【韓国・展覧会レポ】Museum SAN「All Things Change」ほか
【約6,500文字、写真約130枚】
韓国・江原道原州市にあるMuseum SANに行き「All Things Change」ほかを鑑賞しました。その感想を書きます。
※ 現在、本企画展は終了しています。
▶︎ 結論
大・大・大満足の美術館でした。アートに興味がある人は、韓国に来たらマストです。それは主に、1)標高275m 、大自然の中にある気持ちのいい立地、2)安藤忠雄による環境に見事に調和した建築、3)ここでしか「体験」できないジェームズ・タレルの大型作品、4)紙にフォーカスした珍しい展示と、質の高いコレクションによります。また、アートのもつ普遍性にも気づくことができました。花々の美しい春〜夏の訪問がオススメです。
注意点は、1)ジェームズ・タレル館は集合時間が決まっているツアー形式のため遅刻厳禁!、2)ジェームズ・タレル館に子どもが入れる時間は15時の回のみ!
オススメ度:★★★★★
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:「All Things Change」ほか
場所:Museum SAN
会期:2024-12-20 ~ 2025-06-01ほか
休館日:月曜日
開館時間:10:00 ~ 18:00
住所:260, Oak valley 2-gil, Jijeong-myeon,Wonju-si, Gangwon-do
アクセス:原州駅からバスで約40分、タクシーで約20分
入場料(一般):₩ 23,000 〜 ₩ 46,000
事前予約:不要
展覧所要時間:4時間前後
撮影:ジェームズタレル作品以外可能
URL:https://www.museumsan.org/eng/
▶︎ 訪問のきっかけ

韓国へ旅行した際「韓国 ソウル 美術館」などで検索しました。その中で、Museum SANがたまにリストアップされていました。山の上にある安藤忠雄が設計した美術館という情報を知って、俄然興味が湧きました。
Museum SANは、ソウルからかなり離れています。特急電車の予約などを考えると、ハードルが高かったものの、家族から「OK」がもらえました。そこで、1日かけてMuseum SANを楽しみました。
▼ 韓国旅行まとめ
▶︎ アクセス

私は、ソウル・龍山のホテルに宿泊していました。そこを8時半ごろに出発。Museum SANには、12時前に到着しました。
9時:龍山(용산、Yongsan)駅から出発。




9時半:清凉里(청량리、Cheongryangri)駅に到着。特急のチケットを引き換えたり、その中で食べるパンなどを購入。特急は事前に予約が必要です。
▼ 特急の予約方法が詳しいBlog

10時:原州(원주、Wonju)駅行きの特急に乗車。片道₩ 6,200とお安い。






11時:原州駅に到着。駅の案内所で確認した後、タクシーでMuseum SANに向かいました(約3,500円)。駅からMuseum SAN行きの無料バスも出ているものの、時間を短縮したかったためです。



なお、案内所のお姉さんは日本語が堪能で、とても親切でした。タクシーまで一緒に歩いて行き、乗る前に運転手とざっくりした値段まで合意してくれました。「旅=人」と感じる瞬間でした。


11時45分:Museum SANに到着!



16時40分:帰りはバスを使いました。バスはクレジットカードが利用可(大人1人₩ 5,000)。なお、バスで「原州ターミナル」に降りてしまい大失敗。本来は「原州駅」で降りなければなりませんでした。
特急の時間も決まっていたため「原州ターミナル」から「原州駅」へは、バスでなく、タクシー(690円)を利用しました😅



▶︎ Museum SANとは?

