【スペースデブリ①】宇宙のゴミ問題、このままだとゲームオーバーは間近!?|5分で読める最新テクノロジーあれこれ
最新のテクノロジーに関することを中心にお送りする本シリーズ。
宇宙開発、AI、量子技術から科学全般の話題まで、エンジニア視点で解説。
「理系の難しいことは苦手でちょっと。。。という人でも5分でスッと理解できるように」というコンセプトでお届けしています。
「ゴミ問題」
耳が痛いくらいによく聞く言葉です。
地球の人口増加と共にゴミはどんどん増えていく。。リサイクルの技術もどんどん進歩していますが、なかなか解決はしません。
そんな「ゴミ問題」とはさすがに無縁なんじゃないか?とも思える宇宙空間ですが、実は「宇宙ゴミ」が問題になっています。
それも、かなり深刻・・・
人類が地球に閉じ込められてしまう。
ちょっとした間違いが発端になって、それが現実になるかもしれません。いったいどういうことなんでしょうか?
🗑️ 宇宙ゴミってそもそも何?
「宇宙ゴミ」ってそもそも何でしょうか?
宇宙飛行士たちが残した廃棄物??
もちろん、そんなわけないですね。
主には以下のようなものです。
使い終わった人工衛星
ロケットの残骸
衝突や爆発で生まれた破片
正式には「スペースデブリ」と呼ばれます。
以前の記事でも少し触れていますね。
この記事で書いてるように使い終わった人工衛星が、そのままの形で宇宙を漂っているだけだったらそれほど大きな問題にはなりません。
問題なのは、残骸や破片といった小さく大量のデブリ。
すでに高度2000kmより低い低軌道(LEO)上には、直径10cm以上のデブリが数万個、1mm以上の微小破片は数億個も存在するといわれています。
これらのデブリは、大気がほとんど存在しない宇宙空間ではそのままの状態で何十年も漂い続けるのです。

しかも、そのデブリが漂う速度は低軌道だと秒速7〜8km。
って言ってもピンと来ないですよね。
ピストルの銃弾が秒速300mなので、約20倍の速さです!
正に凶器!!「漂う」なんて表現は生易しいですね。
そんな速度で飛んでいるので、気づいてから避けるなんてもちろん不可能。
たとえ数ミリの破片でも、宇宙ステーションや人工衛星に当たれば大事故になりかねないんです。
💣 過去にはこんなこともあった。。
そんなむちゃくちゃ危ないスペースデブリ。
当たらないことをひたすら神様に祈る・・・
というわけにもいかないので、ソフトボール(約10cm)より大きいくらいのデブリは、カタログ化されて一つ一つが追跡監視されています。その数は現時点で3万個以上!!
これ以上増えないように気をつけないといけませんが、すでに宇宙空間でスペースデブリが大量に発生するような「事故」や「事件」が何度も起きています。
2007年、中国が自国の衛星をミサイルで破壊する実験を実施。監視対象となる破片が3000個以上も発生する、史上最悪のデブリ発生事件となりました。
2009年、米国の通信衛星イリジウム33号と、ロシアの退役して制御不能となった軍事衛星コスモス2251号が衝突する事故が発生。2000個以上の新しい破片が発生。
2021年、ロシアが自国の衛星をミサイルで破壊し、1500個の破片発生。
この時は、ISSが軌道を変更して破片を回避。滞在する宇宙飛行士の命も脅かされる事態に。2007年の中国など、過去の例があったにも関わらず実行されたことで、国際的にも大批判の的になりました。
以上は、特に有名な3大事件ですが、実際は他にもたくさんの事件・事故が起きています。
でも、スペースデブリが大変なのはこれだけじゃありません。もっと深刻な事態が予想されているんです。
🤔 ケスラーシンドロームって?
ここで登場するのが「ケスラーシンドローム」。
これは、スペースデブリの数が一定以上にまで増えると、連鎖が止まらなくなって大変なことになるよ~
ってことをシミュレーションで示した現象のことです。
提唱者の一人であるドナルド・J・ケスラーというNASAの科学者にちなんで、そう呼ばれています。
いったいどういうこと?って人のために、順を追ってわかりやすく説明するとこういうことです。
ある衛星の衝突などの事故により、破片が発生する。
破片が他の衛星などに衝突して、さらに破片を発生させる。
破片の衝突が連鎖的に発生して、加速度的に破片が増え続ける。
最終的に、軌道上の衛星がすべて破壊され、スペースデブリだらけになる。
結果、地球の上空は銃弾の20倍の速度でスペースデブリが大量に飛び交う地雷原となり、ロケットを打ち上げることもできなくなる・・・
地球は宇宙から閉ざされた世界となってしまう、というわけです。
怖いですね・・・
😱 ケスラーシンドロームはもう始まっている??
そんな深刻なケスラーシンドローム。
絶対に避けなければなりませんが、いったいどうなったら始まってしまうんでしょうか?
これは、いろいろな不確定要素が絡むため、研究者によっても意見はさまざま。共通の見解というのは無いのですが、中には「すでにケスラーシンドロームは始まっている」という研究者もいるようです。
ただ、それは「このまま何も手を打たなければ」という話。
放っておけばスペースデブリは徐々に増えていって、気づいた時には取り返しのつかないことになっていた・・・
ということになりかねません。
でも局所的に進行はしているものの、まだ後戻りできない状態ではないことは確かです。
人工衛星の数は、これから急激に増加していきます。
現在、1万~1万5000基の人工衛星が低軌道上を周回していますが、今後はスペースXが打ち上げるStarLinkだけで4万基まで増やす計画。
衛星が増えれば、当然スペースデブリが増えるリスクは高くなっていくので、これからの人類の宇宙への進出のためには、スペースデブリの問題をなんとかしないといけないんです。
💀 これをやったらゲームオーバー!
そんなケスラーシンドロームにおける最悪なシナリオはなんでしょう?
それは言うまでもなく「宇宙戦争のシナリオ」です。
2007年の中国、2021年のロシアの実験では、衛星一つ破壊しただけでも大量のデブリが発生したくらいです。
これがもし、戦争で相手国の通信衛星や偵察衛星をいくつも破壊するような事態になったら・・・
何万個というスペースデブリが一気に軌道上に追加され、あっというまに臨界点を超えてしまう可能性があります。
そんな事態になったら、もちろん自国の衛星だってただでは済みません。関係のない第三国も含めて、あらゆる衛星が巻き添え・・・
宇宙への扉は完全に閉ざされ、人類の宇宙開発は「ゲームオーバー」ということになってしまいます。
そんな最悪のシナリオ。
さすがにどこの国も選択しないだろう、と思われます。
でも、人類がそれまでに積み上げてきた宇宙開発の成果と、これからの希望を自国もろとも一気に打ち砕く。
そんな究極の道連れのシナリオは、意外なほど簡単に出来ちゃうかもしれない、というのもまた事実なんです。
こわ~~い。。。
📝 まとめ
さて、思っていたより長くなってしまったので、一旦ここまでにします。
今回は、不安を煽るだけ煽るような内容になってしまいましたが、そんな宇宙ゴミの問題はもちろんそのまま放置されているわけではなく、
いろいろな機関や企業で解決するための取り組みが行われています。
次回はそのあたりについて、解説してみたいと思います。
