診断する?しない?3年葛藤した我が家が出した結論⑥
こんにちは。
毎日眠気と闘っている、ねむママです。
この記事では、我が家が療育につながるまでの出来事を綴っています。
今回は、私たち夫婦が腹を決めた出来事について書きます。
前回の記事はこちら👇
🌱揺れる夫の気持ち
発達相談・検査について、夫婦でまた意見が割れてしまいました。
「やっぱり行った方がいいのでは」と思っている私と、
「息子が傷つくところを見たくない」という気持ちの夫。
夫は息子をよく見ていました。
私が産休・育休に入ってからも、私に育児が偏らないよう仕事を調整し、息子との時間を長く過ごしてくれていました。むしろ、娘が生まれてからは、夫の方が息子をよく見ていてくれたかもしれません。
だからこそ、息子の繊細さを誰よりも感じていたのだと思います。
揺れ動く夫の気持ちは、私にも痛いほどわかりました。
🌱運動会がやってきた
夫婦で結論を出せずにいたある日。
息子の運動会に行くことになりました。
息子の通っている保育園は、0〜2歳クラスまでは運動会がありません。
大人が決めたことを練習させるのではなく、ありのままの姿を保護者に見てほしいという方針で、親子が交流できるイベントが別に用意されていました。
そのため、息子にとって運動会は今回が初めて。
会場となる地域の小学校の体育館に着くと、大勢の人で賑わっていました。
年少から年長までが同じ異学年クラスで、園児は約30名。
その保護者や兄弟も集まるため、会場は想像以上の人!
まず、息子は体育館に入るところからスムーズにはいかず、興奮している様子が伝わってきました。
お友達のご両親にも助けていただきながら会場へ入り、私たち夫婦と娘は保護者席へ。
他の保護者の方と雑談しつつも、私は息子が気になって仕方ありませんでした。
息子は入場のため、先生方と体育館の隅で待機することになっていたのですが…
そこで見たのは、年少クラスの子どもたちがきちんと並んで座っている姿。
息子だけがジタバタと体を動かし、先生が一人付き添ってくださっていました。
保育園の送り迎えでは、年少クラスはもちろん、年中クラスや年長クラスにも元気いっぱいな子はたくさん見かけます。よく、走り回って注意されている姿も見ていました。
でも、この日は息子以外、みんなしっかり座っていたのです。
隣を見ると、夫も同じことを感じていたようで、複雑そうな表情をしていました。
🌱目立ちたい?楽しい?そうじゃない…
入場行進の時間になりました。
息子の手には、一生懸命作った旗が握られていました。
その旗を持ち、一列になって先生の後ろを歩く。
それが年少クラスの入場でした。
ところが、音楽が流れた瞬間ー
息子は一人で走り出しました。
そして、旗を振りながら何周も何周も体育館を走り回ったのです。
自分の子どもを撮影しようとカメラを構えている保護者の前を、何度も横切りました。
その時の息子の顔は、張り付いたような笑顔でした。
息子の様子を見ていた保護者の方が、
「息子さん、相変わらず元気ですね〜。男の子ってこの年齢の時は目立ちたいですもんね。」
「すごく楽しそうですね。」
と声をかけてくださいました。
私は、何度もカメラに映り込んでしまっていることを謝りながら、愛想笑いをするしかありません。
私は、息子が楽しんでいるようには思えませんでした。
むしろ、止められなくて困っているように見えたのです。
入場行進の音楽は聞き覚えがありました。
息子は家で何度もその曲を歌い、
「頑張って作った旗を持って入場するんだ。」
「僕は一番後ろなんだよ。」
そう話していました。
本当は、みんなと一緒に並んで入場したかったんじゃないかな・・・。
そう思うと、胸が痛くなりました。
🌱息子を止める?会場での葛藤
演目が進むにつれ、息子の多動っぷりはどんどん目立っていきます。
それでも、他の学年の競技が行われている間は、競技の邪魔にならないよう必死に過ごそうと努力してたようにも見ました。競技スペースに入らないようにと何度も体育館のドアから外へ出ようとし、そのたびに先生や他の保護者の方が止めてくださいました。(換気のため横のドアが開いていました)
私はそんな息子を追いかけようとしましたが、先生方はジェスチャーで「大丈夫です」と伝えてくださり、やめました。
夫も、
「無理に俺たちが止めたら、多分癇癪が起きて、この運動会自体が台無しになる可能性がある。」
そう言い、葛藤しているようでした。
そして息子は、自分の学年の競技の順番が来ても加わることができず、前半が過ぎていきました。
