04.森で一番見つける少年|ハヤト
─小さな探検家─
森の奥を、ひとつの小さな人影がゆっくりと進んでいく。
──『ハヤト』だ。
背丈も歩幅もまだ子どもそのものなのに、足運びだけは妙に大人びている。
落ち葉の厚み、枝のしなり、風が運ぶ湿り気まで読み取るように歩く姿には、森と長く付き合う者だけが持つような風格が宿っていた。
「…いい形の枝、見つけた」
足元に落ちていた小枝を見つけ、ハヤトはしゃがみ込む。
小枝を手に取って太さや乾き具合を確かめる。軽く振って、葉っぱや小さな虫が付いていないかもチェックする。
その動作は、まるで道具選びにこだわる匠のようだ。

「今から少しずつ集めておけば、寒くなった時にすぐ使えるぞ」
小声だけど、どこか誇らしげ。
こういう知識は誰に教わったというより、森の暮らしを観察しているうちに、彼の中に自然と積み重なっていったものだ。
ハヤトは集めた枝を胸に抱え、耳で森の調子を確かめるように立ち上がる。
「今日も森は穏やかだな」
木漏れ日が斜めに差し込み、ハヤトの肩にふわりとかかる。森は言葉を持たないけれど、彼にとっては充分に“会話のできる相手”だった。
小さな探検家は、拾った枝の束をしっかり抱え直し、元来た道を戻っていった。

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