介護職は人手不足だからこそ、私は小さな違和感を見逃さない
研修講師、手話通訳士の横山熊太郎です。
AIを活用しながら、シニア向けの情報や、書籍やガジェットの紹介などをしています。
介護職員初任者研修の受講が、ようやく半分を超えました。
およそ1カ月後には、修了試験が待っています。試験を無事に終えれば、介護職員初任者研修を修了し、ヘルパーとして働くためのスタートラインに立てます。
新しい仕事を始めることに、不安がないわけではありません。それでも、これまでとは違う分野へ一歩ずつ進んでいることに、確かな手応えを感じています。
ただし、介護の仕事を始めるからといって、現在取り組んでいる手話通訳や研修講師の仕事をやめるつもりはありません。
私は、それぞれの仕事を組み合わせながら、自分に合った働き方をつくっていきたいと考えています。
私のように掛け持ちで働こうと思っている人にとって参考になれば幸いです。
介護だけに絞るつもりはありません
初任者研修を受けていることを話すと、「これからは介護の仕事に転職するのですか」と聞かれることがあります。
しかし、私が思い描いている働き方は、一つの職業に完全に移ることではありません。
週のうち2日は介護の仕事をします。3日は、これまで続けてきた手話通訳の仕事をします。土日は休養に充てながら、必要に応じて研修講師の仕事を行います。
もちろん、実際に働き始めれば、予定どおりにはいかないこともあるでしょう。仕事の依頼や勤務先の都合によって、曜日の組み合わせを調整する必要も出てくるはずです。
それでも、現時点ではこのような形が、自分にとって無理がなく、長く続けられる働き方ではないかと考えています。
介護、手話通訳、研修講師は、別々の仕事に見えるかもしれません。
しかし、どの仕事にも、人と向き合い、相手の思いを受け取り、その人に必要な方法で関わるという共通点があります。
これまで培ってきた経験を手放して介護へ進むのではありません。今までの仕事に介護という新しい分野を加え、自分のできることを広げていきたいのです。
最終的には訪問介護で働きたい
私が最終的に目指しているのは、訪問介護の仕事です。
利用者の自宅を訪問し、一人ひとりの暮らしに合わせた支援を行う仕事に関心があります。
施設では、複数の利用者が同じ場所で生活しています。一方、訪問介護では、支援者が利用者の生活の場へ入らせてもらいます。
その人が大切にしてきた習慣、家具の配置、家族との関係、日々の過ごし方などを尊重しながら支援する必要があります。
利用者の生活に近い場所で、その人らしい暮らしを支えることに、私は大きな意味を感じています。
ただ、初任者研修を修了したからといって、すぐに一人で何でも対応できるわけではありません。
特に学びたいと思っているのが、認知症のある方への対応です。
まずは認知症グループホームで経験を積みたい
訪問介護では、一人で利用者の自宅を訪ねる場面が多くなります。
そのため、認知症のある方の言葉や行動をどのように受け止めればよいのか、どのような声かけをすれば安心してもらえるのかを、実際の現場で学んでおきたいと考えています。
そこで、まずは認知症のグループホームで働いてみようと思いました。
認知症グループホームは、認知症のある方が少人数で共同生活を送る場所です。職員は食事、入浴、排せつなどを支援するだけでなく、利用者ができることを生かしながら、その人らしい日常生活を支えます。
教室で知識を学ぶことは大切です。
しかし、教科書に書かれている事例と、目の前にいる一人の人との関わりは同じではありません。表情、声の調子、生活歴、その日の体調などによって、必要な対応は変わります。
だからこそ、まずは周囲に経験のある職員がいる環境で学び、認知症ケアの経験を積みたいと思っています。
アンケートに希望を書いたら、施設見学が決まりました
初任者研修のアンケートに、将来は訪問介護を目指していること、その前に認知症グループホームで働いて経験を積みたいことを書きました。
すると、研修を実施しているところの系列会社が運営する施設を見学させてもらえることになりました。
実際の施設を見ることができるのは、ありがたい機会です。
利用者がどのように過ごしているのか、職員はどのように声をかけているのか、施設内の雰囲気はどうか。求人票やホームページだけでは分からないことを、自分の目で確認できます。
