きいろいもの④レモンの話
レモンの話
おじいちゃんは、おれが小学生のときには病気でね。
家の離れで横になってること多かったんだけど、たまにお見舞い兼ねてつれてかれるじゃん?
ほんで、おじいちゃんがカットレモンをかじっているのを、おれ、不思議に思ったけど直視したら怒られる気がしてバレないようにみてたんだよね。
で、おじいちゃんはもちろん視線に気づいておれに、なんでこんなすっぱいもん食ってるんだろって思ってるだろ?ってちょっと楽しげに声かけたんだよね。
怒られてないのはわかるんだけど、なんかバレたのが恥ずかしくておれはそんなことないよってゆったんだけど、ほんとうにそうだったから、 おじいちゃんこわいすごい!ってそんな畏敬みたいな感じの気持ちを抱いたんだよね。
ある別の日、小学生のとき、お母さんがふと思い出したみたいにおれにゆったんだけど、
「おじいちゃんがね、『おれに文学的才能を感じる』ってゆってたよ😄」
って。
おれたぶん、ふーん、みたいな態度してたと思うけど、その言葉ほんとうにうれしくて、誰にも言わずに心に留めてたんだよね。
つらいとき苦しいとき、その言葉思い出して、その言葉を命綱みたいに握りしめてたんだ。
最近ようやく、おれ作家になる、なれると開眼して。
お母さんは作家転向を決めたおれを応援してくれてるんだけど、こないだおれに「昔おじいちゃん『おれは観察力があるから物書きに向いてる』ってゆってたの思い出したよ😄」ってメッセージ送ってくれて。
だからおれ小学生のときお母さんおれにそれゆってたよって、大事に心に留めてたよって返したら、「そっかぁ覚えてたんだね😄」って。
メッセージ越しだから表情はわからないけど、報われたような気持ちでにこにこしてるんじゃないかなって想像したよ。
お母さんも、おじいちゃんも、おれも同じ表情笑
タイトル: レモンの話
Written by むんまや 2025/05/14
詩人・作家
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