【遁走詩/連作短歌】 乱舞
光差し 片目つむり見上げれば
どこから来たのか一羽の白鷺
目で追えばその先にあるグレーの空
梅雨の合間の光のゆるみ
ため息とわずかな風が混じり合い
どんな色かと笑いが漏れて
ささやかなひとときの間に色を植え
いつに咲くかとそれに問いて
明日が為 そんな言葉の理由など
知らぬ存ぜぬ 今は今の為
音を聴き広げた言葉集めては
次へと渡すこの花束を
◇
音を聴き広げた言葉集めては
次へと渡すこの花束を
風渡る 胸に抱いた移り香と
フタを開ければコーラ冷えてる
シュワシュワと弾けた泡が浮かれてる
それを横目にキーをカタカタ
冴え渡る 琥珀色したタンブラー
のどをつたえば潮騒寄せる
午後8時 甘く艶めくいちご月
尖るくちびるかすれた音色
シャットダウン なまぬるい風くすぐれば
月と私のただ二人きり
◇
シャットダウン なまぬるい風くすぐれば
月と私のただ二人きり
目を閉じてほぅと息吐く午前二時
いつしか消えた月の面影
冷蔵庫の明かりだけが眩しい夜
そのまま顔を突っ込んだ
「あたし、なにしてんだろな」
リビングの床にぽたりと落ちた水滴
頭から思いっきりシャワーを被って
全部流れてしまえと願う
どさっと仰向けに転がる
ただひとり
何かを欲して、舐めた唇
コハクシスさんと湖畔さんと紡いだ遁走詩も、今回でラストとなりました。
コハクシスさん
湖畔さん
ひとことで言うなら、本当に楽しかったです。
言葉を受け取るよろこび。
その世界に深く意識を下ろして、私もまた言葉を紡いでいき、そっと手渡すよろこび。
それぞれの糸が一枚の織物になったものを眺めれば、不思議なシンクロに驚いたり、笑ったりじいんとしたり。
ほんとうに、濃密な時間を過ごすことができました。たぶんきっとこの先の人生でふり返ったとき、ああ、楽しかったなぁって、きらめく思い出になるんだと思います。
どうしてそこまで思うのか。
この歳になり、家族と生き、職場で奮闘し、日程や家のことを調整して、たまに友人と山に登ることはあったとしても、それ以外で誰かと何かを作り上げられることなんて、私の人生にはないからです。
コハクシスさんと湖畔さんに、ただただ、感謝です。
お付き合いくださったあなたにも、心からの感謝を込めて。
【追記】
ツインクルというお菓子を食べている。卵型のチョコは空洞になっていて、前歯でカリッと割ると、中にマーブルチョコやラムネが入っている大変夢のあるお菓子だ。中には可愛らしいシールまで入っていて包み紙も色とりどりでキュンとする。そんな可愛い包み紙を飢えた獣のように乱暴に剥がすわけにはいかない。けれどこのキュートな紙は薄くて、すぐに破れてしまうのが難点だ。ビリっといかないよう神経を研ぎ澄まし、そーっとめくること必須。めでたくそれをやり遂げた末には、綺麗な四角いかたちを保てた充足感まで得られる。どこかのお高いランチや並ばないと買えないスイーツではなく、硬貨何枚かで叶う私の贅沢。スーパーで見かけてもなかなか手が出ない別格の存在。仕事の休憩時間にひそやかに楽しみ、そのキラキラしたシールをほくほくしながら机の引き出しに入れる。するとそこには、何年か前のシールが一枚、きらきら光っていた。ああ。あの日もきっとこんな風に、事務所の片隅で密かな贅沢を味わったのだろう。noteを始める1年前より、私は素敵に変わったと思っていた。でもとくに何も変わっていなかった。べつに聞いちゃいないがそんなことまで教えてくれてありがとう。魅惑のツインクル。
#なんのはなしですか
湖畔さんの第三弾(ラスト)はこちらから。
コハクシスさんの第三弾 (ラスト・タネ明かしあり)はこちらから。
想狗さん。ありがとうございます。
