難しい動きほど、大事なものを見失う|臨床メモ②
大きな動きや複雑な動きより、
シンプルな動きのほうが、
身体の深いところはよく見える。
一見すると単純なワークの中にこそ、
その人の無意識の力みや守り、
左右差や偏りがよく現れる。
今回のオンラインパーソナルワークでも、
まさにそんな時間になった。
内容はとてもシンプルだった。
ストレッチポールとボールを使いながら、
仰向けとうつ伏せの中で、
身体の内側の“伸びやかさ”と“つながり”を
丁寧に確認していった。
仰向けでは、
• 片足と両足
• 膝を伸ばした状態と曲げた状態
• 左右対称の動きと左右非対称の動き
これらを使い分けながら、
体の内側がどのようにつながり、
どこで余分な力みや偏りが生まれるのかを観ていった。
シンプルな動きほど、
誤魔化しがきかない。
何となくできているように見えても、
内側ではつながりが途切れていたり、
必要のない場所が先に頑張っていたりする。
また今回は、上肢も連動させながら、
腕をただ使うのではなく、
体幹から足先へ、
そして手足から体幹へと返ってくる
全身のつながりの中で見ていった。
局所を動かしているように見えて、
実際には全体の中でどう連動しているか。
そこがかなり大きい。
今回、特に大事にしたのは、
形を整えることではなく、
内側の伸びやかさとリラックスが保たれたまま、
動きがつながっていくことだった。
見た目の動きはできていても、
その中に力みが多ければ、
身体の深いところは自由になりにくい。
逆に、見た目が完璧でなくても、
内側の流れが保たれたまま動けていれば、
身体はちゃんと変わっていく。
その変化は、やがて外側にも現れてくる。
最後はうつ伏せで、
お腹の下にボールを敷きながら、
ゆっくりとした動きの中で、
腰部のストレッチを通して、
体幹から四肢へと広がるつながりを
呼吸とともに確認していった。
ここでも大事なのは、
「うまくやること」ではない。
リラックスした状態の中で、
自分でも気づいていなかった
力みや守りを見つけること。
気持ちよく、ウトウトしたっていい。
ワークの本質は、
そこにあると思う。
整うというのは、
外から修正されて完成することではない。
盲点に気づき、
身体の中に主体が戻った瞬間に、
整いは始まる。
だから、整うとは
“揃うこと”ではなく、
“戻ること”
なのだと思う。
その過程で深くゆるみ、
ウトウトしたり、
自分の呼吸音が聴こえてくることもある。
今回のワークでも、
シンプルだからこそ見えるものがあった。
シンプルだから浅いのではない。
シンプルだから深い。
そしてこういう変化は、
一回で劇的にわかるものばかりではない。
長く続けることでしか体感できない、
身体の深部で起きている変化がある。
表面の動きが変わる前に、
まず内側のつながり方が変わる。
そこから少しずつ、
姿勢や感覚や日常の動きが変わっていく。
だからこそ、
地味に見えるワークほど侮れない。
身体は、
深いところから変わるときほど静かだからだ。
