11-おもちゃを落とす、渡す“「意思ある操作」”の始まり-3つの遊びと発達ポイント
はじめに:赤ちゃんの「手」が語り始める
前回の記事では、赤ちゃんの体が“真ん中”に集まることで、
両手・両足・顔が中央で出会いはじめる様子をご紹介しました。
そして今回は、いよいよ赤ちゃんが自分の意思を持った行動を始めます。
この時期に育ってくるのは、
ものを「握る」だけでなく、「渡す」「落とす」
両手を自分の意思で使い分ける
見たものを触る・叩くなど、視覚と触覚の統合
といった、まさに「意思のある操作」の始まり。
今回はそんな発達のステップを、3つの観点から具体的に解説していきます。
1|手のひらが“上を向く”ような:前腕回外のはじまり
▶︎ 前腕回外(ぜんわんかいがい)ってなに?
これは、肘から先を開くことで、手のひらを上に向ける動きのこと。
大人にとっては何気ない動きですが、赤ちゃんにとっては“操作性の扉”が開く瞬間です。
この肘より先が外側に向く動きの初期の段階です。
この動きは、これからスプーンやお箸を持つ時期に大きく影響していきます。ちょっとした動きですが、とても大切な動きになってきます。
たくさんおもちゃの受け渡しで遊んであげて。
この回外の動きによって、以下のような操作が可能になります。
ものを渡す
両手の間で受け渡す
ビーズ袋など、柔らかい物の重さや感触を確かめる
手のひらが見えることで、赤ちゃんは「これを触っているのは自分の手だ」と自覚しやすくなります。
視覚と触覚のリンクが強化され、自分と世界との関係性を“操作”によって体感し始めるのです。
▶︎ おすすめ遊び:ビーズ入り布袋を「渡す⇄返す」
準備:
手のひらサイズのビーズ入り布袋(握ると音がするものも◎)
親の手と赤ちゃんの手を正面で向き合わせられる座位 or 膝の上ポジション
遊び方:
大人が「はい、どうぞ」と差し出す
赤ちゃんが握る
少しの間持たせる(持ち替えられるようになる子も)
再び「ありがとう」と言って受け取る
これを何度も繰り返すことで、
手の向きを調整する力
渡す・返すのやりとり(共同注意)
“自分の操作で相手が動く”という因果理解
が少しずつ育まれていきます。
2|握る→落とす:解放のはじまりは“繰り返し”から
▶︎ なぜ「落とす」ことが大事なの?
この時期、多くの赤ちゃんが「おもちゃを落とす」ことに夢中になります。
これは単なるいたずらではありません。
握っていたものを“手放す”という精緻な制御
“自分が手を離した→物が落ちた”という因果理解
落ちた音や反応に対する注意力の発達
この「握る→落とす」の繰り返しは、まさに“自分が世界を動かしている”という発見体験なんです。
▶︎ おすすめセッティング
赤ちゃんの手に収まる大きさのおもちゃ(ガラガラ・輪っか・ビーンズ袋など)
落としても音が優しいように、下に布クッションを敷く
大人が隣でリアクション(「落ちたね〜!」「コロンって音したね」)
この環境を整えてあげることで、赤ちゃんは安心して“原因と結果のリンク”を学ぶことができます。
ポイントは、「もう一度渡してあげること」。
大人がそれを繰り返すことで、やりとり感覚(やった⇄返ってきた)が育ち、言語の土台にもなっていきます。
3|“体の中心”で遊ぶ:見て・触って・動かす操作の統合
▶︎ 両手で振る・叩く:「操作の始まり」は体の真ん中で
中心線の発達が進んだ赤ちゃんは、徐々に胸の前=正中線上で両手を使った操作をするようになります。
両手でガラガラを持ち、振って音を鳴らす
両手でトントンと机や体を叩く
手の動きを見ながら、口や顔へ持っていく
この時期は、視覚と触覚のマッチングがぐんぐん発達する時期。
赤ちゃんにとって、「見ている手」と「動かしている手」が同一のものだと理解することは、非常に重要な認知発達の一歩です。
▶︎ 鏡を活用した遊びが効果的!
おすすめは鏡の前での操作遊び。
赤ちゃんの手元で:
ガラガラを振る
柔らかいぬいぐるみを持つ
両手でひらひらする布を持たせる
これらを鏡越しに見ることで、赤ちゃんは自分の動きと視覚的な動きのリンクに気づき始めます。
「動いている手が、自分の手だ」
そんな小さな発見が、操作感覚と自己認識の土台を築いていきます。
鏡を使った自分認知は、うつ伏せや横向きなどができ始めた時から、取り入れることもとても有意義に働きます。
我が家では、いつも隣に鏡を置いていました。
▼ 0ヶ月からの”鏡トレーニング”の有益性|脳神経科学からみる子育て
まとめ:「手が開く」と、世界がひらく
この時期の赤ちゃんの“手”は、ただの道具ではなく、世界とつながるチャンネルです。
前腕回外(ぜんわんかいがい) → 渡すができるようになる
握る→落とす → 操作の意図が芽生える
胸の前で操作 → 視覚と触覚の統合が進む
これらはやがて、「自分でスプーンを持つ」「ものを掴んで操作する」「絵本をめくる」といった主体的な動きと学びにつながっていきます。
次回予告:12-寝返り直前!赤ちゃんの「あとひと押し」を支える5つの準備
次回は、寝返りする直前の成長過程についての記事。
・横向き姿勢から足がクロスする動作
・両手で体を持ち上げる動作
・お尻をぷりぷりあげるミニブリッジ
「寝返りで“世界を試す”」赤ちゃんの姿を、一緒に追いかけていきましょう!
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