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三彩の行列と伸びていくヒト・ネコ【松岡美術館はいい感じの美術館だった】

松岡美術館に行ってきました!現在、とは言っても本日5月31日まで日本画名品選と中国陶磁の企画展が開催中。日本画名品選の方には、この前まで回顧展が開催されていた下村観山の作品が3点、そして中国陶磁特集では、静嘉堂文庫美術館の春の展覧会「たたかう仏像」でプチ話題になった唐の俑の仲間たちもいたので、同展覧会でハマった方たちは必見です。

松岡美術館といえば、猫の給士係、最近グッズ化もされたやつ、あいつがとても可愛い。さらになすにきびも何を隠そう、現在唐の三彩ブームが到来しています。とても楽しい松岡美術館訪問だったので、今回は珍しく感想をゆるーく綴る記事にしようと思います。三彩、猫、松岡美術館ファンの方はぜひ!ホクホクする内容です。

◯三彩フェス

冒頭にも書いたとおり、今回第四展示室で開かれた「千古躍動展」は、中国陶磁器の名品の数々に加えて、こんな風に三彩の俑が並んでいました。

2024年にも三彩を特集した企画展が開かれていますが、このころはなすにきび三彩ブームが来ていなかったので見逃し、ここまでの大型作品がずらりと並んだところを見たのは、今回が初めてです。

でかいだけじゃなく、個体差や作り込みの力の入れ方に違いがあってとても面白い。埴輪よりも緻密でかっこよく、仏像よりはゆるい。その二つの良いとこ取りのようなワクワクするかっこよさがあります。そういう要素で、まず最初に魅入ってしまったのはこいつ。

いやーとても力強い健馬。引き締まった足にパワフルなお尻。鬣や鞍、その他装飾品などなど、キャプションにもありましたが、ここまで細かい作り込みのものはそう見ない気がします。口が半開きなのはこの時代の馬像によくある気もしますが、この個体は一層リアル感に拍車がかかっています。

なんと言っても色合いが濃く残っているのもいいですね。お尻の密度と鞍の細かい濃い緑が美しい。それによって、色が落ちている鬣の白色は、
滑らかさが映えて逆に良いです。

前から見るとこんな感じ。鼻筋に優雅な装飾、鋭い目つきは相当の名馬という感じがします。前足の色の残り具合に左右差があるのもおしゃれですね。

先ほどの馬が一番と思いきや、隣にいるこの子も捨てがたいです。緑釉が垂れる体がきれいで、鞍の部分の三彩らしい色の混ざり具合も良い。前足部分の肉付きがよいのもかわいいフォルムで、なにより、まんまるお目目がとてもキュートです。こういう顔を個人的にディズニー顔と呼んでいるのですが、さっきのリアル馬からこういうかわいらしいデフォルメまで幅が広いのも、見ていてとても楽しいです。

首を下げた珍しい馬もいました。緑釉と褐色が映える白いボディ!三彩は元の地が白なため、綺麗な白馬が多いです。特にこの馬はまだら模様があったり、鬣部分からカフェオレみたいに茶色が垂れていて、ぐっときます。

そして三彩の馬と対をなすメイン動物のラクダ。東博の個体も綺麗ですが、こちらは濃い発色を楽しめるタイプ。長旅を終えて疲れたラクダは、コブが傾き、いままさに唸りをあげているところ。下の台座に落ちている色素が、したたる汗や血のようで力強さを引き立てています。かっこいい、、、。

そして彼を連れ回すラクダ引きの俑もあります。手綱を肩に乗せるポーズなのでしょうが、なんとなくファイティングポーズにも見えてきます。髭やほっぺのあたりの造形など、なぜこんなにもこの時代の俑はコミカルなのでしょうか、、、。シルクロードで色々な文化が混ざり合って面白いものだけ抽出されたのでしょうか。元になったような灰陶の像も↓

「今回の展示、まだ見られてない!?」
というようなびっくりポーズも。生き生きレベルが高水準です。静嘉堂文庫美術館で見られた個体のように、このタイプの俑は相手に訴えけるものがありますね。誰を想定していたんだろう。墓に眠る人なのか、もしくは墓荒らしに対して何かコミュニケーションを取ろうとしているのかも、、、?

