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ZINEの「ん」の字に添えられて

人生で初めて、ZINEの末尾に自分の名前が載った。
今日はその話をしたい。

その前にまず、「なんのはなしですか」について説明しておく。

「#なんのはなしですか」は、noteで活動しているコニシ木の子さんが始めたハッシュタグだ。有益さやノウハウが求められがちなWebの文章の中で、「なんのはなしですか」と思わず突っ込みたくなるような、肩の力の抜けた日常の話や文芸作品につけられるタグである。

このタグをつけると、一定期間(事前予告あり、今回は3/6まで)、コニシさんがコメントをくれたり、「なんのはなしです課通信」で紹介してくれたりする。

▼前回の「なんのはなしです課」通信はこちら。毎回膨大な記事に独自の感想をつけて紹介してくださる。

このタグの自由さとコニシさんの人柄も相まって、「なんのはなしですか」は今やnoteで2万を超える大型タグになっている。

昨年は「なんのはなしですか」アンソロジーが電子書籍化され、コニシさん自身もラジオ出演、商標登録、法人化など、「なんのはなしですか」とは言えないほどリアルに広がっている。

▼「なんのはなしですか」開業のお知らせはこちら

私自身は、2024年にnoteをはじめて、このタグを偶然見つけた。
「なんのはなしですか」を使う人たちが集まる“路地裏”の端っこに、そっといさせてもらった。

そこは居心地がよくて、コニシさんや路地裏の皆さんに読んでもらいたくて、エッセイや小説を書き続けているところがある。

今はnoteの活動は少し控えめにして(それでも週1くらいは投稿しているのだが)、文芸コンテストを中心に取り組んでいる。
もし私の文章が世の中で読まれることがあったら、そのときはぜひ「なんのはなしですか」出身だと言いたい。そんな気持ちがどこかにある。

これから話すことは、「なんのはなしですか」にまつわる物語だ。

ある時、コニシ木の子さんよりメッセージが来た。

「私とマイトンで作るZINEの校正をやってくれませんか?」

マイトンさんは、路地裏にいる理系眼鏡男子で京大出身のエリートでショートショートの名手。変態な一面もあるお方だ。

▼マイトンさんの最新のショートショートはこちら

コニシさんとマイトンさんで共著をすることはなんとなく聞いていたが、突然の白羽の矢に驚いてしまう。

「私、校正やったことないけど大丈夫ですか……?」
「二代目つばきの名前を載せたいんです」

二代目つばきっていうのは、私の芸名だ。私は、大学時代落語研究会に入っていて、そこで「二代目柳家つばき」という芸名で活動していた。柳家、は本当の落語家の屋号で色々とまずいから、卒業後は「二代目つばき」と名乗っている。卒業後も落研の記憶が忘れられず、路地裏の集まりでも小噺を披露していた。

その「二代目つばき」の名前を使いたいと言ってくださったのだ。
少しでも力になれればと思い、私は二つ返事で了承した。

ほどなくして、編集担当の本田すのうさんから原稿が送られてきた。本田すのうさんはご自身でもZINEを編集しているほか、電子書籍、他のなんのはなしですかのZINEの編集にも携わっている路地裏の編集長ともいえる人だ。

▼電子書籍版「なんのはなしですか」は200冊突破している

▼先の「なんのはなしですか」ZINEも発売されている

▼すのうさんご自身も、朝日新聞からの取材も受けられてZINEも発売

私は虫の目で原稿を読みはじめた。

一読目。面白すぎる、そしてこれが文学だと感じた。私は普段小説を公募に投稿し始めているものの「文学とは何か?」という大問題に悩んでいるところだった。その中でコニシさんとマイトンさんのそれぞれの言葉のパンチが強く、思わず読み進めてしまう。

いけないいけない。私の役割はあくまでも校正。誤字脱字をしっかりチェックしなければならない。それでも、内容が面白くて思わず見落としてしまいそうだった。

いくつかの気になったところと、作品ごとの感想とともにお送りした。

そしてそして、様々な人の手が加わって、一冊のZINEが完成した。

紫吹はるさんの圧巻のポスターも見てほしい。
このポスターも相まって、二人のおじさんを「かわいい」と思ってしまう。
いやいや。おじさんは、かわいい(定義)(三角形の内角は180°みたいな)

