[遁走詩/連歌]デイ・ドリーム。
光差し 片目つむり見上げれば
どこから来たのか一羽の白鷺
目で追えばその先にあるグレーの空
梅雨の合間の光のゆるみ
ため息とわずかな風が混じり合い
どんな色かと笑いが漏れて
ささやかなひとときの間に色を植え
いつに咲くかとそれに問いて
明日が為 そんな言葉の理由など
知らぬ存ぜぬ 今は今の為
音を聴き広げた言葉集めては
次へと渡すこの花束を
◇
音を聴き広げた言葉集めては
次へと渡すこの花束を
風渡る 胸に抱いた移り香と
フタを開ければコーラ冷えてる
シュワシュワと弾けた泡が浮かれてる
それを横目にキーをカタカタ
冴え渡る 琥珀色したタンブラー
のどをつたえば潮騒寄せる
午後8時 甘く艶めくいちご月
尖るくちびるかすれた音色
シャットダウン なまぬるい風くすぐれば
月と私のただ二人きり
◇
シャットダウン なまぬるい風くすぐれば
月と私のただ二人きり
目を閉じてほぅと息吐く午前二時
いつしか消えた月の面影
冷蔵庫の明かりだけが眩しい夜
そのまま顔を突っ込んだ
「あたし、なにしてんだろな」
リビングの床にぽたりと落ちた水滴
頭から思いっきりシャワーを被って
全部流れてしまえと願う
どさっと仰向けに転がる
ただひとり
何かを欲して、舐めた唇
湖畔さん、やまびよりさんと編んだ遁走詩の第三弾。一旦今回でラストとなる。第三弾はお二人と話し合って、連作短歌の形式とした。
連作短歌とは短歌を何首か詠んで一つの作品にするジャンルだが、その最後の一首を渡すということで、非常にハードルが高かった。
詩の一部を渡すのと違い、短歌は一首だけでも世界が成立するので、遁走詩の醍醐味である〝前の人の詩に引っ張られない〟というテーゼから逃れるのが難しい。
とはいえ、こうしてできた作品を見ると、三人の「声」や「景」がしっかりと出ている一方で、通し連作としての形がきちんとひとつの輪郭を持っている。
タイトルは『デイ・ドリーム』とした。お二人と編んだ数日間がまるで白昼夢を見ているような、そんな気持ちがずっとあり、その流れが結実した形として本作が生まれたような気がしたからだ。そして、このタイトルは図らずともこの連歌全体の標題としても、自分のなかでピタリとハマった感覚がある。
第三弾は私がアンカーなので詠者の種明かしをすると、最初が湖畔さん、次がやまびよりさん、そしてラストが私である。
今回、遁走詩という形を借りて、短歌という極めて個人の内面を写し、かつ生活風景の延長にある文芸をこのような形で繋げることで新しい世界を広げる試みができた。
改めて、湖畔さん、やまびよりさん、本当にありがとうございました。
最後に、ここまで読んでいただいて、遁走詩をやってみたいと思った方はぜひお誘い合わせのうえ楽しんでみてほしい。
山本蛇内さん、再生補修さんと編んだ前回。そして、湖畔さん、やまびよりさんと編んだ今回。私がやってきて思ったのは、遁走詩とは〝作る側が一番楽しめる詩のかたち〟ということだ。
制作過程での驚きや、詩を繋げた瞬間に脳に迸る衝撃は、恐らく作品を見るよりもやってみていただく方が遥かに実感できると思う。
組む人、詠む順番が変わるだけで映る景色がガラッと変わる。それはまさしく万華鏡。
ぜひこれを見てる皆さんも、気軽な気持ちで挑戦してみてほしい。遁走詩はSNS時代の新しい詩のジャンルとしてこれからもっと広がっていくと私は確信している。
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遁走詩についてはこちらの想狗さんの記事を参照ください。
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▼お二人の記事はこちらから!▼
🔳湖畔さん わたしという全て
🔳やまびよりさん 乱舞
