【縁側茶屋】歯医者シリーズ|椅子が倒れても世界は終わらなかったけど、治療は続いた
痛みのフェイントから始まった、
歯医者嫌いの私が歯医者へ行くイベントを
頑張った日々。
それも、今日で終わりだ。
その気持ちで、歯医者の前に立った。
今日の予定は、歯のお掃除と虫歯の治療。
先にお掃除をするらしい。
私が例の倒れる椅子に座ると、
優しげな先生が入ってくる。
とうとう来たか。
緊張が高まる。
いつ、椅子が倒されても慌てることがないように
心を強く持つ。
でも、先生はずっと普段の歯磨きの様子や
食生活のことなどを聞き取るだけで、
一向に椅子を倒そうとしない。
嫌な予感がむくむくとわいてくる。
私は、思い切って先生に聞いた。
🦎🎀「あの、今日で終わりますよね?」
その言葉に、先生の動きが一瞬止まる。
そして、私を絶望に落とす一言を放った。
「少し通ってもらうことになりますね」
うそでしょ……。
私のシミュレーションでは、
今日ですべてが完了して、
スキップして家に帰る予定だったのに。
その後、椅子が倒されて軽くお掃除。
それが終わると、先生が言った。
「時間をおいちゃうと迷っちゃうから、
ここで次の予約を取っちゃいましょうね」
笑顔と声は優しかったけど、
その言葉は私の逃げ場をしっかりとふさいだ。
唯一の救いは、
虫歯の治療がその日で終わったこと。
あの、自分の口の中から
工事現場みたいな音がする時間は終わったのだ。
次は麻酔はしない。
削ることもない。
家へ帰り、麻酔で閉まらない口を指で閉じながら、
自分にそう言い聞かせつつ、うがいする。
ーーどうやら、私、
しばらくあの倒れる椅子から、解放されないみたい。
🍡ー・ー🍵ー・ー🍡ー・ー🍵ー・ー🍡
歯医者シリーズ
1.痛みのフェイント ~右じゃなかった~
すべてはここから始まりました。
2.歯医者の椅子が倒されたとき、世界が終わる
恐怖に打ち勝つためのシミュレーションです。
3.縁側小話 歯医者へ行きたくない日
あまりに歯医者へ行きたくなさすぎて、駄々をこねて、
城の武将たちに総出で説得された話です。
