02.森で最初に出会った三人|モコ・メイ・ハヤト
その日は三人で湖へ来ていた。
湖面の光が葉の影と重なり、午後の空気がゆるく流れていく。
「水きらきらしてるモコ!」
ぱしゃ、と水がはねる音がした。
「楽しいモコ!」
「メイも走るモコー!」
水辺を走り回っているのはモコ。
森にいちばん溶け込んでいる子だ。

その横で、木陰にもたれかかりながら、
手をひらひら振っているのはメイ。
森でいちばん、楽をするのが上手な人だ。
「私はいいやー。見てる方が楽しいし。
モコって、ほんと元気だよねー」
湖の風が、さわさわと草木を揺らす。
水面には午後の光がゆっくり広がっていた。
◆
その頃、ハヤトは二人から少し離れた
湖岸を歩いていた。

森でいちばん、細かいことに気づく少年だ。
石をどけ、
枯れ枝を拾い、また戻す。
足元を見ながら、何かを探している。
その動きがふと、止まった。
「あれ……これ、もしかして」
しゃがみ込み、確かめるように指先で撫でると、薄い草がほぐれるように揺れた。
「やっぱり!」
立ち上がり、二人のもとへと駆け出す。
「ねぇふたりとも、これ見てよ!」
手に持っている草の穂先をそっと広げると、
光に反射して絹のようにやわらかく光った。
「ねぇこれさ、“ほぐれ草”ってやつだよ。
湖のそばにしか生えないやつ。
よーく探さないと見つからないんだ」
ハヤトが草を軽く揺らしてみせると、モコは目を輝かせる。
「きれいだモコー」
「これさ、今はまだ湿ってるけど、乾くと火が着くんだ。持ってると便利だよ」
「わー、ほしいモコ〜」
メイがくすっと笑う。
「モコ、それ火おこし用でしょ。
さすがにモコにはまだ早くない?」
メイはそう言いながら草を手に取る。
「うわぁ、ふわふわ。
ハヤトって、森の探検家みたいだよね」
ハヤトは少し照れたように肩をすくめた。
「森ってさ、ちゃんと見てると教えてくれるんだよ。昨日なかった場所に、今日あることもあるし」
モコがハヤトを見上げる。
「森、教えてくれるモコ?」
ハヤトは少し考えてから、うなずいた。
「教えてくれるけど……説明はしてくれない、かな」
「よくわかんないモコ。じぶんで探すモコ〜」
風がひと吹き通り、草がやわらかく揺れた。
モコが笑いながら駆けていく。
「ちょ、モコ待ってよ!そっちじゃないってば」
ハヤトも走り出す。
メイは少し遅れて、その後を追いかけた。
午後の光の中、三つの足音は
重なりながら遠ざかっていった。

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道は、3つに分かれている。
さあ、どの道を歩く?

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