとすると、売上に対しての広告割合は許容できないレベルにまでなっている店舗は大勢おります。
売上と利益が一致しなくなってきた理由
こうした環境の中で、売上はあるが、利益が残りにくい。という状態に陥る店舗が増えています。
広告を止めれば売上が落ちる
広告を続ければ利益が薄くなる
このバランスを取ることが以前より難しくなっています。
ROASを良くするために広告運用代行なども出てきて、どうにかこうにか試行錯誤でやりくりしようと四苦八苦しています。
中には、赤字になっていないから問題ないと考えながら、実際にはほとんど余力が残っていないケースもあります。
それでも安定している店舗がある理由
一方で、比較的安定している店舗も存在します。
競合と比べて、明確に頭一つ抜けている
ニッチな市場でポジションを取っている
こうした店舗に共通しているのは、特別な手法を使っているわけではない、という点です。
見ている視点が違います。
多くの店舗は、無意識のうちにライバルを基準に判断しています。
特に既製品を販売してきた店舗はこの傾向が強いです。
いままでライバルより少しだけ安くして似た商品を売る。という手法しか知らないためその固定概念が付きまといます。
ライバルが値下げした
ライバルがこの表現を使っている
ライバルがこんなやり方をしてきた
だから自分も同じようにする。
この判断はその経験しかしてないのであればごく自然なものです。
しかし、積み重なると差は埋まりません。
ライバルを基準に考え始めた瞬間、判断の軸は自動的にこうなります。
・少しでも高いと売れない
・条件を揃えないと不利
・価格は下げるしかない
この思考は、本人が意識していなくても必ず価格判断に影響します。
結果として「価格を上げる」という選択肢は、最初から頭の中から消えます。
多くの店舗が価格を上げられないのではなく、上げられない思考構造の中にいる。
ここに気づかない限りはどんな改善をしても利益は残りにくいままです。
意外に思われるかもしれませんが、長く続けている店舗ほど、変化に気づきにくい場合があります。
過去にうまくいったやり方があるほど、視点が固定されやすくなるからです。
施策を変えても、前提となる考え方が変わらなければ、結果は大きく変わりません。
これから必要なのは 視点を整理すること
これからのECに必要なのは、斬新な新手法ではありません。
モールはどう変わったのか
ユーザーは何を基準に選んでいるのか
市場はどこで変化しているのか
これらを一度整理し、「自分」の立ち位置を見直すことです。
ライバルを横に並べて比較するのではなく、少し引いた位置から全体を見る。
それだけで、取るべき戦略は大きく変わってくるのですがこれはあくまで理屈です。そもそも販売者として自分たちが販売する商品のリサーチしてきた店舗たちはユーザー目線でモノを見ることがとても苦手です。
苦手というよりも視点を変えることが出来ない状態に陥っています。
参入者が増えすぎると今まで通りにはいかなくなります。
情報が誰でも容易に取得できる。
再現性が高い
初期投資がそこまで必要ない
この3点が揃うと必ず参加者が増えて薄まります。
多くの相談で、「この商品(ジャンル)はもう厳しいですよね?」と聞かれます。
でも実際には、商品そのものがダメなケースは少ない。
問題はほぼすべて立ち位置が同じ であること。
ライバルたちと
同じ商品
同じ価格帯
同じ見せ方
この状態で広告を回して、施策を重ねても利益だけが削られていきます。
ここから抜け出すには、商品を変える前に見る角度を変える必要がある。
ほとんどの店舗がやっていない視点
答えは意外とシンプルです。
ほとんどの店舗が最初からやっていない視点を使うこと。
それは「いくらで売れるか」ではなく「誰の中で基準になるか」という視点です。
ここで一つ、具体的な話をします。
楽天などのモール販売では、3,000円前後の商品が最も売れやすいと言われています。理由は財布の紐が緩くなりやすい価格帯だからです。
しかし最近のユーザーは変わっています。
過去の買い物の失敗から「安いものを何度も買うより、高くてもいいものを一度買いたい」と考える層が確実に増えています。
この層はライバルと同じ土俵にいる店舗には来ません。
例えば、ライバルが2,980円で販売している商品カテゴリがあるとします。そこにあえてそれより高額な価格帯で参入する設計ができたとしたら、どうなるか。
広告費をかけてもライバルより余裕がある
価格競争に巻き込まれない
「高いから選ぶ」ユーザーが来る
販売数はライバルに比べれば落ちるかもしれません。でも利益は残ります。
これは単なる値上げではなく立ち位置を変えることです。
こんな風にシンプルに、ほとんどの店舗が最初からやっていない視点 を使うことです。
それは「いくらで売れるか」ではなく「誰の中で基準になるか」 という視点。
ここまでの話を聞くと、
「じゃあ、結局は高く売るってことですよね?」
と思うかもしれません。
ただ、それは順番が逆です。
先にやるべきなのは、価格をいくらにするかではありません。
・誰にとって必要な商品なのか
・どんな状況で選ばれるのか
・比較されるとしたら何と比べられるのか
この設計ができたとき、結果として
「価格を上げる判断になる」
ケースが出てきます。
価格は目的ではなく、
立ち位置が決まったあとの
結果にすぎません。
比較される前提で売るのか
比較されない位置を取るのか。
この違いだけで、利益構造はまったく別物になります。
競争の土俵から降りるための考え方。
価格競争
条件競争
広告競争
これらから一段外れた場所に意図的に立つための設計です。
この設計ができたとき、
結果として大幅な利益がとれる構造です。
順番は、
価格 → 価値
ではなく
価値 → 価格。
同じことをやめた瞬間から利益は残り始める
皆と同じことをしている限り、結果も皆と同じになります。
売上はそこそこでも、手元に残らない。
この状態から抜け出すには、努力を増やすのではなくライバルと同じことをやめる決断 が必要です。
EC業界は今後も続いていく分野です。
ただしマス化はさらに進んでいます。
そういう意味でいえば以前と同じ感覚で運営できる業界ではなくなっています。
考え続けられる店舗
視点を更新できる店舗
そういった店舗が長く続いていく。
そんな時代に入っていると感じています。
別記事では「具体的な設計方法」を書きます
この記事では、考え方と視点の部分だけを整理しました。
次の記事では、
売上が変わるのにほとんどの店舗が軽視している「サムネイル」の考え方
転換率を下げている写真のクオリティ問題と解決策
権威性(ランキング・レビュー・専門家監修)の配置順番がなぜ重要なのか
私が実際に使った商品ページの構成順序
これらを、自分が実際にやって結果を出した経験をもとに書きます。
「知っているけどうまくいかない」と感じている店舗ほど、読んでほしい内容です。
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