2013年5月、韓紙の製造から始まった韓国の「ハンソルグループ」が、自然の中で芸術と文化を感じる田園型ミュージアムをコンセプトに「ハンソルミュージアム」を開館(そのため、施設内にPaper Galleryがあります)。
同年12月「Museum SAN」に改称。「SAN」とは「Space・Art・Nature」の頭文字をとったもの。日本語と同じ発音で韓国語で山を意味する「サン」という意味もかけています。
標高275mにあり、総面積は約7万1千㎡と広大!美術館の周りは家も何もありません。スキー場やゴルフ場で有名な「オークバレーリゾート」内にあり、韓国の美術館でも最大規模です。
設計は安藤忠雄が担当。2005年に安藤さんがここに訪れた際の第一印象は「騒がしい都市生活から離れた、美しい自然に囲まれた静かな休息」だったとのこと。

大人の料金は、展覧会のみ(₩ 23,000)、展覧会+ジェームズ・タレル館 or 瞑想館(₩ 39,000)、全部込み(₩ 46,000)と比較的高額です。しかし、現地の韓国の方はたくさん訪れていました。なお、日本人は見ませんでした。

ジェームズ・タレル館に子供と一緒に入る場合は、15時の回しかありません。瞑想館は子供の入室不可。私は家族全員分、ジェームズ・タレル館込みのチケットを購入しました。
要注意な点が、15時の回は、15時までに集合しないといけないことです。私はてっきり、15時〜15時半の間で、自由に鑑賞するものと思っていました。そのため、私が到着した15時過ぎには、時すでに遅し…。
ジェームズ・タレル館は、毎回、収容人数が決まっているガイドツアー形式です。なんとか、私だけ15時半の回に、ねじ込んでもらいました。

敷地内は、以下で構成されています。それぞれ順を追って紹介します。なお、入り口には、日本語パンフレットもありました。

☆まで書いてくれましたが、遅れてしまいました😅
✔️ Welcome Center

まずは、Welcome Centerで支払いを済ませます。その付近にはお手洗い、ロッカー、ミュージアムショップ、簡易なカフェがあります。

日本のブランドを着ている現地の人を見るとうれしくなる(値段も安くないはず)



日本にいると、韓国は反日とか、親日になったなどの切り口で報道されることが多いです。しかし、安藤忠雄の建築は現地で愛されているし、グッズも販売されています。
Museun SANに来て強く思ったのは「アートは世界共通。アートは世界を超える。良いものは良いのだ」ということでした。このようなことは、現地を訪れないと分からないですネ。


✔️ Flower Garden

大自然に囲まれた気持ちのいい空間でした。私は冬に訪れて凍えましたが、春から夏にかけては、気持ちのいい避暑地になりそうです。

入ってすぐに安藤さんの青春青りんごが鎮座。まずは記念撮影!





Flower Gardenには、約80万株ものセキチクが植えられているそうですが、冬は何が何だか分かりませんでした(苦笑。ここには彫刻が設置されていました。



そして、ここには2023年の開館10周年を記念してつくられた、安藤さんによる館内2つ目の瞑想館「The Space of Light」があります。





そして、Museum SANはまだまだ成長中!今後、大規模な新しいアートピースも登場するようです。

✔️ Water Garden

その後「本館」へ向かいます。そこは周りが水で囲まれていました。館内にいると、水のゆらゆらがコンクリートに反射して幻想的な雰囲気になるなど、自然をより意識するつくりになっていて素敵でした。


水底には、光をよく反射する韓国の海美石、外壁・内壁に張られたオレンジ色の石は、韓国の京畿道・坡州産が使われているとか。



✔️ Paper Gallery

Paper Galleryでは、高麗時代(918~1392)の国宝・仏教経典「大方廣佛華厳経」をはじめ、紙に関する物品・作品が展示されています。



紙についてフォーカスした展示を見るのは初めてだったので、興味深かったです。「ハンソルグループ」ならではでした。



韓国では、7世紀頃に中国から製紙技術が伝播。独自の進化を遂げた「韓紙」については、韓国国立民俗博物館でも紹介されていました。











ここでは「紙」よりも、韓国で過去に漢字を使っていたことが印象に残りました。漢字は4〜5世紀頃に中国から伝わり、使用が開始。その後、15世紀には、誰でも読み書きできるためにハングルが発明されました(日本の平仮名<9世紀以降>と同じ流れですネ)。

1970年代、朴正熙政権下で、漢字を使わず、ハングルで統一する流れが強化されました。それは主に、識字率を上げることと、韓国の国威発揚・ナショナリズムが目的だったようです。

