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【縁側茶屋】歯医者シリーズ|歯医者の椅子が倒されたとき、世界が終わる

椅子が倒された瞬間、世界が色を急速に失っていく。
そして、聴覚だけが研ぎ澄まされる。

カチャ、カチャ、という準備の音。
キィーン、という器具の動作確認の音。

極めつけは歯を削る時の、
ガガガ、という工事現場のような音だ。

「口をすすいでください」

これで終わりかと思ったら、違う。
また、椅子が倒される。

あぁ、この繰り返しは、永遠に終わらないのではないだろうか?

絶望に襲われる私に、光がさす声が聞こえた。

「はい、終わりです」

椅子が起こされる。
世界が色を取り戻す。

もう聴覚は普通に戻っていた。

無事に生還した私。
心の祭りが、盛大に始まっていた。

……そうなることを心で願って、
歯医者の予約日へのカウントダウンをする。


🍡ー・ー🍵ー・ー🍡ー・ー🍵ー・ー🍡

歯医者シリーズ

1.痛みのフェイント ~右じゃなかった~
  すべてはここから始まりました。

2.歯医者の椅子が倒されたとき、世界が終わる
  恐怖に打ち勝つためのシミュレーションです。(この話です)

3.縁側小話 歯医者へ行きたくない日
  あまりに歯医者へ行きたくなさすぎて、駄々をこねて、
  城の武将たちに総出で説得された話です。

4.椅子が倒れても世界は終わらなかったけど、治療は続いた
  今日で治療が終わりだという希望を胸に向かった歯医者で、
  その希望を打ち砕かれた日の話です。


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