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【スターリンク③】Starlinkの真の主役!?「レーザーリンク」が通信の常識を変える|5分で読める最新テクノロジーあれこれ

最新のテクノロジーに関することを中心にお送りする本シリーズ。
宇宙開発、AI、量子技術から科学全般の話題まで、エンジニア視点で解説。
難しいことは苦手でちょっと。。。という人から、興味はあるんだけど実はあまりわかってない。。。って人まで、「5分でスッと理解できるように」というコンセプトでお届けしています。


「スターリンク」についての3回目です。
過去2回でスターリンクのどこが凄いのかってことを散々説明してきました。
衛星通信ネットワークで世界中のどこでも快適なインターネットを利用できちゃうこと。そして、ロケットの打ち上げからインターネットサービスまで、何から何まで自分でやっちゃうこと。

そんなスターリンクですが、実はまだ記事では触れてない、めちゃくちゃすごい技術が使われています。
それが今回のテーマ「レーザーリンク」です。


🔦 レーザーリンクって何?

スターリンクには、多くの最先端の技術が導入されていますが、その中でも特にすごいのが「レーザーリンク」。
正式には、光衛星間リンク (Optical Inter-Satellite Links, ISL)と言います。いったいどんな技術なんでしょうか?

一言で言うと、スターリンク衛星同士がレーザーを使って直接通信する仕組みのことです。
従来のレーザーリンクを使わない場合の通信経路はこんな感じになります。

レーザーリンクがない場合の通信経路

ユーザー ⇔ 衛星 ⇔ 地上局 ⇔ 地上ネットワーク ⇔ 通信相手

二つの地点を中継する衛星は基本1つということですね。
スターリンクは、そこに衛星同士がレーザーで通信できる仕組みを取り入れたんです。

レーザーリンクを使った通信経路

ユーザー ⇔ 衛星・・・衛星 ⇔ 地上局 ⇔ 地上ネットワーク ⇔ 通信相手

つまり、今までは利用する通信衛星は一つ、というのが当たり前だったんですが、バケツリレーみたいにたくさんの衛星を経由して通信できるようにしたというわけです。

🤔 なぜ光通信なのか?

そして「レーザーリンク」の肝となるのは言葉のとおり、衛星同士の通信にレーザー(つまり光)を使っているということです。
今までにも、衛星同士の通信というのは無かったわけではないですが、光ではなく電波で通信するのが常識でした。なぜスターリンクは光を採用したんでしょうか?

💫宇宙空間では光通信が有利

理由はいくつかありますが、電波と比べて光(レーザー)にはこんなメリットがあります。

  • 光は電波よりたくさんのデータを一気に送ることができる。

  • 電波はいくら指向性を強くしても拡散して減衰してしまうのに対して、光の指向性を強くしたレーザーは拡散を抑えることができるので、遠くまで届く

  • レーザーは、目標まで一直線に届くのでノイズなどの影響を受けづらく、傍受(つまり盗み見)も難しい

いいことだらけですね~。
でも、光って間に障害物があると遮られてしまうし、大気中だとすぐに減衰してしまうという弱点があります。

遠くに見える山を思い出してみてください。
冬の乾燥して澄んだ空気だとすごくハッキリ見えるけど、夏場は晴れてても全然見えなかったりしますよね?
雨や曇りの日なんて、当然まったく見えません。
こんな感じなので、空気のある地上で実現するのは、なかなかハードルが高い。。

一方で、宇宙空間は「真空」なのでまったくと言っていいほど減衰しません。もちろん衛星同士を遮る障害物もないので、レーザーに最適な環境なんです。

💫でも実現にはめちゃくちゃ高度な技術が必要

だったら宇宙では、みんなレーザーで通信すれば良いってことだね!
って言うのは簡単ですが、実際には一筋縄ではいきません。。

なんと言っても、数百~数千キロも先にある相手の衛星にピンポイントでレーザーを命中させ続ける必要があるわけです。
しかも、衛星は送る方も送られる方も、秒速8キロっていう猛スピードで常に動いているわけなので、止まっている標的を狙うのとはわけが違います。

さらに、宇宙空間って温度環境もめちゃくちゃ過酷です。
衛星は太陽のあたるところでは100℃以上、太陽のあたらないところでは-100℃以下にもなります。
実は、レーザーってとても温度に敏感な装置。どんな温度環境でも安定して動作させるには、高度な技術が必要になるんです。

🛰️ レーザーリンクってどこが凄いの?

ここまでで、レーザーリンクってなんか難しい技術なんだなぁ~ってことは分かったと思いますが、実際どんなすごいことができるんでしょうか?

