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クンスクノーイがペッシラーに辛勝でラジャ正規王座を獲得、大﨑はジャルンスックに完敗〜RWS、ラジャ80周年興行(2025年12月27日)

12月27日にバンコクのラジャダムヌンスタジアムで開催されたRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)は、スタジアム設立80周年記念特別興行として、同スタジアム認定タイトル戦が4試合並ぶ豪華カードが実現した。

スーパーバンタム級タイトルマッチでは正規王者のペッシラー・ウォー・アチャリアが暫定王者のクンスクノーイ・ブーンデクシアンと、ライト級では正規王者のセンマニー・ソー・ティエンポと暫定王者のソムラックノーイ・ムアイデッド789が王座統一戦を行った。

日本からはRISE世界王者でラジャダムヌンのランキングではバンタム級2位の大﨑一貴が遠征、ジャルンスック・ブンラーンナーンムエタイのバンタム級王座に挑んだ。日本はシュートボクシングに参戦し、海人と戦ったミドル級王者のペットモラゴット・ペットインディーアカデミーは、一階級下のスーパーウェルター級王者ダニエル・ロドリゲス(ドミニカ/スイス)に挑んだ。つまり、この4試合は挑戦者も全員がベルトを所持している強豪揃いということになる。今回はこの4試合について、特にスーパーバンタム級戦、バンタム級戦の2試合を中心に紹介していきたい。

8人の王者が出場した4大タイトルマッチ

🔴ペッシラー対クンスクノーイ


21歳の正規王者と20歳の暫定王者、どちらもイサーン(東北部)の出身

ペッシラーはウドンタニ―出身の21歳のサウスポー、若さを活かしたダイナミックな攻撃が売りで、通算戦績は51勝22敗2分。まだ15歳だった2019年に日本遠征で奥脇竜哉(元ラジャミニフライ級王者)を下してWPMF王座に就いた。クマンドーイ、パント―、プレプレーオなどのラジャの王者経験者を下し、9月にペッサマン・ソー・サマンガーメントをKOして王座を獲得した。

クンスクノーイはコンケーン県の出身の20歳、双子の兄のクンスックレックは前ラジャバンタム級王者で、41連勝を記録したこともあるRWSの代表的選手。ファンタジスタ的存在の兄に隠れがちだが、弟のクンスクノーイも確かな実力を示し、2021年にオムノーイスタジアムライトフライ級王座を獲得、通算では95勝9敗3分という戦績を誇る。

2023年に参戦したONEチャンピオンシップではヌンスリン・チョー・ケットウィナー(ONE173で吉成名高に判定負け)にKO負けしたものの、以降は15戦で13勝。6月にラジャのスーパーバンタム級王座に初挑戦も、当時の王者ペッサマンに判定負け。11月8日のRWSで、メーティー・ソーソー・トーイペークルアを下し、ラジャのスーパーバンタム級の暫定王座に就いた。ペッシラー対クンスクノーイ戦はこの11月に実施の予定だったが、直前でペッシラーが急病で試合をキャンセルし、暫定王座決定戦が組まれた経緯がある。

試合(5回戦)は、初回は足技中心での攻防で、それぞれがスピードの乗ったミドルキックなどを蹴り合う。決定打はないがほぼ互角。ジャッジは3者ともクンスクノーイの10‐9。2回はポイントを取られたペッシラーが開始ゴングから積極的に仕掛けていく。左右ミドルから左右フック、後退するクンスクノーイも防御するが、迫力に押される。さらにペッシラーの左ミドルから距離を詰めて首相撲も効果的、終盤は近距離からのヒジ、パンチ連打を被弾するクンスクノーイ。ペッシラーのラウンドのようだが、採点はジャッジ2者がペッシラーの10‐9、1人がクンスクノーイの10‐9。

