多言語観察|「風邪薬」で治すのは少数派?言語で違う「言い方」と「治し方」 / Multilingual Observation|Few “Cure” a Cold: How Languages Talk about Healing
【身体の言葉 - 風邪3部作 その2】
前回、風邪で声が出なくなったのをきっかけに、各言語の発声のクセについて観察した。
今回も風邪に関連した観察記録をご紹介する。
風邪をひいた時、「風邪薬でも飲むか」と思うのは、日本ではごく自然なこと。
でも、他の国では、「薬で治す」という発想じゃなかったり、「風邪薬」という言葉自体が一般的じゃなかったり。
「風邪をひいたら薬を飲む」という発想や、単語の作られ方って、文化によって違うみたいだ。
日本語・中国語
「風邪+薬」の組み合わせで、見れば意味がわかる。誰でも推測しやすい。
中国語の "感冒藥" も、完全に単語の構造が見える。日本語でも、中国語でも、風邪を治すための薬=風邪薬がある。
英語(フランス語・スペイン語・イタリア語なども同様)
"cold medicine" や "flu medicine" のように言うこともあるが、そもそも「薬で『風邪』を『治す』」という発想があまり強くなく、どちらかというと、「『各症状』を『緩和』するための薬」のようだ。咳には cough syrup / cough drops、鼻水には decongestant(点鼻スプレー含む)、熱には Tylenol(アセトアミノフェン)、のように。
※ちなみに、「風邪はしっかり休んで治す」スタンス。"There’s no cure for a cold"(風邪に特効薬はない)、という言葉があるほど
インドネシア語(タイ語も同様)
インドネシア語の "obat flu" など、一応ある。でも、基本は "obat batuk"(咳止め)、"obat demam / panas"(解熱剤、熱さまし)のように症状ごとに薬を言い分けるスタイル。
※インドネシアもタイも欧米と同じく、「風邪はしっかり休んで治す」スタンス
こうして見ていくと、そもそも「風邪」という概念のまとまり方が言語、言い換えれば、文化によって違うことがわかる。「風邪」というものを、どれだけ「まとまりのあるもの」として捉えているかは、文化によってかなり差がありそうだ。
そしてそれは、言葉の作られ方─つまり、単語/フレーズの構造にも表れている。
ここからは、単語の構造/フレーズについても、少し観察してみよう。
日本語・中国語
風邪+薬で、単語の構造が見える=推測しやすい
英語
"cold medicine" はわかりやすいけど、"flu"は意味が見えづらく、覚えておかないとわからない
フランス語(スペイン語・イタリア語も同様)
"médicament contre la grippe" のように、長い言い回し
インドネシア語(タイ語も同様)
"obat(薬)+flu(インフルエンザ・風邪の両方)"で、単語の構造は見える
言葉の構造やフレーズにも違いがある。そして、そもそも風邪薬という単語が一般的ではないこともあり、その場合、各症状に応じて対処している。
言葉の作られ方の違いが、「治し方」の文化にも重なることに、風邪をひいて気づくことができた。
不幸中の幸い、かな笑?
【風邪3部作 その3】
さらに翌日、「痛み」についての観察記録をシェアしたので、お時間あればぜひこちらもどうぞ。
※ 多言語観察 目次↓
いいなと思ったら応援しよう!
応援いただき、ありがとうございます。いただいたチップは、観察の活動費として活用させていただきます。