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出世払いね 🔥1

「みのりちゃんのオムツ、替えてあげたんだよ」

ある日、祖母の家に来ていた、
母の妹がそう言った。

その人は、まりこという名前だった。

まりこおばちゃんと言うと怒られる。

"まりちゃん”と呼びなさいと言われて、
私はその通りにしていた。


いい天気の日だった。
私は、祖母の家で給仕の手伝いをしていた。

「へぇ、そうなの」

私が言うと、まりちゃんは間髪入れずに言った。

「だから、出世払いね」


「しゅっせばらいって、なに?」

私が聞くと、上から見下ろすように言われた。

「大きくなって働いて、
私にたくさんお金をくれることだよ」
「しっかり稼いでね」

まりちゃんは笑っていた。
でも目は笑っていなかった。

─────

私は、それを聞いて
なんとなく怖くなった。

オムツを替えてもらったことは、
"ありがたいこと”らしかった。

けれどそれは、
あとで返さなければいけないものでも
あるらしかった。

私はまだ5歳だった。

お金も持っていないし、
働くということもよく分からない。

それでも、

何かをしてもらうと、
返さなければいけない。

そのことだけは、
小さな胸に残った。

─────

そのあとも、まりちゃんは
何度か同じように言ってきた。

「出世払いね」
「だから、いい会社に入って私にお金くれないと」

祖父母の家で眠る夜は、
あんなに、あたたかかったのに。

世話をしてもらうことは、
うれしいことではなく、
あとで返す借金なのかもしれない。

私は、そう覚え始めていた。

──────────
🫧この形の私

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