見出し画像

モンゴルのひつじ10頭のオーナーになって2ヶ月。わたしは幸せになったのか?

モンゴルでひつじ10頭のオーナーになってもうすぐ2ヶ月。
簡単にいうと、放っておくと「あれ、何に使っちゃったっけ?」というくらい簡単に消えて無くなる3万円を、モンゴルで「ひつじ」という「もふもふの資産」に変えてみたという実験である。



もふもふ達はモンゴルの西部、おそらく標高1500〜2000mのどこかに生息している(ざっくりにも程がある)。


対するわたしは日本にいる。


念のため言っておくと、わたしはもふもふ(ひつじ)に対して何もしていない。子ひつじに母ひつじの乳をやるでもないし、身体をそっとやさしくなでてやるわけでも、餌をあたえてやるでもない。
それらは全て、現在モンゴルにいる夫や、夫の親戚の遊牧民に全部委ねている。完全なる丸投げオーナーである。

それでも、もふもふオーナーになってからちょっとした変化がある。


まず、家族や友人、会社内で、夫から届く動画や写真をもとに、ひつじうんちくを垂れ流すようになった。ちょうど出産期だった3月には、我々の所有しているひつじだけでなく、夫の両親(つまり義父と義母)の所有しているひつじやヤギたちのぎゅうぎゅうとした写真が日々送られてきた。
そのかわいいことったら。
ひとりで楽しむには忍びないと、会社に出勤した際に、パートさんを捕まえてひつじ話を時折するようになった。

「ひつじ見てください!モンゴルではこの時期に子ひつじがたくさん生まれるんです」

うちの会社のパートさん達はみなびっくりするほどいい人達なので、大抵「わーかわいい!」とか「いいですねえ」とか言ってもらえる。その度に、小さく自尊心が満たされる。そうか、これが親バカというやつか。


かわいい、というのは至極個人的な感情である。親にとって自分の子が1番かわいく見えるのも、推しのパフォーマンスが世界一と思うのも、「ひつじかわいいでしょ?」も、まあだいたい同じである。人から見たらただのひつじだ。でも、そんなの関係ねえと言わんばかりに、かわいいでしょ?を押し付ける。
はた迷惑な親バカひつじ飼いは、わたしである。

そんな先日、ついにひつじ達は、草原へ移動することになった。夫の両親は今、草原ではなく所有している定住地にいる。家畜を大半売ってしまって数が減ったからだ。その定住地内で出産させて、いよいよ草原へ。そういう流れらしい。遊牧民といっても色々だ。

モンゴルの草原


そんな感じでドナドナよろしく、こひつじ達は車に揺られて、初めての草原への冒険に繰り出すらしい。草食べ放題で草である。



幸せとは何か。
そんなことを取り留めもなくつらつらと考えるのが好きである。

今のわたしの頭の片隅には、何千キロ先にもふもふがいるという事実がある。誰かに羨ましがられるためでもなく、ただ、世界の片隅にわたしのもふもふがいるという事実に、ロマンを感じてほくそ笑む。


スヌーピーの作者チャールズ・M・シュルツの言葉に「幸せとは、温かい子犬を抱きしめること(Happiness is a warm puppy)」というのがある。子犬でも、ひつじでも、家庭菜園の茄子でも、なんでもいい。評価も査定もできない、でもたまらなく愛おしく実態のあるものを持つこと。


そうおもうと、わたしにとって幸福とは、人にとっては無駄かもしれないものに、自分だけの光を見出せることかもしれない。



そんなことを思いながら、遊牧民の夫が書いた日記を読んだ。ひょんなことから無職になってしまった夫にnote執筆をお願いして、かれこれ3作目になる。
夫の書いた原文のまま紹介したいと思う。



遊牧民夫の日記③:子どもたちの旅立ち


20日間、囲いの中で育てて、無事に子を産ませました。
これからいよいよ放牧に出て、自由を感じることができます。 この子羊・子山羊たちは、囲いの中を歩き回っていますが、どこへ行けばいいかまったくわからず、少し怖がっているようです。


子どもたち。お母さん達だけ別の車に先に乗せた


生まれて初めてお母さんから離れて、きっととても不安なことでしょう。 でも、みんな大丈夫ですよ。お母さんたちは別の車に乗せてあります。もうすぐ一緒に草原に出て、再会できますからね。心配しないで、かわいい子たちよ。


とっても心を温まる場面です。生まれ初めて外の世界感じる子羊と子山羊🐐姿が目に浮かんでいるよ。

これからお母さん達と広草原でもうすぐに生え来る草を食べながらだんだん大きくなって行くよ。まだ秋11月くらい会えます。そのときみんな元気にいて欲しい。

全員お父さん車に乗せようと思ったげと、入りきれなかったので友達を頼んで友達の車にこの子達乗せて移動してます。


子どもたち車に乗せました


ホブド県から30キロ離れている所にあるお父さん親戚の兄さん渡してくれる予定です。


今年初めてホブド県で家畜を出産させてみた。
無事に元気な子達を出産させた。私はすごく嬉しかった。でもほとんどオス子羊🐑と子山羊として生まれた。でもまああ大丈夫です。

昔ことわざでは、育てる家畜はオスであるほど家畜の頭数は増えていくものだと言われています。だからこそ来年もっと多くなると思うよ。

生まれた場所から、30キロ先の田舎に到着した子たち


おわり

※ホブド県とは夫の実家があるモンゴル西部の都市です。

編集後記(妻)
なぜか1枚だけ、急なセピア色の写真が送られてきた。こひつじやこやぎと離れる夫のちょっとした寂しさを無意識に表現しているとしたら、なかなかやるなと思う。

夫の文章も精度が上がっているように感じる。冒頭は明らかに文章が綺麗すぎるため「AI使ったでしょ?」と聞くと「ちょっとだけ」と白状した。

文明の利器に頼りたい気持ちはわかるが、世界最強の騎馬民族の血を受け継ぐ貴重な生命体として、ぜひ今後も自力で書ききってほしい。



東京都内の会社員である私が、年下の遊牧民の夫と40代で結婚し、東京と草原の間でどう幸せに生きる?みたいなことを実験しています。


🌱🐑夫とのあれこれはマガジンにまとめています


いいなと思ったら応援しよう!

ささきりつこ 都会のひつじに、草をお待ちしています。