【日報】GRAND PRINCESS '26で両国国技館が興奮の坩堝と化す③(キュアナイル)
よくきたな。おれはキュアナイルだ。
余計な御託は無しだ。
今回も前回同様に東京女子プロレスGRAND PRINCESS '26のレビューだ。
○第8試合 インターナショナル・プリンセス選手権試合 30分1本勝負
<王者>MIRAI vs 鈴芽<挑戦者>
この試合からタイトルマッチなので再び煽りVがながれるようになった。
ここのところTJPWの煽りVは正直にいうと、以前とくらべてかなりインスタントな作りになっておりかなり不満を抱えていた(恐らく今成夢人がCyberFightを離れたことが大きく影響している。)。
しかし、今回はBGMこそフリー音源みたいなやつだったが、両選手のインタビューも交え、この2人が闘う運命が明確に会場に打ち出されていて気合の入り方が違ったといっても過言ではない。









パワーでねじ伏せるMIRAIに対してスピードで攻略をしようとする鈴芽という好対照な2人のマッチアップだ。
序盤はバックを取り合うレスリングで互角に立ち合い、徐々に自分の色を出し始める。



鈴芽はリング上での連続攻撃から追い打ちをかけるべく、場外にプランチャを狙うが、MIRAIは距離を置きそれをさせない。
MIRAIからしたら鈴芽のペースにさせたくないので、かなり冷静な判断だった。


再び自分のペースをつかむべく、鈴芽がエプロンのMIRAIに狙いを定めるが、逆にMIRAIはそれをキャッチし、SSコロンビアwithミケーレで叩きつける。
しかも、今回はMIRAIはリング下に着地することで普通に決めるよりも更に加速し威力が増していて危険だ。


場外に落ちた鈴芽は手を握ったり開いたりしている。身体に痺れが感じるときにするムーブだ。
つまり、鈴芽はかなりのダメージを負ってしまったことが証明されている。
セコンドにはタッグパートナーである遠藤有栖が付き、鈴芽は遠藤有栖にアイコンタクトをして闘う意思をみせる。
そして再びリングに戻ってゆく鈴芽の背中には、プロレスラーという職業の力強さと同時に哀愁すら感じた。


鈴芽は得意のミカヅキ流星群をするが、MIRAIがラリアットで迎撃。
お互いの得意技同士が正面衝突する凄い光景で、おれはランボー3のヘリと戦車が激突する場面を思い出していた。
鈴芽はダウンしてしまうが、迎撃したMIRAIの左腕も無事では済まない。





一進一退の攻防が続く中、ミラマレーショックで試合を終わらせにかかったMIRAIだったが、地面にたたきつけるタイミングで鈴芽がリング・ア・ベルで返す。
最大のフィニッシュホールドの勢いを鈴芽に利用され一気に形成が逆転した。


そして、鈴芽はスプリング・リング・ア・ベルを決めて3カウント。
鈴芽がインターナショナルプリンセスインタ王座を取り返したのだ……。



同じ外部の選手でもSareeeとMIRAIの振る舞いや会場の受け入れられ方は全く違うと思った。
MIRAIは里帰りという形でもあるので、Sareeeと立場が違うとはいえ、人間性の違いが出たように思えた。
○セミファイナル プリンセスタッグ選手権試合 30分1本勝負
<王者組>上福ゆき&上原わかな vs ジェシー・マッケイ&キャシー・リー<挑戦者組>

挑戦者組である「ジ・インスピレーション」はほぼ同じコスチュームに同じ髪型をして、メイクまで殆ど一緒だった。
背中に名前が書いていなかったら見分けがつかない。
(後にわかったのだが、これは相手を錯乱させる為ワザとやっているらしい。仲が良かった頃のベラツインズと同じ理論だ。)


ジ・インスピレーションは日本語であいさつをすることで松井レフェリーに好感をいだかせ、自分たち側に取り込み試合前に有利な土壌をつくる。
ポケモンでいうところの、特性で雨を降らせたりサイコフィールドを張って自分の有利な盤面を整えるのと一緒だ。







リングに上がる4人は全員脚が長く、いちいちブートが強い。
ごく自然にゴージャス感を嫌味ったらしく醸し出すジ・インスピレーションに対し、上福ゆきは湘南のヤンキー感を出し対立構造を築いていた(別にかみーゆさんは過去にヤンキーだったわけではない。)。


かみーゆさんは得意の卍固めに入るが、ジェシー・マッケイも挑発するかのように上原わかなを捕まえて卍固めに入る。










タッグとしての練度をここ半年で上げてきたOberEatsは個々の得意技でもあるブレーンバスターやバナナピローを決めそのまま勝負を決めるかと思った。
特に2人まとめてのフェイマサーは上福ゆきくらいしか出来ない技だし、バナナピローには美しさすら感じた。
しかし、ジ・インスピレーションは要所でのタッグワークを瞬時に発揮し、あれよあれよとペースを自分のモノにしフィニッシュツープラトンであるアドライザーを決めて上原わかなをフォールし3カウント。
ジ・インスピレーションが新タッグ王者になったのだ。

