【縁側茶屋】歯医者シリーズ|歯医者の椅子が倒されたとき、世界が終わる
椅子が倒された瞬間、世界が色を急速に失っていく。
そして、聴覚だけが研ぎ澄まされる。
カチャ、カチャ、という準備の音。
キィーン、という器具の動作確認の音。
極めつけは歯を削る時の、
ガガガ、という工事現場のような音だ。
「口をすすいでください」
これで終わりかと思ったら、違う。
また、椅子が倒される。
あぁ、この繰り返しは、永遠に終わらないのではないだろうか?
絶望に襲われる私に、光がさす声が聞こえた。
「はい、終わりです」
椅子が起こされる。
世界が色を取り戻す。
もう聴覚は普通に戻っていた。
無事に生還した私。
心の祭りが、盛大に始まっていた。
……そうなることを心で願って、
歯医者の予約日へのカウントダウンをする。
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歯医者シリーズ
1.痛みのフェイント ~右じゃなかった~
すべてはここから始まりました。
2.歯医者の椅子が倒されたとき、世界が終わる
恐怖に打ち勝つためのシミュレーションです。(この話です)
3.縁側小話 歯医者へ行きたくない日
あまりに歯医者へ行きたくなさすぎて、駄々をこねて、
城の武将たちに総出で説得された話です。
4.椅子が倒れても世界は終わらなかったけど、治療は続いた
今日で治療が終わりだという希望を胸に向かった歯医者で、
その希望を打ち砕かれた日の話です。
