【展覧会レポ】金沢21世紀美術館「積層する時間:この世界を描くこと」「コレクション展 マテリアル・フィーバー」ほか
【約5,200文字、写真約90枚】
初めて金沢21世紀美術館(以下、21美)に行き「積層する時間:この世界を描くこと」「コレクション展 マテリアル・フィーバー」などを鑑賞しました。その感想を書きます。
▶︎ 結論
大満足の美術館でした!それは主に、1)SANAAによる「開かれた」美術館のコンセプトをもとに、誰でも気軽に立ち寄れる仕組みが素晴らしい、2)《スイミング・プール》などの恒久展示作品が楽しい、3)企画展、コレクション展はメリハリが効いており、有名どころばかりで固めない姿勢も好印象だったことによります。現代アートが好きな人は、死ぬまでに必ずGO!アートに興味ゼロの人も、金沢観光に最適です!
注意点:《スイミング・プール》は毎日9時から予約開始です。
おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:①「積層する時間:この世界を描くこと」、②「コレクション展 マテリアル・フィーバー」ほか
場所:金沢21世紀美術館
会期:①2025年4月29日(火・祝) - 9月28日(日)、②2025年5月24日(土) - 2025年9月15日(月・祝)
休館日:月曜日
開館時間:10:00~18:00(交流ゾーンは9:00~22:00)
住所:石川県金沢市広坂1丁目2−1
アクセス:金沢駅からバスで約10分
入場料(一般):1,200円
事前予約:オススメ
所要時間:1時間半〜2時間
撮影:一部を除きほぼすべて可能
巡回:ー
URL:①こちら、②こちら
▶︎ 訪問のきっかけ

現代アートが好きな私にとって、いつか必ず訪れたい美術館の1つでした。過去に行こうと思った時、能登半島地震の影響で休館していました(2024年1月〜6月)。そして、機会が訪れた2025年、満を持して訪問しました。

私は、金沢21世紀美術館の初代館長・蓑豊の本を読んだことがあります。ともに大変良書なので、オススメです。蓑豊曰く「美術館とは、そこにいけばいつも新しい出会いが待っている、ワクワクするような場」。まさにその通りです!
▶︎ アクセス

21美へは、金沢駅からバスで約10分。使用するバスロータリーは、兼六園口(東口、鼓門がある方)の3番、8番乗り場。「広坂・21世紀美術館」で下車します(PASMOは使えない)。

▶︎ 金沢21世紀美術館とは?

✔️ アグレッシブなネーミング
1995年、金沢大学附属小中学校の移転を機に、地元美術団体の要望を受けて美術館構想がスタート。何だかんだあって、2004年に開館。名前が「金沢21世紀美術館」と私立っぽいですが、金沢市立の美術館です。
近くには、石川県立美術館があったこと、2000年前後に構想・オープンしたことから、この名称になったようです。このようなネーミングにしたことに加え、現代アートを中心とした美術館を設立したことから、自治体の前向きな姿勢が読み取れます。
なお、建物の老朽化対策を目的として、2027年5月から2028年3月頃まで休館する方針を発表しています。

✔️ 「開かれた」建築が最大の魅力!
21美は建築が最大の魅力!設計は、妹島和世と西沢立衛(SANAA:Sejima and Nishizawa and Associates)によるもの。学芸員から四角や丸のデザインを提案されたことに加え、美術ゾーンと交流ゾーンを併設する案が出たことから、SANAAは、それらを一緒にしてデザインしました。
私が行ったことがあるSANAAによる設計の美術館として、すみだ北斎美術館(妹島和世)、十和田市現代美術館(西沢立衛)などがあります。特に、21美は、十和田市現代美術館と似た感覚を強く持ちました。

美術館のロゴマークは、佐藤卓によるデザイン。円形となった建物を上部から見たものが使用されています。
▼ 佐藤卓が監修した屋上のある富山県美術館の感想

建物は地上2階、地下2階です(ほとんどの展示は地上1階)。建築のコンセプト「まちに開かれた公園のような美術館」が最大の特徴です。


メインの建物は直径112mの円形となっており、周りは122枚の総ガラス張り。丸い建物には4つの入り口があり、入場料を払わなくとも、どこからでも、誰でも入れます。無料で見られる作品があることに加え、館内でゆったり休むことも可能です。

建物内部の周りをぐるっと回れる美術館は初めて!物理的にも精神的にも「開かれた」設計になっている点が気持ち良かったです。
大きな丸の中に、四角、丸、大きい、小さい、高い、低いなど、さまざまなホワイトキューブが点在しています。この設計は、とてもメリハリが効いており「この部屋は何だろう?」とワクワクしました。
この展示室が連続していない設計はまさに、十和田市現代美術館を彷彿させました。十和田市現代美術館に行っていなかったら、21美の感動の大きさは、3倍くらい変わっていたかもしれません(苦笑。
館内外に、SANAAによるパビリオンやチェアも設置されています。