3回は50秒が経過するところで、首相撲からペッシラーの右ヒジがクンスクノーイの鼻あたりに命中する。勢いが付いたペッシラーだが、クンスクノーイも冷静に下がりながらミドルを入れていく。2分30秒あたりで、首相撲からのヒジが入り、追い打ちのストレートを喰らうクンスクノーイ、鼻血も目立つ。このラウンドはジャッジ3者ともにペッシラーの10‐9。3回を終わって、29‐28でペッシラー支持が2者、29‐28でクンスクノーイ支持が1者。

4回は開始から前に出て、左右ミドルを放っていくクンスクノーイ、ペッシラーはうまくいなしているように見える。鼻血を流しながら、パンチを被弾しても蹴りまくるクンスクノーイ、兄のクンスクレックのような2段階のミドルは見栄えが良く、意地でこのラウンドを取った。ジャッジは3者ともクンスクノーイの10‐9、ポイントは2者が38‐38でドロー、1者が39‐37でクンスクノーイ。

5回、前進してパンチ連打、揉み合いからのヒジで攻めていくペッシラー、なんとかここをしのぐクンスクノーイ、ロープを背にしながらの左ハイキックがペッシラーの首に着弾する。このラウンドもポイントはクンスクノーイに流れ、クンスクノーイが判定勝ち。ペッシラーの所持していた正規王座を獲得すると共に勝利ボーナス100万バーツ(500万円)を得た。前王者となったペッシラーも50万バーツ(250万円)のボーナスを得ている。

この試合、ペッシラーが勝っていたとするファンも多く、再戦を求める声も聞かれる。著者は会場で観戦し、クンスクノーイ寄りという印象受けたが、映像を見返してみると、特に違和感のあった4回の採点(3者がクンスクノーイ10‐9)も順当にも見える。2026年はクンスクノーイ対ペッシラー2の実現に加え、前々王者でランキング1位のペッサマンも、クンスクノーイへの挑戦を待っている。

ワイクルー時の両王者
クンスックノーイのミドルキックに対峙するペッシラー
リング上の両者
判定の結果に不満げなペッシラー

↑ ↑ 試合のハイライト動画


🔴ジャルンスック対大﨑一貴


ジャルンスックと大﨑、RISEのベルトはタイでは新鮮

ジャルンスックはチェンマイ出身の19歳、この前日、12月26日にラジャダムヌンスタジアムで勝利した元ラジャ女子バンタム級王者のソムラッサミー同様にカレン族ファイターとして知られている。今年6月に元王者クマンドーイを下してバンタム級王座決定戦の出場権利を得た。8月にチャラームダムに初回KO勝ちし、バンタム級王者となった。通算戦績は55勝14敗1分。

大崎一貴は日本のRISEで活躍する29歳、RISE世界スーパーフライ級王者で、通算戦績は49勝6敗2分、2023年に両国国技館でジャルンスックとキックボクシングルール対戦し、延長で判定勝ち。今回はムエタイルールでの再戦となった。ラジャダムヌンスタジアムのランキングではバンタム級2位となっている。

満員のスタジアムにザ・ブルーハーツの「僕の右手」が流れ、先に大﨑がリングに入場する。一方のジャルンスックはクイーンのDON'T STOP ME NOW で入場、日本の王者がどんな戦いをするのか、観衆がリングを凝視する。センマニー対ソムラックノーイ、ペッシラー対クンスクノーイ戦の2つの統一戦が大熱戦となり、その次に登場のジャルンスックと大﨑、会場は既にヒートアップしている。

試合は初回、パンチを多用して、前に出る長身サウスポーのジャルンスック、大﨑は下がりながらもスピードの乗った左フック、右ストレートを放つ。左フックはカウンターで当たりそう。距離が近くなるとジャルンスックの縦ヒジも飛んでくる。首相撲の展開から、少し距離が離れ、1分40秒、大﨑が左フックを放った瞬間、ジャルンスックの左縦ヒジが大﨑の顔面を捉え、大﨑は腰が落ちる。ここを堪えた大﨑そのまま首相撲の展開も押し負けず、ジャルンスックの圧にも前に出る。鼻にダメージのある大﨑、このラウンドはジャルンスックの10‐9(ジャッジ3者)

