MVV|理念は飾るものではなく、判断を揃えるためにある
MVV
理念があるのに、判断がバラバラな会社がある。
ミッションはある。
ビジョンもある。
バリューもある。
全社会でも話している。
採用資料にも載っている。
オフィスや社内ツールにも掲げている。
それでも、現場の判断は揃わない。
ある部署では、スピードを優先する。
別の部署では、リスク回避を優先する。
営業は売上を取りにいく。
管理部門はルールを守らせようとする。
マネージャーごとに、メンバーへの期待も違う。
会議では、それぞれが正しそうなことを言う。
でも、会社として何を大事にするのかが見えない。
この状態になると、組織は少しずつ迷い始めます。
誰かが悪いわけではない。
能力が低いわけでもない。
ただ、判断の軸が揃っていない。
そして判断の軸がない会社では、現場は強く動けません。
MVVは、きれいな言葉を掲げるためにあるのではない
迷ったときの判断を揃えるためにある。
前回は、組織が弱るとき、最初に消えるのは不満ではなく声だと書きました。
前回の記事はこちら
会議で質問が出ない。
違和感があっても言わない。
提案が減る。
相談が遅れる。
反対はしない。
でも、深くは関与しない。
それは納得ではなく、期待が下がっているサインでした。
今回は、なぜ現場の声や判断が弱くなるのか、その土台にあるものを書きます。
テーマは、MVVです。
MVVは、会社の言葉ではなく判断の軸である
MVVという言葉は、多くの会社で使われています。
Mission。
Vision。
Value。
日本語にすれば、使命、目指す姿、価値観。
ただ、この言葉だけを見ると、どうしても抽象的に見えます。
会社の理念。
経営者の想い。
採用広報の言葉。
全社会で話すもの。
組織文化を表すもの。
もちろん、それも間違いではありません。
でも、経営の文脈で見るなら、MVVはもっと実務的なものです。
MVVとは、会社が迷ったときに何を選ぶかを決めるための基準です。
何のために、この会社は存在するのか。
どこに向かっているのか。
その過程で、何を大事に判断するのか。
何を選び、何を選ばないのか。
どんな行動を良しとし、どんな行動を違うとするのか。
これを言語化したものがMVVです。
だから、MVVは飾って終わるものではありません。
採用ページに載せて終わるものでもない。
全社会で読み上げて終わるものでもない。
経営者が熱く語って終わるものでもない。
現場が迷ったときに使えなければ、機能しているとは言えません。
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Mission、Vision、Valueはそれぞれ役割が違う
MVVはまとめて語られがちですが、それぞれ役割が違います。
Missionは、会社が存在する理由
なぜこの会社があるのか。
何のために事業をしているのか。
誰に、どんな価値を届けるのか。
ここが曖昧だと、仕事が単なる作業になります。
Visionは、会社が向かう先
どんな未来を作りたいのか。
どんな市場や顧客に向かうのか。
数年後、どんな会社になっていたいのか。
ここが曖昧だと、現場は目の前の数字だけを追うようになります。
Valueは、日々の判断基準
何を大事に行動するのか。
どんな姿勢を評価するのか。
迷ったときに、どちらを選ぶのか。
成果を出す過程で、何を守るのか。
ここが曖昧だと、同じ会社の中で判断が割れます。
Missionが存在理由。
Visionが向かう先。
Valueが日々の判断基準。
この3つがつながっていると、現場は迷いにくくなります。
逆に、ここが切れていると、会社は言葉を持っているのに、判断が揃わなくなります。
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理念があるのに、現場で使われていない会社
私はこれまで、MVVがあるのに現場で機能していない会社を何度も見てきました。
言葉は整っている。
資料もきれいに作られている。
経営陣も大事だと言っている。
採用面接でも話している。
入社時のオンボーディングでも説明している。
それでも、現場では使われていない。
会議で意思決定するときに、MVVの言葉が出てこない。
評価の場面で、Valueに沿った行動が語られない。
マネージャーがメンバーに期待を伝えるとき、会社の価値観に接続できていない。
部署間で揉めたとき、それぞれの都合で正しさを主張する。
新しい施策を決めるとき、何を優先するかが人によって違う。
つまり、MVVは存在している。
でも、判断に使われていない。
この状態では、現場は迷います。
営業は営業の正しさで動く。
開発は開発の正しさで動く。
管理部門は管理部門の正しさで動く。
経営は経営の正しさを語る。
それぞれは間違っていない。
ただ、会社としての判断基準が揃っていない。
これは、MVVがない会社だけで起きる問題ではありません。
MVVがあるのに、使われていない会社でも起きます。