▼紫吹はるさんのポスター制作の様子はこちらから

ちなみに紫吹はるさんは「感性」と「行動力」の人だと感じている。繊細さとエネルギー、両方を持っている人に初めて出会って、いつも驚かされている。

▼最新の掌編小説はこちら。素敵すぎる。

▼一つ一つの作品に暖かい感想を寄せてくれるのもはるさん

そして、ついに横浜のZINEフェス、そして渋谷bar bossaへのイベントでZINEが販売された。私のこよなく愛する「なんのはなしですか」が大いに盛り上がっていることが嬉しくなった。ちなみに渋谷bar bossaの林伸次さんのnoteは以前から愛読していたので感慨深く思う。

▼盛り上がりの様子はこちらから

福岡に住んでいる私は、距離的に首都圏に行くことは叶わなかった。なので、その盛り上がりをどこか遠くに感じていた。いいな、首都圏。私もかつて千葉県に住んでいたので、福岡にいなければ、いけたのにな。ちょっと寂しい思いをしてしまう。書くことはどこでもできるんだけれど、やっぱりイベントごとは東京が強い。

でも、なんのはなしですか「ん」号が届いて、実際に手にとって、その気持ちは変わった。

巻末の「二代目つばき」の印字。ZINEに自分が印字されるのは初めてだ。私が先に読ませてもらった原稿が、実際に手に取れる形になっていることに胸がいっぱいになった。

そして、いつも「なんのはなしですか通信」で並び順が前後している彩野リィちゃんとここでも前後している。リィみゆペア。

↑おしゃれ番長のイラストを見てほしい。おしゃれなだけでなく、イラストの色使いのセンスもかわいい。

▼彩野リィさんは昨年私が書いた小説を盛り上げてくれて、ファンアートを書いてくれたことが大切な思い出。

遠くにいても、確実に路地裏にいさせてくれることを感じた。
うれしかった。

で、せっかくだから。
校正の時送った感想と改めて読んだ感想を載せておきたい。

◾️なんのはなしですか「ん」号 校正時の感想➕α

ネタバレありなので注意。校正時に送った感想をベースに、紙で読んで改めて思ったことを付け加えているところもあります。

私達は、誰かの日常になっている。

うわ〜〜〜最初からめっちゃいいです。
変化と日常の合間で、こんなふうに交錯するなんて!
素敵な生き方だなあ。

と、校正時には感情のままに送りましたが、改めて読んでみて、素敵だと思った気持ちを分解してみます。

何か変化するものに対する願掛けって、「最後の一葉」みたいだな、と思ったのですけれど、それを見知らぬ通りすがりのおじいさんに対してするのがおかしくて良いです。で、おじいさんもおじいさんでルーティンがあるんだろうけど、確かにそのルーティンを崩す時って、特別な日だったりするのかもしれないですね。人間に小宇宙を感じてしまった。そこに、良さがあると思いました。

路地裏で遊ぼう

「裏道」っていうのが、マイトンさんの生き方だなあと思います。そして、その気持ちはすごくわかります。私もメインストリートより人が選ばないことに面白いことがあるんじゃないかって感じてしまいます。もし、noteで出会わなかったら、マイトンさんは知性溢れるエリートだと思って遠ざけていたかもしれないけれど、裏道を楽しむ姿を知って、とっても惹かれました。

秘密の重みと植木鉢とヘルメットの少年

この話も大好きです。フィクションとエッセイのあわいみたいな部分に心打たれました。コニシさんの秘密、少年の秘密、植えたらどんな花が咲くのかなあ。秘密によって花の色や大きさが違うのかもしれないですね。それぞれに花言葉があったらいいなあ。

踏切に取り憑かれた男

面白かったです! 幼い頃住んでいたところでは、まさに「開かずの踏切」がありました。幼稚園生の私と、ベビーカーの弟を引いて渡っていた母は生きた心地がしなかったと言っていました。フミキリストがいなかったかもしれません。

生まれ変わって一つになる

これ、後から読んでわかったんですけど、後の「黄金比のオムライス」でもミキちゃんが出てきて卵とくっついてますね!? この思い出の断片があったからショートショートになったのではないでしょうか!?

ハルメイタ日には

今のような緩んだ季節を感じさせるような素敵な話でした。コニシさんの文章は老人に対する目線があたたかくて、好きです。話をループさせているコニシさんが可愛かったです。春にもう一度読みたい、と校正時に書いたのですが、実現しました。かなりタイプのコンビニ店員のお顔が気になります(笑)

AIに背中を押されて

うるさいほどの話の長さがAIゆえのものだと思っていたら……最後、ほっこりしました。マイトンさんのこういう幸せな話がすきです。(不穏な話も好きですが)

