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枯れた地に、残るもの

6月15日は「生姜の日」だそうだ。

由来を調べたら、金沢に行き着いた。日本で唯一、香辛料の神様を祀る神社があって、毎年この日にお祭りをするらしい。波自加彌(はじかみ)神社という。むかし、加賀の国で何ヶ月も雨が降らず、草木も人も枯れていった時期があった。雨乞いの祈願がやっと届いて、霊水が湧いた。お礼に神様へ供え物を、と探したけれど、もう何も残っていない。ただひとつ、干からびた土に生姜だけが残っていた。だからそれを供えた。それが始まりなのだという。

立派なものでも、珍しいものでもなく。最後まで残ってくれたものを供える。その話が、なんだか頭から離れなかった。

それで、生姜をすりおろしてお湯割りを一杯作った。すりおろすそばから、台所が湯気と匂いでいっぱいになる。ひとくち飲むと、喉の奥が一拍おいて熱くなって、それが背中のほうまで降りていく。冷えていた指先が、あとからじんわり戻ってくる。生姜は、味というより熱で効いてくる。飲み終わってしばらく経っても、喉の奥にまだ残っている。

この「あとから残る」感じが、由来の話とどこか似ている気がして、神様と一杯やる漫画にした。供え物の話をしながら、ふたりで生姜湯を飲む夜。神様は「美味い」とは言わない。「辛い」と言って、ふっと帰っていく。

残ったのは、空になった盃と、まだ熱い喉だけ。

まあ、そんな夜があってもいい


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