05.森で一番整わない人|メイ
─ メイという生き方 ─
朝の森は、やわらかな光に包まれていた。
木の幹のふもとに、小さな家がある。
苔の屋根、丸い扉、小さなポスト。
まるで森が自分で作ったみたいな家。
まだ眠そうな目をこすりながら出てきたのは──メイ。
メイの家は外観こそ可愛いが
中は嵐が過ぎた後のよう。
机には読みかけの本の山。
床にはチラシと脱ぎっぱなしの服。
郵便物も、だいたい机の山に混ざっていく。
そして、その静かな朝を破った第一声。
「あ!新作の発売日いつだっけ?」
メイは机の上を慌ただしく探し始める。
あったはずのチラシが、山になった郵便物に埋もれて見つからない。
お目当てのものを探していたはずなのに、
棚の上にお菓子を見つけてしまう。
「あ、これ美味しいやつじゃん」
目的は一瞬で消え、ソファに沈み込む。

整頓されていない空間でも、
彼女は気にせず、いつも通りに過ごす。
散らかっているけれど、困ってはいない。
──少なくとも、今のところは。
そこにモコがやってきた。
「メイ、今日も忙しそうモコ」
振り返って笑うメイ。
「そう?でもこれくらいの方が森の風景に馴染む感じでしょ?」
モコは、とびきりの笑顔で頷く。
「じゃあ一緒に散歩に行くモコ」
「オッケー!」
メイは親指を立てる。
床に広がったままの紙と服をそのままに、
ふたりは森の奥へと消えていった。
◆
夕方。戻ってきたメイは、
部屋の入口で一瞬だけ立ち止まる。
「あれ、何してたんだっけ?」
メイは少しだけ眉を寄せる。
「……ま、いっか」
そう言って、届いたばかりの郵便物を机の山に置いた。
──メイの部屋は今日も片付かない。
けれど、何かが少しずつ積み上がっていることをメイはまだ知らない。


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