行列

大好きなはなしです。私は老婦人になっても、こうやって同年代の人と会話を楽しめる人になりたいな。老人に対して容赦ないコニシさん、良かったです。

初恋の待ち時間

めっちゃ面白かったです。コニシさんの初恋話、初めて聞いてやっぱり小さい頃から変わらないなあと思いました。そういえば、私の近所にも双子女子がいたんですけど「ヒトミ」と「メグミ」でした。

息子の体の半分は崎陽軒のシウマイでできている

いいなあ、シウマイ食べたくなりました。私も子育てしているので、一つ一つ共感できます。近くにあったらいいのになあ。

新卒で働いているときのことを思い出しました。会議のお弁当で「崎陽軒」を手配したところ、部長の一人から「なんでひょうちゃんがいないんだっ!」と怒られました。当時は理不尽だと思ったけどこの可愛さを見たら納得ですね。

冷やし中華の終わり方

今(校正当時)冬なのに「夏」と「夏の終わり」そして「情事の終わり」が見えました。コニシ文学好きだな〜いいな〜。縦書きで読めてよかったです。

黄金比のオムライス

しゃあない!ミキちゃんには抗えへん! 可愛くて理系のミキちゃん、魔性の女やわあ、ほんまに。京大の雰囲気出てて森見登美彦みたいな京都文学やなあと思いました。これからオムライス食べるたびに意識してまう気がする。夜とかにこの話思い出してもいいですか? 個人的に好きなのは「ケータイショップの事務手続き」MNP番号、わかる。

(この話読んでテンション高くなって関西弁で感想を送ってしまいました。お恥ずかしい)

誘われたおでん

好きです。いいなあ。夜とかに思い出してもいいですか。あの地味なおでんに映えるエメラルドグリーン、悪くないと、私も思っちゃいます。いいなあ。コンビニで、ふとマニュアルが崩れる瞬間ってすごーくいいですよね。官能を感じちゃいます。

内側に秘めた色

なるほど!インナーカラーってそう言うことかの納得からのドキドキがすごかった。一見おとなしそうな女性のインナカラー、部屋を覗き見したような、と言う表現がまさに似合いますね。気になって調べてみました。同系色もありだけどカラフルにできるんですね、やってみたくなりました。

その後、元気な保育士さんのインナーカラーを発見しました👀

壁の向こう側は

わかります。秘めてる部分が多いほどいいですよね。全てが明かされちゃうと、寂しくなります。これは、好きな本ほど実写映画化されたくないのと一緒です(笑)ミキちゃんと別れたばかりならしょうがない。隣人カップル関西弁なのか……と想像して萌えすぎて頭抱えました(笑)

紙に踊らされる國

ビリカフェだ!行ってみたいんですよね〜

「紙」で読んで改めて良さがわかりました。マイトンさんのショートショートの良さ、「ありそうなSF」感が面白いんですよね。もしかして、「ビリギャル」もいたりしますか?👀

探せない過去

タカポンが好きになりました。

大丈夫じゃなかった夜

マイトンさん……モテるなあ……インテリな京大薬学部でこんなバチバチが起こっていたとは!サチさんのギャップ萌え描写が好きです。最後、マイトンさんが外で寝ていたと聞いて、季節を確認しに読み直しました。初夏でよかったー……。

ちなみにサチさんとのエピソード、下記と合わせて読むと大変に切ないです。オンラインも含め、マイトンさんとお会いしたことは数回しかないのに、なぜかマイトンさんの人生をよく知っている気分です。

孤独と陽気な天秤

読み終わった後、泣いた。なんでだろう……チャンさんのように、寂しくなってしまう時は、家族がいる、いないに関わらず、あると思う。そういう時って、友達とどんな話をすればいいんだろう。正解を出そうとすると、遠回りする。だからって、遠回りしようとすると、どこにいけばいいかわからない。でも、遠回りの方が、正解より楽しいから、遠回りする。これが、人生における「なんのはなしですか」の真髄であり、私が「なんのはなしですか」に出会えて良かった理由だと思います。

太陽と月

素敵な友人に恵まれてきたマイトンさんはご自身を「月」と表現しています。私から見るとマイトンさんはおひさまのようにあったかいです。でも、月のような静かな美しさもありますよね。人間、太陽に行こうとすると大変だけど、月には着陸してみたいと思いますよね。マイトンさんはいるだけで近づきたくなる存在、だからやっぱり月で合っています。

あとがき

皆さんのつながりに感動しました。出会えて良かったです。こうやって校正を任せていただいて本当にありがとうございます!

縁の一つになれて、大変嬉しいです。
ありがとうございました!

二代目つばきより

つばき柄の着物を着る二代目つばき
顔出しをする路地裏のAdo
(ま、お会いしたこともあるんですけどね)




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