☄️大量のデータを一気に送れる

光っていうのは、単純に電波よりたくさんデータを送れます。

なんで?って人のために分かりやすく解説すると、実は「光」も「電波」も同じ電磁波の仲間。両者の違いは周波数です。

  • 通信で使われる電波の周波数:数百MHz(メガヘルツ)~数十GHz(ギガヘルツ)

  • 光通信で使われる周波数:約200THz(テラヘルツ)

え~?ギガとかテラとか、よくわからないんですけど~。
と思われるかもしれませんが、要は光通信のほうが、電波より1万倍以上も高い周波数を使うってことです。
周波数が高いということは、単純に波の数が多いってことなので、それだけたくさんの情報を入れる器が用意されてるってことなんですね。

実際は、周波数が1万倍だったらデータが1万倍送れる、な~んて単純なものではないですが、それぐらい光にはポテンシャルがあるってことです。

☄️遅延がめちゃくちゃ少なくなる

レーザーリンクを使わない場合って、前の図でも分かるようにほとんどの経路は地上ネットワークを通ることになります。
つまり、光ファイバーのケーブル網を通っていくわけですが、ケーブルは目的地までまっすぐつながっているわけではないので、実際はかなり迂回することになってしまいます。

一方、レーザーリンクを使う場合は、目的地近くの地上局までは宇宙空間でデータを運べることになります。
衛星と衛星の間の通信はもちろん一直線なので、最短ルートで目的地に到達できます。

更にいうと、実は地上ネットワークで利用する光ファイバーって、伝達速度が光速の70%くらいまで減速してしまうんです。
対して、真空の宇宙空間で行われる光通信は、文字通りの「光速」。

ということでレーザーリンクを使うかどうかで、データが届く速さがだいぶ変わってくるってことなんですね。
一般道か?高速道路か?くらいの差って言えば分かりやすいでしょうか。

☄️地上局が置けない地域でも通信できる

スターリンクは、ネットワーク環境がない地域でもインターネットに接続できるのが最大のメリットです。
でも、レーザーリンクが無いと一つの衛星でカバーできる範囲に地上局も必要ってことになります。

しかも、高度が低いスターリンク衛星は、静止衛星に比べると地上でカバーできる範囲が狭くなってしまう。。
ということで例えば、太平洋のような大洋、北極のような極地、砂漠のど真ん中などでは利用できないってことになってしまうわけです。

でも、リーザ―リンクがあれば地上局の場所はどこでもいい。
極端な話、地上局が地球の裏側にあったって通信できちゃうんです。

💪 本領発揮はこれから

そんなすごいスターリンクのレーザーリンク。
さすがに最初からフル稼働というわけではありませんでした。

🪐レーザーリンクはこれから本格稼働へ

実は初期の衛星ではレーザーリンクは非搭載。最初は限定的な利用から、段階的に導入されています。

  • v1.0(2019年~):レーザーリンク非搭載

  • v1.5(2021年~):レーザーリンク搭載開始

  • v2.0 Mini(2023年~):レーザーリンク標準搭載

本格導入が開始されたのは2023年から。
ということで、これからが本領発揮と言えそうです。

🪐地球を全体を覆うメッシュネットワークに

2025年時点で9000機近く稼働しているスターリンク衛星の中で、半分以上が現在の主力であるv2.0 Miniです。
v2.0 Miniには、光通信のためのレーザー端末が4基搭載し、前後左右の衛星との通信が可能になっています。

それぞれの衛星が高速で軌道上を移動しながら、瞬時に縦・横・斜めの衛星とレーザーでつながっては切れ、また別の衛星をつながって、を繰り返しているわけです。

地球全体をまるでマスクメロンのようなレーザーの網目(メッシュネットワーク)ですっぽり覆ってしまう、ということですね。

スターリンクのメッシュネットワークのイメージ

これによって、地球上のどの地点間でも最短のルートで結ぶことが可能になります。
地球を丸ごと光ネットワーク化してしまうなんて、壮大なスケールの話ですね。

📡 レーザーリンクが通信の常識を変える

ネットワークインフラ環境の進化は、電話線に代表されるような銅線の通信網から始まって、光ファイバーの登場で劇的な進化を遂げてきました。

圧倒的な情報量を運ぶことができる光ファイバーの海底ケーブルが、海を越えて世界の陸地を結び、世界中で快適なインターネットが利用できるようになったんです。
でも、そんな光ファイバー網も普及し始めて20年以上。海・山・紛争地・過疎地など、整備が難しい環境もあって限界が見えはじめています。

そんな中で、登場したスターリンクのレーザーリンク。
あと数年も経てば、世界のネットワークインフラ環境は、衛星ネットワークによる光通信が、海底ケーブルに取って代わる世界が訪れているのかもしれません。

📝 まとめ

とうことで、スターリンクの解説3回目でした。
さすがに海底ケーブルに取って代わるというのは、誇張表現だったかもしれませんが、スターリンクのすごさは

「どこでもインターネットが使えて、とっても便利~🎵」

なんてどころの話じゃないってことが理解いただけたでしょうか。

さて、ここまでは既に実現できている技術の話。
次回は、スターリンクのこれからの進化について解説したいと思います。

お楽しみに!

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