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問題は、言葉がないことではなく使われていないこと
こういう状態になると、MVVを作り直そうとする会社があります。
言葉が古い。
今の事業に合っていない。
社員に浸透していない。
もっとわかりやすい表現にした方がいい。
新しいバリューを作った方がいい。
もちろん、作り直すべきタイミングもあります。
事業が変わった。
組織規模が変わった。
顧客が変わった。
会社のフェーズが変わった。
これまでの言葉では、今の会社を表せなくなった。
そういう場合は、再定義が必要です。
ただ、すべての問題が「言葉を作り直せば解決する」わけではありません。
問題は、MVVの言葉そのものではなく、使い方にあることが多い。
経営はMVVを語っている。
人事も発信している。
資料にも載っている。
採用でも説明している。
でも、現場の判断に降りていない。
ここが一番の問題です。
MVVは、知っているだけでは意味がありません。
暗唱できても、まだ足りません。
共感しているだけでも、組織は動きません。
大事なのは、判断に使われているか
迷ったときに、どのValueに戻るのか。
方針を決めるときに、Missionとつながっているか。
目標を置くときに、Visionへ向かっているか。
評価するときに、会社が大事にする行動を見ているか。
ここまで落ちて、初めてMVVは機能します。
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MVVが弱い会社では、管理職が迷う
MVVが現場で使われていない会社では、管理職が苦しくなります。
なぜなら、経営と現場の間で、判断を自分の感覚に頼らざるを得なくなるからです。
経営は大きな方針を出す。
現場には細かい迷いがある。
メンバーは日々、判断に迷っている。
顧客対応、優先順位、働き方、成果の出し方、チーム内の行動。
そのたびに、管理職が自分の経験や価値観で判断する。
もちろん、
管理職の経験は大事です。
現場感も必要です。
個別判断も避けられません。
ただ、会社としての判断軸がないまま、管理職の感覚だけで運用すると、組織はばらつきます。
ある上司は、成果を最優先する。
別の上司は、プロセスを重視する。
ある部署は、顧客対応を優先する。
別の部署は、社内ルールを優先する。
あるチームでは挑戦が評価され、別のチームでは失敗しないことが評価される。
こうなると、社員は混乱します。
MVVが現場の判断基準になっていない会社では、管理職の個人差がそのまま組織のズレになります。
そして、そのズレはエンゲージメントを下げます。
社員は、自分の仕事の意味を持ちにくくなる。
会社の方向性を信じにくくなる。
期待されている行動がわからなくなる。
結果として、前に出る力が落ちていきます。
まず、この問いを置いてほしい
MVVの話をすると、すぐに浸透施策の話になりがちです。
全社会で伝える。
社内報で発信する。
研修をする。
ワークショップを開く。
クレドカードを作る。
表彰制度に入れる。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、順番を間違えると、MVVはまた「きれいな言葉」で終わります。
まず置くべき問いは、一つ
現場は、迷ったときにMVVを判断基準として使えているか。
これを見た方がいい。
会議で意思決定するとき。
部署間で意見が割れたとき。
顧客対応で迷ったとき。
成果とプロセスのどちらを優先するか迷ったとき。
メンバーにフィードバックするとき。
採用で候補者を見るとき。
評価で行動を振り返るとき。
その場面で、MVVの言葉が出てくるか。
出てこないなら、まだ浸透していません。
MVVを見るとは、社員が言葉を覚えているかを確認することではありません。
会社が迷ったときに、同じ軸で判断できているかを見ることです。
ここが弱いと、組織には小さなズレが出ます。
これは、理念が足りないからではありません。
理念が判断に変わっていないからです。
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この記事で残したいことは、ひとつです。
MVVは、会社をよく見せるための言葉ではありません。
現場が迷ったときに、判断を揃えるための基準です。
理念があるかどうかでは足りない。
共感されているかどうかだけでも足りない。
日々の判断に使われて初めて、MVVは組織を動かします。
会社が壊れた後に、どう打ち手を作ったのか。
その話はこちらに書きました。
『死ななかったから、打ち手は作れた』
このシリーズでは、エンゲージメント、MVV、人事施策について、組織が弱る構造から順番に書いていきます。
続きも届くように、スキ・フォローしてもらえると嬉しいです。
次回は、MVVがあるのに現場で使われない理由について書きます。
言葉は知っている。
共感もしている。
でも、行動は変わらない。
浸透|MVVは唱和しても浸透しない。日々の判断に使われて初めて浸透する
