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ジャズ記念日: 10月9-10日、1959年@シカゴ “I Concentrate On You”by Abbey Lincoln

Oct. 9-10, 1959 “I Concentrate On You”
by Abbey Lincoln, Tommy & Stanley Turrentine, Julian Priester, Ray Bryant, Bob Boswell & Max Roach at Universal Recording Studios, Chicago for Mercury (Moon Faced and Starry Eyed)

シカゴ生まれのこの歌手は、アメリカ初代大統領のエイブラヒムリンカーンの名前を拝借して、アビーリンカーンと名乗り、女優としても活躍した。

本ドラマーのマックスローチの作品に参加、その後伴侶となり、公民権運動に関わった影響か、黒の衣装を身に纏った写真が多く残されている。

ボーカリストとしては、力強い芯のある歌声が特徴。視界が明るく開けるような前奏において、右からドラム、左からピアノという配置による展開が視界が開けるようなステレオ感。ローチの「チーチキ、チーチキ」というライドシンバルのレガートに乗って、ボーカルを引き立てるように絡み付くようなメロディーをタレンタイン兄弟がトランペットとサックスを奏でる。

トランペットの後、軽快なソロを取るのが、エリントン、サンラからパットメセニーまで、幅広く息長く活躍した、これまたシカゴ出身のトロンボーン奏者、ジュリアンプリースター。そして端正なピアノのレイブライアントの伴奏もキレが良くローチのドラムとの相性も良い。演奏者それぞれに均等に出番が用意されているのが、本作リーダーのローチの心憎い演出か。

アビーの出身地でもあり本作が収録されたシカゴは、1910年代にニューオリンズのディキシーランドジャズが、ルイアームストロングを代表とするミュージシャンと共に北上してモダンジャズの基礎を形成した場所でもある。シカゴがニューオリンズの有能なミュージシャンを惹きつけたのは、赤線地区ストーリービルの1917年の閉鎖による演奏場所の減少に対して、シカゴには演奏とその収録の機会/機械があったからだそう。

史上初のジャズ演奏の収録は1917年2月26日のニューヨークにあるビクタースタジオ録音と言われていて(何を以て”Jazz”とみなすのかの論点はある模様)、ニューオリンズからシカゴに進出したミュージシャンで結成された白人五人編成による”Original Dixieland Jass Band”によるもの(以下)。この経緯からも上記の時代の潮流に沿った流れが垣間見える。

その米国第三位の人口を誇る大都市、シカゴを州都とするイリノイ州はアメリカ中西部にある。1910年代から始まった南部からの黒人の主な移住先のひとつとなり、ブルース発展の拠点としても重要な役目を果たした。

シカゴはミシガン湖から吹く風を形容して
”Windy City”とも呼ばれる

イリノイ州出身のジャズミュージシャンによる、これまでに取り上げたリーダー作品は、以下の通り。大都市だけあってさすがに数が多い。本作の録音スタジオについては、1月31日紹介曲をご覧ください。

天賦の個性を最大限に発揮して活躍した華々しい顔ぶれ、シカゴで名を成したアームストロングを入れると、現代ジャズの基礎を作り上げた大物を排出しています。

曲は、フレッドアステア主演ミュージカル映画、”Broadway Melody of 1940”用に大家のコールポーターが、これもまたスタンダード曲となった”Begin the Begine”と共に提供したもの。

さて、モダンジャズドラムを完成の領域にまで引き上げたローチの華麗なるドラミングを楽しみたい方はこちらからどうぞ。

最後に、ローチのエリントンとミンガスを相手に一歩も引けを取らない、凄みさえ感じさせる容赦無いドラミングは、こちらからどうぞ。

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