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どっちを選んでも、うれしそうにしてくれた

ふたつ並んだ布団を見て、少しだけ考える。
どっちにしようかな、と思う時間が好きだった。

「今日はどっちで寝る?」
祖父の声がする。

その”小さな競走“は、
毎晩開かれる楽しい儀式のようなものだった。

────

「さぁ、そろそろ寝よう」

同じ時間になると、祖父が声を掛ける。
テレビを消して寝室へ行く。


部屋では祖母が布団を敷いている。

「今日はじいちゃんのところで寝ようなー」
祖父が声をかける。

「うーん、どうしようかなぁ」
ニコニコ笑いながら、
腕組をして天井を見上げる。

「うーん、おばあちゃんのお布団!」
私が言うと、

「あー!残念だなぁー。
おばあちゃんには勝てないなぁ」
少しおどけて言った。

私は、なぜか祖母の布団を選ぶ日が多かった。

けれど、祖父のことも大好きだった。
翌日は祖父の布団で寝たりもした。

いつもの安心する布団の匂い、隣のぬくもり。
天井を見上げると、私のための豆電球。

起きても、寂しくない。
寝ていても、寂しくなかった。

──────────
🫧この形の私

▶  次の出来事へ(出世払いね、と言われた日)

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