なんと王座が海外に流出してしまった。
タッグ王座の完全な流出はマックス・ジ・インペイラーとハウディ・ハウィツァのWWP以来であり、TJPWに地殻変動が起きたと言っていいだろう。
○メインイベント プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合 30分1本勝負
<王者>渡辺未詩 vs 荒井優希<挑戦者>




ここまでかなりの回数の前哨戦をこなしてきた両者は手の内の多くを見せている状態であり、お互いをわかり合っている状態だ。
そして、お互いのこの日の調子を確かめ合うように試合が始まった。


荒井優希はエプロンから場外へのブートで仕掛けるが、渡辺未詩も場外でティアドロップを決めるなど強烈な一撃を放つ。



荒井はここのところ磨きをかけているサソリ固めを狙う。
渡辺未詩は新木場での前哨戦でサソリ固めで破れているのでこの技を簡単に喰らうわけにはいかない。何か対抗手段を講じなければならない。
そして導き出したのが脚の筋力だけでサソリへのセットアップ防ぐという他の選手が思いもつかないし、思いついたところで実行出来ない手段だった。
更には下からエルボーを叩き込むオプションまで揃えている。
この試合に向けた前哨戦のテーマは「荒井優希が王者渡辺未詩にどこまで距離を縮めるか」だったと思うが、渡辺未詩も現状に満足しているわけではなくどこまでも強くなる。
そういう恐ろしさを感じた攻防だった。




試合のペースを荒井に握らせないムキムキピンクはいよいよ得意のジャイアントスイングの予告ムーブをするが、荒井優希はそれに後ろからブートを叩き込んだ。
渡辺未詩のこの予告ムーブはスーパーヒーローの変身の口上と同じようなものであり、その最中に蹴りで邪魔をされた事で怒りのボルテージが上がってしまった。



荒井優希は前哨戦でみせたように、渡辺未詩の脚に絡みつきジャイアントスイングをさせない体勢になっていて、これは確実に効果があった。
意地でも回したい渡辺未詩だが、こればかりは力だけではどうにもできなかった。



荒井優希は遂にサソリ固めで捉え勝負を決めに掛かる。
渡辺未詩は荒井の弱点とも言える腰を攻め続けたが、荒井も逆に未詩の腰を攻める。
痛みがわかる者だからこそ、その痛みを相手にも与えてやらんとばかりの気迫だった。


渡辺未詩は先ほど荒井優希を回しそびれ苦々しい表情を浮かべていた。
そしてサソリ固めによって腰にダメージが蓄積し、これ以上フルネルソンバスターを食らうわけにはいかなかった。そして荒井優希の腕を振り切り、バックを取ったと思いきや磔にし、そのままリバースジャイアントスイングで廻しはじめる。
どんな形でも回すという渡辺未詩の強い意志がこの回転を生み出す。


荒井は再び渡辺未詩をサソリ固めで捕まえる。
サソリの毒によるアナフィラキシーショックで渡辺未詩はメキシコの荒野で生き途絶えそうになるが、気合で持ちこたえた。


Finallyを止められるが、荒井優希はもう一つの得意技である新人賞を叩き込んだ。得意のコンボだ。


最終盤に荒井はフルネルソンバスターで渡辺未詩を投げるが、仕掛けた荒井にも腰にダメージがありなかなかカバーにいけない。仕掛けた側も腰をつかうからだ。
そして立ち上がると遂に最終兵器であるFinallyを渡辺未詩の頭に叩き込み、3カウント。
前哨戦を含め、長い間続いた闘いに終止符を打ったのは荒井優希だった。
エンディング








荒井優希は遂に念願のPRINCESSオブPRINCESSの王座を手にし、団体のトップに立った。
新たなる支配者に、乾いたレンガを一つ一つ積み上げて作ったミウデレラ城を燃やされた渡辺未詩は複雑な面持ちで退場しようとするが荒井優希はそれを呼び止める。
渡辺未詩は応じずに帰ろうとする素振りをみせるが、荒井優希が駄々をこねるかのように無理やり呼び止める。
この我儘を押し通す強さが「力」だけではないところが荒井優希の真の魅力であり、東京女子プロレスが出来る唯一無二の空気だ。おれはそう感じた。


