退職はもったいない?──その言葉は、誰かの価値観かもしれない話
退職を告げて、心が楽になるはずだった
先日、私はずっと働いてきた会社に退職を告げました。
子育てと仕事、今までは両立できていたのに、40歳になって、
マネジメントを始めてから、歯車が狂い始めました。
複合的な理由や要因がありますが、数カ月ずっと悩んで、私は退職を決断。
今回は、今までの退職とは違う。
転職先も決めずに、"キャリアブレイク"を取るという選択です。
退職を告げた瞬間、
今までずっと苦しかった気持ちが、すーっと晴れていくようでした。
ようやく自分の中で決断できた──そう思ったのです。
ただ退職を告げたその日には、具体的な退職日や結論までは出せず、
時間も足りず、上司も「一度持ち帰らせて」と言われたのです。
それでも、私は心の中で少しだけ軽くなっていました。
やっと「もう無理をしない自分」に一歩近づけた気がしたんです。
これで、私の新たな一歩が始まる。
退職を告げた日はそう、確かに感じていました。
けれど、話し合いの結論がでなかったことで、
思わぬ方向へ、私の気持ちは揺さぶられていくことになりました。
今日はそんな、私の退職を告げてからの心の変化や気持ちについて、綴ろうと思います。
➡️退職を決断したときのnoteはこちら
”もったいないおばけ”が出てきた日
その後、改めて話し合う機会を持ちました。
上司だけじゃなくて、長く一緒に働いてきた役員とも話をすることに。
特に仲の良いその人に言われた言葉が、
私の中で“もったいないおばけ”を呼び起こしたんです。
退職理由を伝えたとき──。
子どものことだけでなく、会社の将来性や展望が見えなくなったこと、
自分の中で描ける未来が描けなくなったことを話しました。
すると彼は、私にこう切り出しました。
「それが大きな理由なら、辞めるのはもったいないよ。少なくとも転職のほうがまだいいんじゃないか。」
「組織状態がよくないのはめるさんのせいではない。そのことが理由で辞めるならあまりにももったいないし、背負う必要はないよ。
逆にその環境や将来的な展望、現状の組織課題が解決できるのであれば、まだいれるってことなのかな?」
とも、言われた。
その言葉を聞いたとき、胸の奥がじんわり熱くなった。
長年頑張ってきたことを認めてもらえた気がして、正直、嬉しかった。
「私を必要としてくれているんだ」
──その気持ちは、ありがたいと思いました。
でも、同時に、なぜか苦しかった。
嬉しいはずなのに、心の奥がギュッと締めつけられるような感覚。
引き留められて、嬉しいのに、苦しい理由
その日は結局また、結論が出せませんでした。
退職を告げたら、引き留めもされずにそのまま了承されることもあるだろうに。
自分はそうやって、惜しんでくれる声をいただけている。
それは率直にありがたかった。
それが会社の損失のためである、ということもわかってはいるけれど。
それでも、嬉しいとは思ったんです。
でもその後、家に帰ってからも、胸のざわつきが消えませんでした。
休日になっても心が休まらず、ずっと何かに締めつけられていて。
「もったいない」と言われたのが、なぜこんなにも苦しいんだろう。
私は自分の中で何度も問い直しました。
そして気づいたんです。
“もったいない”は、相手の優しさの中にある“他人の物差し”なんだ。
私が感じていたのは、「認めてもらえた嬉しさ」もあったけど、
それより“期待に応えたい自分”と“、
もうここにはいたくない自分”の狭間で、揺れる苦しさでした。
他人軸と自分軸、どちらが大事?
──今まで築いてきたキャリアを手放すなんて、もったいない。
──育児とキャリアを両立できる道は、全然あるのにもったいない。
──組織の状態が理由での退職で辞めるなんて、もったいない。
そう言われると、確かにそうなのかもしれない。
私自身も、一瞬「そうなのかな」と思ってしまう。
でも、じゃあなぜまだこんなに胸が苦しいのか。
その矛盾に、私はじっと向き合ってみました。
たどり着いた結論は、
これらはすべて”他人軸でのもったいない”、だったということ。
会社にとってのもったいないという軸と、
私が思う、もったいないには、違いがある。
会社としては、人材を手放すことで失われる損失が怖い。
私のことを思ってくれているとしても、
私の今までのキャリアや現在の評価を考えると、退職はもったいないのでは、という物差し。
じゃあ、私が思う”もったいない”は?