初回から大きく動いたこの試合、2回からジャルンスックは、首相撲に大﨑を巻き込み、ボディにヒザを入れていく。首相撲で組んでの大﨑のヒザは長身のジャルンスックのボディに届きにくい上、非力に見える。ローキックでジャルンスックをこかしたり、首相撲でジャルンスックを押していくシーンも見られるが、首相撲の間はジャルンスックのヒザが大﨑のボディに突き刺さる。首相撲から離れると、今度はジャルンスックのヒジが飛んでくる。圧倒されながらも堪える大﨑、「サムライのハートは素晴らしい」とテレビのタイ人解説者は述べていた。結局、最終回の5回まで、ジャルンスックの首相撲とヒザ、離れてはヒジという戦い方は変わらず、大﨑は全ラウンドを失った。判定はジャッジ3者とも50‐45と、ジャルンスックの圧勝となった。

リング上の両者、大﨑の右ストレート
首相撲に巻き込まれる大﨑
インターバルでは余裕も見られるジャルンスック陣営
最終ラウンド終了後、健闘を称え合う両者

↑ ↑ 試合のハイライト動画

🔴センマニー対ソムラックノーイ


センマニーは、ミリオンダラーベイビーのニックネームを持つレジェンド級選手、28歳ながら、通算戦績は155勝47敗5分で、ラジャダムヌンスタジアムでは4階級(ライトフライ、フライ、スーパーフライ、ライト)を制覇、ルンピニーでは15歳の時に1階級(ミニマム)で王座を獲得している。7か月のブランクの間に、ソムラックノーイが暫定王座に就いた。

58勝17敗1分のソムラックノーイは、体格で大きく上回り、軽量級上がりのセンマニーをパワーで圧倒したい。ソムラックノーイが前に出てプレッシャーを掛け、サウスポーのセンマニーが下がりながら、左ミドルキック、パンチを入れていく試合展開、3回にはセンマニーの左ハイキックがソムラックノーイの首を捉え、ラウンド終盤には左ミドル4連打を放つ。センマニーの技巧が光る一戦だったが、ソムラックノーイがパワーを活かしてセンマニーを押し込むシーンもあった。ジャッジは、50‐45が2者、48‐47が1者でセンマニーを支持、センマニーが王座統一を果たした。

試合前のセンマニーとソムラックノーイ


🔴ダニエル・ロドリゲス対ペットモラゴット


ペットモラコットはウボンラチャタニー出身の31歳、元ルンピニー王座2階級制覇のベテランで200戦(175勝38敗2分)を超える経験と実績がある。(RWS発表では84勝20敗1分)ONEチャンピオンシップにも参戦しており、2020年には初代のONE世界ムエタイフェザー級王者となった。2022年9月に現王者のタワンチャイ・PKセンチャイに敗れて、ONEの王座から陥落した。ミドル級王座を所持したまま、最強王者、ダニエル・ロドリゲスに挑む。27歳のダニエル・ロドリゲスは49戦して僅か1敗(48勝1敗)だが、重量級で対戦相手がなかなかいないのが悩み。

試合は重量級らしく、迫力のあるパンチ、キックの交換で会場を沸かせるが共になかなかクリーンヒットを許さない。185センチのダニエル・ロドリゲスに比べてペットモラコットは178センチ、1階級上と言えど、体格はダニエルのほうが大きく見える。ややダニエル有利の展開が続き、ジャッジ3者ともに49‐46でダニエルを支持し、ダニエルの判定勝ち。王座を防衛した。

185センチのダニエル・ロドリゲス、迫力がある
リング上で対峙する重量級の2人

※ラジャダムヌンスタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のものとRWSの公FACEBOOKより。Photo taken by Odasai and from RWS facebook (1st picture )

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