ところが、見学の日程を調整するやり取りの中で、私は若干の違和感を覚えました。
日程調整で感じた、ほんの小さな違和感
何か失礼なことを言われたわけではありません。
明らかに不快な態度を取られたわけでもありません。抗議するほどの出来事でもありません。
それでも、やり取りの中に、わずかな引っかかりがありました。
言葉にするなら、「あなたが見学したいと言うので、こちらが日程を調整してあげましょう」という雰囲気でしょうか。
あくまで私が受け取った印象です。
相手にそのような意図はなかったかもしれません。忙しい中で日程を調整しているため、事務的な言い方になっただけとも考えられます。
ですから、今の段階で相手や施設を悪く評価するつもりはありません。
ただ、言葉そのものではなく、その周りに漂う雰囲気や、わずかな「匂い」のようなものが気になったのです。
手話通訳者は、言葉以外の情報も受け取っています
私は手話通訳者です。
毎日、コミュニケーションを仕事にしています。
手話通訳では、単語を別の言語へ置き換えるだけでは十分ではありません。話している人の表情、視線、身体の動き、間の取り方、声の調子、言葉が選ばれた背景など、さまざまな情報を受け取ります。
何を言ったかだけでなく、なぜその言い方をしたのか、何を言わずにいるのかまで考えます。
もちろん、読み取りが常に正しいとは限りません。受け取る側の経験や価値観によって、印象が変わることもあります。
それでも、毎日の仕事でコミュニケーションに向き合っているため、私は発せられる情報に敏感です。言葉の裏や行間を読むことにも、自然と注意が向きます。
今回の違和感も、説明しようとすると非常に小さなものです。
しかし、施設で働くかどうかを考えるうえでは、無視したくない感覚でもあります。
私は恩着せがましい態度が苦手です
私は性格的に、恩着せがましい態度が嫌いです。
もっとも、恩着せがましい態度を好む人は、あまりいないでしょう。
何かをしてもらったら、もちろん感謝します。忙しい中で見学の日程を調整してもらうことにも、ありがたいと思っています。
しかし、見学をお願いする側が一方的に恩恵を受けるわけではありません。
求職者は職場を知るために施設を見学します。施設側も、自分たちの職場を知ってもらい、採用につながる可能性を得ます。
見学は、どちらか一方がお願いして実現する特別なサービスではなく、お互いを知るための機会ではないでしょうか。
施設側が求職者を見るのと同じように、求職者も施設を見ています。
この対等な関係が感じられるかどうかは、職場選びにおいて重要だと思います。
介護施設を選ぶ余地はあります
皆さんもご存じのように、介護業界は深刻な人手不足です。
自宅の周りを見ても、介護施設や介護事業所は数多くあります。求人情報を調べれば、グループホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、デイサービス、訪問介護など、さまざまな募集が見つかります。
働く側は、どこにも選択肢がないわけではありません。
勤務日数、勤務時間、夜勤の有無、施設の種類、仕事内容、通勤距離、人間関係など、自分に合う職場や働き方を探せます。
特に私は、週に2日ほど介護の仕事をする形を考えています。
手話通訳や研修講師の仕事も続けるため、条件に合わない職場へ無理に入る必要はありません。
だからこそ、ほんの少しでも違和感を覚えた施設で、急いで働くつもりはありません。
見学してみて印象が変わる可能性はあります。現場の職員や利用者と接することで、「ここで学びたい」と思うかもしれません。
反対に、最初に感じた違和感が、見学を通してさらに大きくなることもあるでしょう。
どちらにしても、自分の感覚をごまかさずに見てきたいと思っています。
小さな違和感は、働き始めると大きくなることがあります
職場を探していると、明確な問題がなくても、何となく気になることがあります。
連絡が遅い、説明が曖昧、質問しにくい、担当者の言葉に圧を感じるなど、一つひとつは小さなことです。
「自分が気にしすぎているだけかもしれない」と思い、見過ごしてしまうこともあります。
しかし、採用前や見学時は、一般的には施設側が外部の人へ比較的丁寧に対応する時期です。