韓国では、読書離れが進んでいると聞いたことがあります。私は本を年間約150冊読みます。もし、文字が全部ひらがなだったら、むちゃくちゃ読みずらいため、読書数も減ると思います(漢字があるからこそ、ある程度速読できる)。韓国の読書離れも「ハングル」にあるのかな、と思いました。






韓国国立民俗博物館でも強く思いましたが、韓国の美術館や博物館では、最新技術を使った映像、触れる、体験できる展示が多く、とても分かりやすいです。この意識の違いが日本と大きく、韓国は進んでいると感じました。
✔️ Cheong-jo Gallery

Museum SANのコレクション展です。「While everything changes, is there anything that remains unchanged?」という問いをもとに、キュレーションされています。日本語で言う、不易流行、温故知新的な感じでしょうか。結構なボリュームがありました。
なお、2025年6月20日からは「Antony Gormley展」は始まるようです。日本でもやっても人気が出そうです。

















✔️ Stone Garden

Stone Gardenには、慶州の古墳を模した9つの石山があります。その近くには、どでかいヘンリー・ムーアの作品などが展示されていました。その先には、瞑想館と、ジェームズ・タレル館があります。

一緒に座って写真も撮れる


どうやって運んだんだろう…
✔️ Meditation Hall
私は瞑想館に行きませんでした。子供は入れなかったことに加え、ここも行くと、朝から晩まで時間がかかりそうだったためです。
✔️ James Turrell

Museum SANで絶対に行くべきなのが、ジェームズ・タレル館!ジェームズ・タレルのアジア最大規模の展示室です。自然の風景と目の錯覚を利用した4つの空間作品が設置されています。タレルの作品はいくつか見たことがありましたが、ここは圧倒的!こんな体験は初めてでした😮
▼ タレルの作品を鑑賞した展覧会@国立新美術館

タレル館の中は撮影禁止。韓国語によるガイドツアー形式となっており、人数の決まった完全予約制です。

ガイドの優しいお兄さんは、ケータイの翻訳アプリを使って「暗所恐怖症ではないですよね?」など、必要に応じて日本語でも丁寧に説明してくれました(この時間に日本人は私だけでした)。
どこの部屋も非常に広いです(ミニシアターくらいの広さ)。靴を脱ぐ部屋があるなど、色に加え、音にも繊細になる必要がありました。

どの部屋も感覚が狂ってしまうような印象を覚えました。見ている大きな四角は、本当の空なのか、グラフィックなのか?「色」について考え方が変わる不思議で貴重な体験ができました。

施設は想定以上に巨大で特別なつくりになっていたため「これは追加料金いるわぁ…」と実感しました。また、タレルの摩訶不思議な作品と、安藤さんのシャキッとした建築は相性抜群でした。
✔️ カフェほか

「カフェテラス」ではしっかりした食事メニューはありませんが、サンドイッチやケーキなどが食べられます。ケーキ、ドリンクともに単品で1,000円以上と、韓国にしては割高な印象です。


寒かったですが、私たちはテラス席で少し休憩しました。そこではずっと、薄くクラシックのBGMが流れていました。私は小鳥や風のさえずりを聞きたかったです(苦笑。アサヒグループ大山崎山荘美術館では、テラス席から聞こえる自然の音が最高だった思い出があるからです。

また、ここから見える雄大な自然は最高!深呼吸すると気持ちいい。是非、暖かい春や夏に来ると良いです。この感覚は、MOA美術館と同様でした。

そのほか、安藤さんを紹介したスペースもありました。韓国の方が安藤さんについて、フムフムと見ている光景を見るとうれしくなりました。

Museum SANの模型は「安藤忠雄展」にも置いてありました。









なお、1日の全体を通して、嫌な思いはゼロ。(子どもが一緒だったこともありますが)関わった人たちはみんな優しかったです。

▶︎ まとめ

いかがだったでしょうか?大自然に中にある安藤忠雄の建築と、質の高いアート作品、ここでしか体験できない大規模なジェームズ・タレルの作品は素晴らしかったです。アクセスが難しいものの、美術館巡りが好きな人にとっては、韓国でマストな美術館でした!
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