【ハンガリー狂詩曲関連】フランツ・リストのピアノ曲紹介
この記事では「マジャールの歌とマジャール狂詩曲 S.242」を除くハンガリー狂詩曲の関連曲を紹介します。
ハンガリーの民俗旋律 S.243
ハンガリー民謡やジプシー音楽をもとにした曲集「マジャールの歌 S.242」に収録したいくつかの作品をさらに改訂したもの。およそ1840年頃作られた。この3曲は後に「ハンガリー狂詩曲第6番」の素材となる。なおこの作品は「3曲の曲集」とみなす場合と、「3楽章制の一つの作品」とみなす場合がある。
演奏はウォーレン・リー。
ハンガリーの民俗旋律 第1番 S.243/1
「マジャールの歌 第5番」に序奏部とコーダを付け加えたもの。
ハンガリーの民俗旋律 第2番 S.243/2
「マジャールの歌 第4番」と同一の曲。
ハンガリーの民俗旋律 第3番 S.243/3
「マジャールの歌 第11番」の第2部に前奏部とコーダを付けたもの。
マジャールのテンポ S.241b
「ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6」と共通の旋律を使用した小品。1840年作。自筆譜はオックスフォード大学のボドリアン図書館に所蔵されている。
演奏はクリストファー・ウィリアムズ。
ハンガリーの有名な旋律 S.243a
「マジャールの歌 第11番 S.242/11」の後半部をフランシス・プランテのために改訂したもの。1866年以降に書かれた。「ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6」の素材となる。
演奏はクリストファー・ウィリアムズ。
ラーコーツィ行進曲 〔第1稿〕 S.242a
リストはハンガリーの民俗旋律である「ラーコーツィ行進曲」を基にいくつか作品を書いているが、この作品は現存する一番最初のもの。1839年から1840年にかけて作られた。著名なリスト研究家であるマリア・エックハルトの論文にて1975年に初めて世に出る。リストがこの旋律を使用した最も有名な例は「ハンガリー狂詩曲 第15番 S.244/15」。
演奏はウォーレン・リー。
ラーコーツィ行進曲 〔第1稿・簡易稿〕 S.692d
リスト研究家マリア・エックハルト女史が発見した「ラーコーツィ行進曲 〔第1稿〕 S.242a」の自筆譜に同じく書かれている未完成の簡易稿。
ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より編曲〕 S.244a
このハンガリーの民俗旋律をリストは管弦楽曲化し、それをピアノ独奏編曲したもの。1871年作。
演奏はクリストファー・ウィリアムズ。
ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より簡易編曲〕 S.244b
ラーコーツィ行進曲を基に管弦楽曲を作り、その管弦楽稿のピアノトランスクリプションを作った。この稿はさらにその簡易稿。1871年作。
アルバムの綴り "マジャール" S.164e/1
「マジャールの歌 第10番 S.242/10」の旋律を使用した楽想。1840年作。
アルバムの綴り "マジャール" S.164e/2
モシェレスのために書かれた小品。1840年作。「マジャールの歌 第11番 S.242/11」の旋律が使用されている。この旋律は後に「ハンガリー狂詩曲 第3番 S.244/3」で使用される。
アルバムの綴り "マジャール" S.164e/3
リストが他人のために書き留め贈呈した、ちょっとした譜面。1841年作。「ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6」の旋律を使用している。
アルバムの綴り "ラーコーツィ行進曲" S.164f
ハンガリーの旋律「ラーコーツィ行進曲」を使用した楽想。1841年作。
コンソレーション 〔第1稿〕 第3番 S.171a/3
最終稿の「コンソレーション S.172」の第3番とは全く別の曲。「マジャール狂詩曲 第23番 - 夢想と幻想 S.242/23」と旋律が共通している。すなわち「ハンガリー狂詩曲 第1番 S.244/1」の原型となる。
演奏はゴラン・フィリペツ。
ジプシーの叙事詩 S.695b
「マジャールの歌とマジャール狂詩曲 S.242」の素材を転用して、およそ1848年に簡素化し一新した曲集を作ろうとしたが頓挫したもの。当然同曲を前身とする「ハンガリー狂詩曲 S.244」とも関連が深い。リスト本人による正式名称は「ジプシーの叙事詩、マジャールの歌とマジャール狂詩曲の普及版」。全何曲になる構想だったのかは不明。全ての譜面が書かれたわけではなく、例えば「~番はマジャールの歌~番と同一」や「~番の~小節はマジャール狂詩曲~番の~小節から転用」のように番号が示されているだけの場合が多い。そのようなリストの指示を汲み取りながら、ハワードが11曲を演奏可能な状態にした。
ジプシーの叙事詩 第1番 S.695b/1
「マジャールの歌 第1番 S.242/1」と同一。
ジプシーの叙事詩 第2番 S.695b/2
「マジャールの歌 第2番 S.242/1」と同一。
ジプシーの叙事詩 第3番 S.695b/3
「マジャールの歌 第3番 S.242/3」を基にしているが、後半は改訂されている。
ジプシーの叙事詩 第4番 S.695b/4
「マジャールの歌 第4番 S.242/4」と同一。簡易オッシアがある部分はそれを演奏している。つまりオッシアを除けば「ハンガリーの民俗旋律 第2番 S.243/2」とも同一の曲となる。
ジプシーの叙事詩 第5番 S.695b/5
「マジャールの歌 第5番 S.242/5」と同一。
ジプシーの叙事詩 第6番 S.695b/6
「マジャールの歌 第6番 S.242/6」と「マジャール狂詩曲 第12番 悲劇的な英雄の詩 S.242/12」を混合したもの。
ジプシーの叙事詩 第7番 "ラーコーツィ行進曲" S.695b/7
「マジャール狂詩曲 第13番 - ラーコーツィ行進曲 S.242/13」を挿入するようにというリストの指示がある。マジャール狂詩曲13番は2つの稿(通常稿S.242/13と簡易稿S.242/13a)があり、ハワードは簡易稿を挿入する方がふさわしいと判断し、そちらを演奏している。
ジプシーの叙事詩 第8番 S.695b/8
「マジャールの歌 第10番 S.242/10」を基にして数小節変更したもの。
ジプシーの叙事詩 第9番 S.695b/9
「マジャールの歌 第7番 S.242/7」を基にして数小節変更したもの。
ジプシーの叙事詩 第10番 S.695b/10
「マジャールの歌 第8番 S.242/8」を基にして数小節変更したもの。
ジプシーの叙事詩 第11番 S.695b/11
「マジャールの歌 第9番 S.242/9」を基にして数小節変更したもの。
【関連作品】
ハンガリーの民俗旋律 〔簡易稿〕 S.243bis
リストはいくつかの作品をアマチュアでも演奏できるように簡素化したが、それらはどれもやはりアマチュアには難しく、その試みは成功しなかった。この作品もそのひとつ。およそ1843年頃作られた。この3作品は最終的には「ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6」の素材となる作品。
演奏はカルロ・グランテ。
第1番 S.243bis/1
第2番 S.243bis/2
第3番 S.243bis/3
● 楽譜紹介
新リスト全集の楽譜では今回ご紹介した楽曲は以下のものに収録されています

・ハンガリーの民俗旋律 〔簡易稿〕 S.243bis
・ラーコーツィ行進曲 〔第1稿〕 S.242a
・ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より編曲〕 S.244a
・ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より簡易編曲〕 S.244b
それではみなさま良い一日を
