「お母さん、書いてください。」あの日の言葉が、ここにつながった。
2026.7.1〜7.6
小学生アーティストYota個展〜ここで生まれた世界、動き出す〜
が開催されました。
ありがたいことに、Yotaはnote街の路地裏のみなさんに、「路地裏最年少アーティスト」として可愛がってもらっています。
本人は、たぶんなんのこっちゃです笑。
今回は、そんなnote街の路地裏から飛び出してきた方々の、
“なんのはなしですか”な物語を綴ります。
その1話めです。
ええ、3話くらい続きます。
***
路地裏のみんながYota個展にやってきた
〜一つ目の扉〜
「……ねぇ、木の子さんまだ来ないの?」
Yotaがソファの下から顔だけ出し、受付にいる私を見ます。
ソファの下に隠れてから、かれこれ15分が経とうとしています。
「木の子さんに言わないでよ」
私に釘を打ち、また引っ込んでいきました。
外で気配がしました。
モスキートエリの姿が見えます。
一緒に来たのは──
「Yotaくん!木の子さんきたよ!」
ソファが緊張しているように見えます。
「mikaぁぁぁぁ」
すでに泣いているモスキートエリ。
彼女もまた、この個展開催を心から喜んでくれている、
私たち親子のよき理解者です。
さっそく胡蝶蘭と写真を撮る木の子さん。

「木の子さん、Yotaが隠れてます。15分前から」
すぐに、バレました。

「Yota!個展おめでとう!すごいことだぞ!」
「Yotaーーー!!」

少しずつ姿を見せるYota。

note街の路地裏を飛び出して、
3人が初めて同じ空間で会った瞬間です。
その後、ゆっくりじっくり作品を見て回るお2人。

私は、受付からその姿を眺めていました。
モスキートエリのまわりを、ちょろちょろちょろちょろするYota。

「アルミ玉、何時間もトントンしたの?これ、力いるの?」

ニヤコラが止まらないYota。
再びソファの下へ。

「いいね〜そこぉ。私も入っちゃおっかなぁ」
本当に入っちゃいそうなモスキートエリ。
Yotaはこういう大人が好きだ。
木の子さんが、私が目立つように忍ばせておいた“路地裏の入り口”を発見した模様。

綺麗に並べられた中に、
ちょっとだけ“違和感”。

「ん?」ってひっかかった人だけが、
路地裏への入り口に辿り着きます。
会期中、何人の人が迷い込んだでしょうか。
──ようこそ、路地裏へ。

ふと見ると、モスキートエリが泣いていました。
彼女は、noteの街で出会ってから、私とYotaの物語をずっと読んできてくれた人です。
一つひとつの作品に、あの日々を重ねながら見てくれていたように思いました。
「もう......mikaぁぁぁぁ。もうさぁ......この空間がもう......」
ギャラリー内を見渡してから、私を優しく抱きしめてくれました。
彼女がこれまで私にくれた言葉たちが、
ふわっと私を包んでくれているような、
そんな気持ちになりました。
さっきから、Yotaが私たちのまわりをちょろちょろしています。
「みんなで写真撮ろ、写真!」
カシャ。

なに、このファミリー感。
そろそろ、お2人が帰ります。
気がつけば、1時間半も居てくれました。
足あとボードに名前も残してくれました。

ちゃっかりスタンプ持ってきてる笑。

お2人は、ポストカードも買ってくれました。
「Yota、サインくれよ」

会期中、サインをお願いされることが多くて、
すっかり板についちゃったYota。
「Yotaぁぁ、私も書いてほしぃ〜」

「“エリちゃんへ”って書いてほしいぃ〜」
私は、すぐに見本を書き、Yotaに見せます。
こういう時のための、アシスタント母さんです。

文字を書くのが苦手なYotaですが、
一文字一文字、見本を見ながら、丁寧に書いていました。

モスキートエリがたいそう喜んでいます。
自分の表現が、誰かの心に届く。
その喜びを、Yotaはまた一つ受け取りました。
こんな一日を、これからもたくさん重ねてほしいと思います。
──そこへ、私の父登場。
なんということでしょう。
木の子さんと、モスキートエリ、そして父の3ショットです。

目の前で、何が起こっているのでしょう。

「わし、詩吟と民謡やってましてな、もう25年やってる」
「へぇ〜25年も、すごいですね」
木の子さんが、答えます。
父の話が止まりません。
「この間、警察につかまってなぁ。停止線で止まらなかったんや」
「ええっ、大変でしたね」
まさか、私の父とコニシ木の子氏が、対談する日がくるなんて。
なんのはなしですか。
さて、父のトークショーが終わったところで、
もう一度Yotaのもとへ。
最後に、お2人と握手です。



あ、流れで入れちゃった。
AIに、「木の子さんとYotaとの絆を表現してほしい」と伝えたら、こうなりました。
握手って、いい。
私も会期中、たくさんの方々と握手をしました。
「はじめまして」「会いたかった」「おめでとう」
いろんな想いがそこにあります。
Yotaと木の子さんの握手には、
どんな言葉が交わされていたのでしょう。

こうして同じ場所で手を取り合う日が来たこと。
それだけで、私は嬉しくてたまりません。
***
会期中、よく聞かれたことがあります。
──なんのはなしですかって、なんですか?
一生懸命説明するのですが、説明すればするほど、
自分でもなんのはなしをしているのかわからなくなっていきます。
でも、最後には必ずこう言いました。
「“なんのはなしですか“は、私を救ってくれた言葉なんです」

私がこの言葉に出会ったのは、2年ほど前です。
#なんのはなしですか
ハッシュタグを記事につけると、
コニシ木の子さんがコメント欄に現れました。
そして当時、孤独だった私に、こう言いました。
「お母さん書いてください。読みますから。
そして最後は、なんのはなしですかと笑えたら、最高です」
それから私は、Yotaとの日々を書き続けました。
気が狂いそうなくらいしんどいことも。
嬉しくて泣いたことも。
Yotaの溢れ出す表現も。
すると、目の前の大変な毎日が、少しずつ物語になっていきました。
その物語を読んでくれる人がいました。
笑ってくれる人がいました。
一緒に泣いてくれる人がいました。
気がついたら、そこは、私の居場所になっていたのです。
孤独の先には、誰かとのあたたかいつながりが待っていました。
この部屋いっぱいにあるYotaの作品の向こう側には、
綴ってきた物語があります。

懐かしそうに作品を見つめる人。
初めてその物語に出会う人。
Yotaと私が重ねてきた時間を、感じてくれる人。
一緒に泣いて。
一緒に笑って。
物語は、この場所でまた動き出しました。
こんな日が来るなんて。
ここに、つながっていたなんて。
「お母さん、書いてください」
だから私はこれからも、書いて残していきます。
それがまた、誰かとの繋がりを生むように。
そして、最後にこう言います。
「なんのはなしですか」

***
路地裏一つ目の扉
コニシ木の子氏
モスキートエリ
路地裏のみんながYota個展にやってきた
〜二つ目の扉〜
に、つづく。