静嘉堂文庫美術館「たたかう仏像」展より
呼び出しタイプの俑

そして、官人。

神王。

いい迫力の二体。この神王のように顔まで着彩が残っているものは初めて見ました。これは他のものと同じように、焼く前に緑をつけたから残っているのかなのかどうか、有識者の方がいたら教えてください。以前Geminiにフルカラー予想を作ってもらいましたが、↓それとは違うので、何が正しいのか。そして相変わらず、牛は踏まれども強そうです。さらにこの深緑に髭面という顔、千と千尋の頭だけ三兄弟の雰囲気に似ています。もしかして参考元なのか。

官人も神王も装飾も含めて、完全な左右対称でないところも、躍動感に拍車がかかっていてかっこいいです。

他にも商人や、藍色が施された個体、婦人が馬に乗るなどユニークな作品の数々。

この時代の婦人は楊貴妃ベースでふっくらしています。↑こちらなんか、たらこみたいで可愛い。先日のヴェネツィア・ビエンナーレでのDJプレイが話題になったビョークみたいなポップさがあります。

そして極め付けはこの壺。欲しい。

◯のびっとしたヒト.ネコ

三彩の話が長くなってしまったので、ちょびっと他の展示品について。松岡美術館の1階常設展のフォロワーは多いことでしょう。入って正面、ブルーデルの大きな《ペネロープ》とディエゴ・ジャコメッティ(弟ジャコメッティ)の《猫の給士係》。そして、仏像ゾーン、展示室2のヘンリームア、エミリオグレコ。さらに、エルトリアのミニ像。

私立美術館の醍醐味である収集品のごった煮感もちろん、それに加えて、コレクター松岡清次郎は、ビヨーンとのびたスタイルの体が好きだったんじゃないか?そう考えを巡らすのが楽しいです。猫も人間も伸びやかな線がある作品が多いんですよね。先ほど紹介した俑もかなり、ビヨーンと伸びる線が感じられます。

さらに、ヘンリー・ムア《台に坐る母と子》と菩薩半跏思惟像(ガンダーラ クシャーナ朝 3世紀頃 灰色片岩)の姿勢の雰囲気など、コレクターの趣味を感じられる瞬間が多々あります。

アーティゾン美術館や、三井、三菱など、素晴らしい私立美術館はいくつもありますが、ここまでコレクターの脳内を覗けるような、美術研究に全く関係のないところのカオスを浴びることができるのは、松岡美術館が一番濃度が高いのではないでしょうか。

《山寺の春》1915

企画展の日本画では下村観山作品も見ることができ、そちらも素晴らしいです。《山寺の春》の義経、牛若丸の表情は、代表作《弱法師》につながるものを見出せます。観山つながりか、能面の展示もありました。

《武人愛梅》1902

同じように、東博の百万石加賀前田家展も楽しみです。

さらに現在、《猫の給仕係》のぬいぐるみ化に加え、三彩のアクリルスタンドなどもあり、グッズコーナーがかなり凶悪的でした。ぜひ足を運んで欲しいですが、気をつけてください。ちなみにタイトルは、Instagramにあった松岡美術館のハッシュタグにあったもの。他にも#️⃣松岡美術館の真髄などもあったので、熱狂的なファンも多いのでしょう。おすすめです。

行っていない人はぜひきて!
最終日!

おわり

おまけ

目黒から五反田方面にあった三彩馬を飾る中華料理やさん。

松岡美術館の過去記事もぜひ↓


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なすにきび...勝手美術 偏った美術愛ですが、面白いなと思っていただけたら、いいねフォローなどよろしくお願いします。大変はしゃぎます。