闘いが終わればノーサイド。
カズヤが甚八を崖から投げ落として、ローポリゴンの笑みを浮かべるようなことはない。
渡辺未詩も再びこのベルトを手に入れると言い、荒井優希と永遠に闘い続けると宣言した。ファイトフォーエバー。
そして、荒井優希は東京ドーム進出をぶち上げた。
デカすぎる夢を語るのはそれなりに覚悟がいることだ。
言うだけタダだからといって「目標はワールドカップ優勝」とかいうと袋叩きにあっていた例もある。
しかし、そういう発言から物事は動き出すものだし、現にサッカー日本代表はブラジルやイングランドを倒すほどになっている。
口に出さないと現実しない夢もあるし、東京女子プロレスの東京ドーム進出というのは、まさに口に出さないと動き始めることがない夢であり、これが後に大きなターニングポイントになるような気がした。
特に荒井優希はアイドルとしても、プロレスラーとしても東京ドームを経験している人間であり、その言った経験があるからこそ見えるビジョンもあるのだろう。


最後は全選手が登場し、この両国国技館大会を締めくくったのだ。


特典会
この日の特典会は両国国技館のコンフォートで行われ、正面口付近が所属選手。奥まったところにゲスト選手がいて、KONOSUKE TAKESHITAはまた違うところでサイン会をしていた。(因みにジ・インスピレーションは2人のサインで1万3千円(ドル払いだと80㌦)、写真撮影も同じ値段。サインと写真で2万円という超強気設定だったらしい。
元WWEでもショッツィーがGCWで来た時はここまで高くなかったはずだ。
こういう強気なマインドが王座に座るためには必要なのかもしれない。)
2階ではスーパー戦隊と写真撮影だ。
待機場所は正面口の外であり、3月の終わりの微妙な寒さを感じた。

ベイブには上坂すみれとのドリームマッチの実現に酷く感銘を受けた事を話した。
ベイブは「まさかあんな技を使ってくるとは思わなかった。もう私の膝はボロボロだ……。」と言っていたので「じゃあ、真弥さんがごんぎつねやるしかないですね。」とおれは返した。

ハイパミは今回の坂崎ユカとの試合が最後になるかもしれなかったのでどうしても闘いたかったといった感じのことを話していた。
妙に最後だと強調して話すので、おれは気になってしまい目の前でハイパミ号にベイブが轢かれた話をするのを忘れた。

前日にはいなかった文りんがこの日はいた。
おれは前日の特典会の後に学生プロレスのUWF自主興行を観に行っていたのでその話をした。
おれのすきなFANZAい勇Jizz. comがおそらく最後となる試合をしたので、観れて良かっただとか、寺での試合だったのでリングネームがほぼ全員強制変更されて、手淫・ヘイストが御朱印・ヘイストになってたとかハメ潮HONYO女犯がオモシロTOKYO炒飯になってたとかそういう話をした。



あと、話しそびれたが、文りんのサインはスモウアリーナ仕様になっていて、本当にこの会場で試合を裁けてうれしかったんだろうなと思った。
もう新たなる闘いは始まっている
以上がTJPW年間最大興行である
今回はTJPWを普段から観ていない層にもリーチを伸ばすべくあらゆる施策を施し、普段にはない豪華さがあった。
特に第二試合のアイアンマンランブルでの上坂すみれの予想外の行動の数々には驚かされたし、新たなる層にもTJPWの会場に足を運ばせることに成功した。観客動員数も過去最高の数字だ。
そして、メインの渡辺未詩と荒井優希の複雑なイデオロギーがぶつかった対決は良かったし、荒井優希が王者になったことでまた違ったTJPWの一面が観れるはずだ。

今度は、バンクーバーやテキサスで試合を行い、世界を舞台に闘う。
特にテキサスでのマニアウィークは新王者がそれぞれタイトル戦を行う。
ギミックチェンジをしたハットリ桜が鈴芽相手にどう振る舞うのかも気になるし、海外流出となったタッグベルトを享楽共鳴が奪い返せるのかというのも気になる。
荒井優希はJ-RODと対戦であり、インプリ王者時代の対外国人選手の経験をここでも活かせるのかが注目だ。

そして、4.18には再びスピンオフ興行である『TJPW INSPIRATION』がインイタで行われ、久々に関口翔と桐生真弥がタッグを組む。
もし、享楽共鳴がキャシーとジェシーの見分けがつかずに敗北するとなると、真のクローンである関口翔と桐生真弥しかジ・インスピレーションに真っ向勝負できる人間はいない。おれはそう思う。
4.18のタッグ結成はタッグ王座挑戦への布石であるとおれは睨んでいるし、おれはこの2人がベルトを巻き、東スポプロレス大賞で最優秀タッグに選ばれる未来が容易に想像できる。
メインの試合後に渡辺未詩が荒井優希に「一生ね、闘おうね?」と言ったが、本当に闘いは続く。終わりなきサーガだ。
おまえは両国の頂上決戦を目の当たりにし、次なる闘いにも興味が出てきたはずだ。
公式サイトに出向き行けそうな興行を見つけてチケットを買え。
そうすれば、再びおまえはTJPWの新たな魅力に気が付き、更に会場に足を運ぶことになるだろう……。
(キュアナイル)