🌱「できる」と「できない」の間で
後半になると、息子は慣れ親しんだサーキット競技には参加できました
(当時スポーツ教室で何度もやっていた動きでした。)
親子競技も、私と一緒であれば参加することができました。
そして結果は、一位。
突然スイッチが入った息子に、周りの保護者や先生方も驚いていました。
でも、その競技が終わるとまた走り出したり、脱走したりしてしまう。
私はその姿を見ながら、改めて思いました。
息子は、できる場面では持っている力を十分に発揮できる子。
そして、この日初めて気づきました。
息子が誤解されやすい理由に。
できる姿を見た人は、
「できるのに、どうしてやらないの?」
「もう少し頑張ればできるんじゃない?」
「この前はできてたじゃん」
そう思ってしまうのかもしれません。
でも実際は、息子は「やらない」のではなく、できる時と、どうしてもできなくなってしまう時の差が、とても大きい子だったのです。
母親である私自身も、何度も
「本当はできるの知ってるよ」
「ほら、やってごらん」
と声をかけてきていました。
私は、運動会での息子の様子を見ながら、
これまでの自分の対応を、深く後悔していました。
🌱息子の踏ん張り
そして最後は、異学年競技。
年長の子とペアになり、ボールを運ぶリレーです。
息子は、なんとアンカーでした。
ところが靴を脱ぎ、その場から駆け出してしまいました。
ただでさえ待つのが苦手な息子・・・さらにはアンカーという大役で、おそらくプレッシャーもあったと思います。
そんな息子を待たずして、競技はどんどん進んでいきます。
息子とペアであるA君は、不安そうな顔で息子を待っていました。
A君のお母さんもまた、心配そうに見守っていました。
私は先生に、
「すみません、順番が来るまで私も入っていいですか。」
とお願いし、園児たちのところへ向かいました。
そして息子の両手を握り、こう伝えました。
「あのね、お話があるんだ。
A君は、今日が最後の運動会なんだよ。
来年は小学生になるの。
だから、この保育園のみんなとできる最後の運動会。
もう、やり直しはできないんだ。
"もう1回"はないの。」
息子は黙って私を見つめていました。
「ママ、小太郎が緊張していることも、人前に出たくないこともよくわかる。
でも、今日はA君のために頑張ってほしい。
ありがとうの気持ちで、一緒に走ってきてほしい。」
そう伝えると、息子は小さく、
「わかった。」
と言って列へ戻っていきました。
これが正解だったのかは、今でもわかりません。
でも、息子は見事にアンカーを務め、A君と一緒に最後まで走り切りました。
私はその姿を見て、涙が止まりませんでした。
全てが終わり、会場を出ると
最後の競技でペアだったA君のお母さんが声をかけてくださいました。
「小太郎くん、本当によく頑張ったね。」
「すごく立派だった。頑張ったと思います。ありがとうございました。」
A君のお母さんは泣いていました。
A君の最後の運動会。やり切ることができて、よかった。
息子のことを責めずに辛抱強く待っていてくれたA君。
そして、騒いだ息子のことを「立派だった」と言ってくださったA君のお母さん。
息子に個別に寄り添ってくれていた先生方。
自分たちの子もいるのに、息子が脱走しないように一緒に走ってくれた保護者の方。
感謝してもしきれませんでした。
🌱夫婦が腹を決めた日
運動会が終わると、息子は解放されたかのように屋外を走り回り、夫やお友達のお父さんに捕まえられてはジタバタしていました。
本人の中で、本当に精一杯頑張った一日だったのだと思います。
そして私たち夫婦は、その頑張りの裏側で、息子がどれほど必死に踏ん張っていたのかを初めて知りました。
その日の夜。
夫が静かにこう言いました。
「もう一度、発達検査まで進めてみようか。」
あれほど迷っていた夫の口から出たその言葉で、私たち夫婦の気持ちはようやく一つになった気がしました。
そして同時に、私たち夫婦が「この子に必要な支援を受けよう」と腹を決めた一日でもありました。
(続く)
🌱この記事について
このnoteは、我が家での経験や学びを記録したものです。
子どもの発達や診断は一人ひとり異なり、この記事だけで判断できるものではありません。診断や支援については、医療・療育・教育などの専門機関へご相談ください。
「こんな経験をした家庭もあるんだな」と感じるきっかけになれば嬉しいです。
療育につながるまでの話はこちら(完結)👇
