ジャズ記念日: 2月2日、1958年@ニューヨーク “Milestones”by Miles Davis
Feb. 2, 1958 “Milestones”
By Miles Davis, Cannonball Adderley, John Coltrane, Red Garland, Paul Chambers & Philly Joe Jones At Columbia 30th Street Studio, NYC for Columbia (Milestones)
コードの呪縛から逃れて音階主導で構成された自由度の高いモードジャズの始点はこの勢いの良いマイルス作曲の演奏から始まる。
テーマ曲のアンサンブルから一転して16秒からマイルスのミュート気味のトランペットが離脱したテンポで浮遊していく演出に引き続いてのソロは、艶やかなアルトサックスのキャノンボールアダレイで、ジェットコースターのような上下左右に揺さぶるメロディーで口火を切る。その後にマイルスが漂うようなソロを取りペースを落ち着かせた後、畳み掛けるようなフレーズで構成されたコルトレーンが続く。
ベースのチェンバースも機関車のような力強い推進力でリズムを刻み、ドラムのフィリーも「タッ、タッ」とスネアドラムの端を叩くリムショットでバンドの一体感を醸成して演奏に規律をもたらしている。
この集大成がモードジャズ最高峰に位置付けられる凡そ一年後に録音の”Kind of Blue”に帰結する。
曲名は、モードジャズの始まりを意識してか、「金字塔」と「マイルスの音色」をかけているものと思われる。1月19日に登場したアートペッパーのアルバムの”The rhythm section”による、その一年後の作品だが、アドリブの余地が殆ど与えられていない。これが痺れるほど神経を尖らせるマイルスの凄みと統制力の証。
コロンビアレーベルの名プロデューサーであり、キースジャレットのためにECMとの契約を交渉したジョージアバキアンが手がけた同社スタジオのNY録音。マンハッタンの国連ビルの近くにあった同スタジオは、別名”The Church”と呼ばれたそう。その理由は当初、教会として建てられた建物だから。マイルスのコロンビア時代の諸作は、同レーベル一作目の”’Round About Midnight”、前述の”Kind of Blue”を含めて、本スタジオで録音されている。その他、ピンクフロイドの名盤、”The Wall”やフランクシナトラの”New York, New York”の録音もこちら。教会だけに天井が高くて空間があるので、窮屈なマンハッタンにおいて、開放的な印象を受ける。それが、名作を多数送り出した要因の一つのように思われる。残念ながら建物は競売にかけられて取り壊され、現在は十階建てのアパートになっている模様。
“The Church”


同リズムセクションによる約一年前のアートペッパーとの作品は、こちらから。本作と比較すると、のびのびと演奏しているように思えてならない。