✔️ アートに興味がなくともWelcome!
お客さんはとても多かったです。「美術館大好き!」というより「普段、美術館に行かんけど、金沢観光に来たから来てみた」という人が多いような印象でした。美術館が「観光地」と化しており、「開かれた」美術館としては大成功していると思いました。

また、子供に「開かれた」工夫もいっぱいでした。託児所の中にいた子どもは楽しそうに遊んでいました。看視員が睨みをきかせる美術館が大嫌いな私にとって、21美は、建物全体から「すべての人にアートを」といった姿勢を感じ取ることができたため、とても嬉しかったです。




▶︎ 恒久展示作品
館内外に恒久展示作品が9つあることも、21美の魅力です。なお、すべてを見るには、観覧料が必要です。
✔️ 場外(無料)

計12ある筒は、知らない人との思わぬコミュニケーションが取れる




✔️ 館内(無料)

「タレルの部屋」の入り口は、わかりづらい場所にあります。

部屋に入ると、周囲に石のベンチがあり、天井には大きな四角がポッカリ。ここに座ってボケっと上を眺めると、天井の四角はスクリーンなのか、空なのか、わからなくなる不思議な感覚に陥ります。
部屋の説明がないため、ここに来る人はみな、天井を見上げて「これ開いてんの?」と同じことを言って困惑していました(笑。
耳を澄ますと、鳥や虫の声がしたり、気温が館内と違うため「天井には穴が空いていて、これは外なんやな」とわかります。雨の日はどうなるんでしょうか?

タレルの作品を見るたび、韓国のMuseum SANを思い出します。
✔️ 館内(企画展の観覧料が必要)


恒久展示作品の中で一番好き
✔️ 館内(コレクション展の観覧料が必要)

21美で最も有名な作品。人気すぎて予約が必要です。予約は毎日、当日9時からインターネットか館内で可能です(1時間ずつの枠)。





「カプーアの部屋」もありました(撮影不可)。中には、コンクリートのベンチ置かれており、壁には大きな真っ黒い丸。カプーアは「ベンタブラック」で有名なアーティストです。ずっとそれを見ていると「これは黒い絵の具なのか、穴なのか?神なのか?」と不思議な感覚に陥ります。
そのほか、ピピロッティ・リスト《あなたは自分を再生する》もあります。なんとトイレの中にある作品。私はピピロッティ・リストが好きなので、見られなかったのは少し残念。

▶︎ 企画展「積層する時間:この世界を描くこと」感想
私たちの今生きているこの世界は、過去の膨大な時間の重なりの上にあります。本展では、過去の歴史や記憶、現在という時間、あるいは未確定な未来について、様々な時間を取り上げることで私たちの「世界」の様相を浮かび上がらせます。(略)アーティストそれぞれの問題意識や関心から複数の積層した時間が描き出された作品を紹介します。
企画展の観覧料は、コレクション展込みで1,000円とお安い(Web割を利用)。作品点数は、計66点と適度なボリューム。
テーマの枠はかなり枠の広く、何でもありといった印象。一つひとつの作品は面白かったものの、全体を通して、頭にメッセージは残りませんでした。







2024年1月に発生した能登半島地震により、21美も被害を受けました。天井を見て「これがニュースで見た天井か…」と思いました。



チトラの作品は強烈だったため、アーツ前橋で見たことを覚えていました。





看視員に聞いても分からず












▶︎ コレクション展「マテリアル・フィーバー」感想

本展は、当館所蔵作品のなかから、物質世界への関心を出発点とした作品を紹介します。(略)アーティストの手引きのもと、五感を総動員して作品を体験することで、世界との「身体的な対話」を再構築し、私たち人間と物質世界との関係性を、あらためて見つめ直してみましょう。
「<アーティストが何を創造したか>ではなく、<アーティストを通して物質がいかに降霊したか>というプロセス」を知ってほしいとのこと。久々に旧世代の美術館らしい無味乾燥なキャプションを読みました。



ぬちゃっとしたガラス作品





全体的に知らない作家が多く、「有名どころ」のアーティストは、企画展、コレクション展を通して、少なかったと思います。
初代館長の蓑豊は「最大の愚問は<この作品は誰の作品ですか?>」と、著書の中で言及していたことを思い出しました。作品は有名無名に関わらず、心を揺さぶられればそれで良い。その姿勢を作品群から感じ取りました。来場者は「わからない」と言いながらも楽しそうに見えました。



私は、コレクション展のなかで、山崎つる子の作品群が気に入りました。山崎つる子は「具体美術協会」の創設メンバー17名の1人。鳩が豆鉄砲を食ったように感じるシンプルな作品からは、関西人らしい「ドヤァ!」という気負いを感じました。





▶︎ ミュージアムショップ



スタッフの制服(CFCL)もかわいかったです。
▶︎ まとめ

いかがだったでしょうか?現代アートが好きな人はマスト!美術に興味がなくとも、金沢に来たらマストな美術館でした。特に、SANAAによる「開かれた」美術館は、日本でもここだけ!物理的にも精神的にも「開かれた」美術館は気持ちがよく、観覧者も楽しそうでした。作品群も素直に楽しめるものが多かったです。
▶︎ 今日の美術館飯

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