──このまま苦しい気持ちを抱えながら働き続ける時間。
──子どもと向き合う時間が取れないこと。
──新しい挑戦を先延ばしにしてしまうこと。
これが、私の自分軸での”もったいない”だった。
決断を他人軸のもったいないで、決めていいのか。
会社や誰かにとっての“もったいない”で、
私の人生の決断を決めていいのか。
そう思った瞬間、胸の中のざわつきが少し静まった。
私の中の“もったいない”は、
自分の心を置き去りにしてまで、誰かの期待に応え続けること。
決断するときは、自分軸でいたい──。
自分が決めた軸での決断じゃないと、きっと後悔すると思いました。
手放したくなかったものの正体
改めて自分に問いかけてみました。
「私がこの仕事で手放したくないものって、なんだろう?」
出てきた答えは、安定した収入だけでした。
もちろん、生活を支えるお金は大切。
でも、今すぐ生活に困るほどではない。
必要な分の資産もすでにある。
それなのに、安定を守るためにこの苦しさを抱え続けるのか?
そう思った瞬間、
ふっと心の中で何かが静かにほどけました。
お金の安心と引き換えに、失っていたもの
仕事を続ければ、確かに安定した収入は得られる。
けれど、その裏で私は「精神の不安定」というコストを支払っていることに気づきました。
安定収入=安心、じゃない。
むしろ今は、真逆の状態になっている気がしました。
・毎日モヤモヤして、子供や家事に集中できない
・思考の多くを仕事に奪われてしまっている
・身体にも、不調がでてきている(耳鳴りや倦怠感)
お金の安心を得る代わりに、
心の平穏や、子どもと過ごす時間、自分の健やかさを失っていた。
これでは、本末転倒だ。
率直に、そう感じたのです。
心がワクワクしない、それが答えだった
それでもまだ、往生際の悪い私は、少しの迷いが残っていました。
「もう少し頑張れば、また気持ちが変わるかもしれない」
「会社が良くなったら、もう一度やりがいを感じられるかもしれない」
そんなふうに、ほんの小さな“希望”を自分に言い聞かせていました。
でも、静かな夜にずっと考えていると、
ふと心の奥から小さな声が聞こえた。
「ねぇ、本当にワクワクしてる?」
その瞬間、ハッとしたんです。
仮に今の環境がよくなったとしても、もうそこにいる自分が想像できなくなっていることに。
➡️中々決められない悩み中の時期の話。
条件が整っても、心が動かない
もし会社の環境が良くなって、
給料も上がって、
仕事の負担も減ったとして——
私は、もうここで心から笑えるだろうか?
そう想像したとき、
胸の奥は少しも高鳴らなかった。
「条件」が整っても、
「感情」が動かない。
ああ、これが答えなんだ──。
ようやくそう腑に落ちた瞬間でした。
ほんと、ここまで悩みすぎだよ自分、とツッコミをいれたいですが、
それも私。
こうやって、自分で答えを見つけないと結局は後悔してしまうから。
なので、この悩んできた時間も無駄ではない、と思っています。
ワクワクしない場所に自分を置かない
退職で引き留められることは、きっと誰でもあることだと思います。
そのとき、心が揺れてしまうこともあると思います。
特に責任感が強い人ほど、その傾向があるかもしれません。(私もそのタイプです)
でも、私がたどり着いた結論は、
心が動かない場所で頑張り続けることは、
自分を少しずつ消耗させていく──。
それは、
“安定”を守るために、自分を少しずつ失っていくことなんだと思いました。
今の会社の環境が良くなっても。
将来が見える状態になっても。
そう想像しても、私の気持ちはワクワクしませんでした。
「もったいない」と言われても、
私の心が動かないなら、それが答え。
そこに私の本音があったのです。
おわりに:決断するときこそ、自分軸が大事
退職を告げて、心が軽くなるはずだった私。
けれど一度は引き留められ、迷い、揺れ、また苦しみの中に戻ってしまったこの経験を綴ることで、
同じように苦しんでいる誰かの助けになればいいなと思います。
退職するとき、いろんな声があなたに届くと思います。
それはあなたを悩ませるかもしれない。私もそうだったように。
でも、その声は、
もしかしたら“他人の幸せの物差し”や“誰かの基準での結論”なのかもしれません。
あなたの自分軸での本音は、どうですか?
迷ったときはそうやって、自分の気持ちに問いかけてみてください。
決断するときこそ、自分軸で決断すること。
それが、きっと後悔しない選択につながる。今は、そう信じています。
➡️退職を決断するまでのわたしのストーリーはこちら