その段階で感じた小さな違和感が、働き始めてから大きな問題として見えてくる可能性はあります。
もちろん、第一印象だけで全てを決めるのも危険です。
担当者一人の対応が、施設全体の文化を表しているとは限りません。たまたま忙しかった、言葉の選び方が得意ではなかったということもあります。
だから私は、違和感を覚えたら即座に悪い施設と決めつけるのではなく、見学で確かめます。
ただし、違和感をなかったことにもしません。
見学では働く人への対応も確認したい
施設見学というと、建物の新しさや設備、利用者の様子に目が向きます。
それらに加えて、私は職員同士のコミュニケーションを見たいと思っています。
職員は利用者にどのような声をかけているでしょうか。忙しいときに表情や言葉が荒くなっていないでしょうか。新人が質問しやすい雰囲気はあるでしょうか。
見学者に対する説明は丁寧でしょうか。こちらの希望や働き方を聞く姿勢があるでしょうか。
認知症ケアを学びたい私にとって、職員のコミュニケーションは特に重要です。
認知症のある利用者への支援では、職員の言葉や表情、近づき方が、相手の安心感に大きく関わります。
求職者への対応に表れる施設の姿勢と、利用者への対応は、まったく別のものではないはずです。
人事担当者の言葉は、施設の入口になります
介護施設の人事や採用を担当している方にも、さまざまな事情があるでしょう。
通常業務を抱えながら、見学者への対応や面接の日程調整をしている人もいます。見学希望者が多く、全員が応募につながるわけではないため、負担を感じることもあると思います。
本音では、「こちらも忙しいのに」「本当に応募するのだろうか」と思うことがあるかもしれません。
その気持ちを持つこと自体を責めるつもりはありません。
ただ、その本音が言葉や態度から漏れないように対応した方がよいと思います。
人事担当者は、求職者が最初に接する施設の顔です。
最初の電話やメールで感じた印象が、そのまま施設全体の印象になることがあります。
特に人手不足の業界では、求職者に「選んでもらう」という視点も必要です。
見学の機会を与えてあげるのではなく、お互いを知る時間として迎える。その姿勢が伝わるだけで、求職者の安心感は大きく変わります。
人手不足でも、どこでもよいわけではありません
介護の仕事には、大きな責任があります。
利用者の身体や生活に直接関わり、ときには命に関わる判断も求められます。
その仕事を長く続けるには、給与や勤務条件だけでなく、安心して働ける環境が必要です。
人手不足だから採用されやすい、近所に施設がたくさんあるという理由だけで、どこでもよいとは思いません。
利用者を大切にしているか。職員同士が尊重されているか。分からないことを質問できるか。失敗したときに一緒に振り返れるか。
そして、働こうとする人に対して、最初から対等な相手として接しているか。
こうした点を、自分の目と耳で確認したいと思います。
違和感を無視せず、可能性も閉ざさない
今回感じた違和感は、ごく小さなものです。
見学を終えた後には、「考えすぎだった」と思うかもしれません。それなら、それでよいのです。
逆に、見学を通して「やはり自分には合わない」と感じるかもしれません。そのときは、別の施設を探します。
選択肢はあります。
大切なのは、自分が感じたことを最初から否定しないことです。
同時に、一度のやり取りだけで相手の全てを決めつけないことも必要です。
違和感は結論ではなく、もう少しよく見るための合図だと思っています。
新しい仕事だからこそ、職場は慎重に選びたい
初任者研修は、すでに半分を超えました。
あとおよそ1カ月で試験を受け、合格すればヘルパーとしての一歩を踏み出します。
まずは認知症グループホームで経験を積み、将来的には訪問介護に携わりたいと思っています。手話通訳と研修講師も続けながら、自分なりの働き方をつくっていくつもりです。
新しい分野へ進むからといって、働かせてもらえる場所ならどこでもよいとは考えていません。
施設が私を見極めるように、私も施設を見ます。
利用者に安心してもらうためには、まず職員自身が安心して働けることが必要です。
そのためにも、小さな違和感を見逃さず、焦らず、自分に合う職場を選びたいと思います。
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