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親友ではない"あいつ"が死んだ夜

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1年前に友人が死んだ。ガンだった。

あいつとは小学校、中学校が一緒だった。明るく友達も多い、いわゆる"陽キャ"だった。地元の鎌倉でライフセーバー活動をしていて、日差しに黒く焼かれた顔でいつも笑っているようなやつだった。

あるとき、あいつにガンが見つかった。発見の経緯は壮絶だった。妻子を乗せて車を運転している最中に、急に意識を失って事故を起こす。病院で、脳腫瘍によるてんかん発作で意識障害が出たのだと判明した。

ただ、あいつの陽気さは消えなかった。自ら生前葬を企画し、古民家を改装したおしゃれな湘南の宿でパーティーを実施。しみったれた空気は一切なく、集った友人たちとケータリングされた料理とお酒を飲み食いした。余命2年と宣告された人間には全く見えなかった。

あいつが病気で死ぬところなんて想像できねぇな。みんなそう思っていた。恐ろしいことに、あいつは奇跡的にそれを叶えた。余命宣告を受けた身だったのに、治療を続けた結果「もう再発はない」と言われる状態にまで完治させてしまった。死なずに済んだ。それだけで十分すぎる成果なのに、あいつは自分の体験を通して命の大切さを子どもたちに伝える活動を始める。なんなんだそのバイタリティは。その活動は各種メディアでも報じられた。



結局あいつはこうなんだ。生命力に溢れ、明るい日差しのもとで精力的に動き回る人間だ。周囲の人間にそう実感させていたあいつは、去年死んだ。再発することはないと太鼓判を押されていたガンが再発した。生前葬のパーティーを開いてから5年。宣告された余命2年から3年だけ長く生きて、あいつは死んだ。


あいつの死からもうすぐ1年経つ。友人の死は悲しいものだ。ただ、僕はまだこの悲しさの意味を掴みかねている。だって、確かにあいつを友人とは呼べる気はするけれど、親友ではなかった。あいつの明るさに「ノリが合わないな」と感じることは何度もあった。ふたりだけで濃い時間を過ごすことはなかった。

親友ではない"あいつ"の死は、僕にとってなんなのだろうか。
それを理解するために、今日はあいつのことを思い出すことにする。

過去の記憶を振り返るほどに実感する。
あいつとは気が合わなかった。


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