【🎨展覧会レポ】東京都写真美術館「TOPコレクション 明日の食卓」「TOPコレクション Don't think. Feel.」
【#352、約3,900文字、写真約55枚】
東京都写真美術館(以下、写美)で「TOPコレクション 明日の食卓」「TOPコレクション Don't think. Feel.」をそれぞれ別日に鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。
※「Don't think. Feel.」の会期はすでに終了しています。
▶︎ 結論
2026年度のコレクション展1期・2期では、それぞれで展示されていた川内倫子の作品が最も印象に残りました。心の奥の部分をコショコショしてくるようなノスタルジックな作風は私の好みなのかもしれません。いつも新しい発見を与えてくれる写美のコレクション展、今後も期待しています☺︎
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:①TOPコレクション 明日の食卓、②TOPコレクション Don't think. Feel.
場所:東京都写真美術館
会期:①2026.7.2—9.21、②2026.4.2—6.21
休館日:月曜日
開館時間:10:00~18:00
住所:東京都目黒区三田1-13-3
アクセス:恵比寿駅から徒歩約5分
入場料(一般):①②ともに700円
事前予約:ー
所要時間:①約1時間、②約30分
撮影:①すべて可能、②9割以上可能
巡回:ー
URL:①こちら、②こちら
写美は、私が最もリピートする美術館。コレクション展では毎回「今回はどんなチャレンジがあるんかな?」と楽しみにしています。

▼ 同日に訪れた「出光真子展」






▶︎ 「TOPコレクション 明日の食卓」感想

「TOPコレクション」展は、東京都写真美術館が収蔵する約39,000点の写真・映像作品をさまざまな切り口で紹介する展覧会です。(略)「食」を手がかりとして作品に目を向けることで、そこには食事にまつわる記憶や人とのつながり、現在私たちが置かれている環境や高齢化、孤食等の社会問題への問いが浮かびあがり、さまざまな気づきが生まれます。
今回のコレクション展のテーマは「食」。意外と今までになかった、普遍的なテーマです。


入ってすぐ驚いたのは、デ・キリコが描く不思議な世界のような設えになっていることでした。

白い厚みがある壁、アーチを模った通路などを施すことで、世界観が変わり、作品から感じる印象も変わってきます。キュレーション✖️作品による総合演出の工夫に何らかの意図を感じました。


私は食事において「何を食べるのか」よりも「誰と食べるのか」が大切です。「食」には、単なる食べ物だけではなく、人と人のつながりが背景にあると思います。

また、子どもをもつ親として、作品に子どもが写っていると、思うところが多いです。子どもの食事に、親のサポートは必須。その補助も徐々に不要になり、次はマナーを根気よく教えるフェーズに。子育てと「食」は切っても切り離せないテーマです。


メインビジュアルを飾る作品。
凍った卵って、どういうシチュエーション…?


冷蔵庫は生活感の塊だ

この展覧会で最も印象に残った作品が、川内倫子のスライドショー。どこか懐かしい田舎で撮影した普通の光景。人や、自然が映った日常風景が交互に映し出されていました。

正方形にトリミングし、露出を上げてふんわりした写真、絶妙な組み合わせ順、不思議なインストゥルメンタルや小鳥のさえずりが低唱微吟に流れる室内環境など、さまざまな感覚を通して、ノスタルジックな気持ちに没入していきます。
これを見て「帰るべき家があるってええなぁ」と感じました。私の実家は一軒家ですが、現在は集合住宅に住んでいます。将来大きくなった子ども(その孫)が今の家に帰ってきても、彼ら・彼女らは感傷に浸れるのか…。
畳があって、仏壇があって、全員が食事できる大きなちゃぶ台があって、みんなでお鍋をつついて…。一軒家って、やっぱりええですねぇ。
223枚のスライドショー(1枚5秒換算でも約19分)と長いものの、ずっと見ていられる構成になっていました。私以外の鑑賞者も、不思議と長く見ているのが印象的でした。きっと人々を引き寄せる何かが彼女の写真にはあり、それが評価につながっているのでしょう。
▼ 川内倫子の展覧会(2022年)


子どもが写った作品に惹かれる

ディズニーに出てきそうなヤギ


シュール…(笑

展示室の設え、作品のセレクションなど、全体を通して、しんみり、しっぽりする印象を受けたコレクション展でした。


▶︎ 「TOPコレクション Don't think. Feel.」感想

テーマは、AI時代における「感触」。(略)「感じること」の重要性を説いた香港の武術家・俳優・哲学者ブルース・リー (1940-73)の言葉「Don’t think. Feel.(考えるな、感じろ。)」を手掛かりとして、(略)短編小説集のように5つの小テーマで構成するオムニバス形式の展覧会です。
順番が前後していますが「Don't think. Feel.」は、「明日の食卓」より1期前のコレクション展です。

このコレクション展では、ブルース・リーの言葉をタイトルに使っています。大きく出たな、東京都写真美術館。他のレビュー投稿を見ると、このキャッチーなタイトルに惹かれた人が多かったようです。
なお、この展覧会では、写美のチャレンジはあまり感じられず、オーソドックスなキュレーションでした。

第1室のテーマは「Don’t think. Feel.」となっているものの、第2室以降は「家族写真の歴史民族学」「川内倫子」「記憶の部屋」「イメージの奥にひそむもの」と、展覧会タイトルと関係が薄かったです。
私は、第1室の印象派あまり残らなかったため「名前負けした展覧会やなぁ」と思いました。また「Don't think. Feel.」は、写真だけでなく、アート全般に言える広すぎる考え方のため、私はしっくりきませんでした。

展示数は全部で約160点と多かったため、サクサク楽しみました。

メインビジュアルの作品

部屋を漂うホコリが星のように美しい

手をパタパタする子どもの躍動感よ

▼ 約3年前に開催された深瀬昌久の個展

(偶然にも「明日の食卓」と同様に)この展覧会で、第3室「川内倫子」が最も印象に残りました。


映し出されるのは、何気ない日常の映像のツギハギです。彼女が映し出すのは、露出設定が高めで、淡く、平和で不思議な世界。どこか懐かしく、どこか心洗われる感じがしました。
ずっと見ていても飽きない作品群でした。外国人の方もじっと鑑賞している様子を見て「日本人じゃない国の人も何か感じるんやなぁ」と思いました。

勢いよく座ったら、尾骶骨を強打





チョートクさん(田中長徳)の本を読んだことがあるぞ!とピンときました。彼の作品を実際に見たのは初めてかもしれません。彼は本の中で「とにかくシャッターを押すことが大切。カメラはとにかく撮りまくって楽しむことが大切なのだ」と記載していたことを覚えています。

下《タイトルなし / 月》






聞き取れない謎の関西弁で演説していました(笑


▶︎ まとめ

いかがだったでしょうか?写美のコレクション展は、いつも新鮮な発見を提供してくれます。今回取り上げたコレクション展2つは、偶然にも川内倫子の作品がそれぞれ印象に残る結果となりました。写美で開催された川内倫子の個展は2012年。そろそろ、写美で再び個展の開催を期待しています!掲載した中で気になる作品があれば、コメントにどうぞ☺︎

▶︎ 今日の美術館飯

▶︎ 次回予告
次回の投稿は、岐阜県美術館で開催された「 グラフィックデザインの曙-加藤孝司とシルクスクリーン」などの感想を投稿する予定です。
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