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左右非対称な顔が、当たり前だ

いつもメガネが斜めになってしまうあなた。
それってもしかするとメガネが曲がっているのではなくて、顔が曲がっているのかもしれない。


僕は仕事で数えきれない人の顔にメガネを合わせてきた。その数は100人単位ではないかもしれない。
お客さんの顔にメガネを合わせていると、顔が左右対称な人なんて存在しないのがよくわかる。

目の高さが左右で違っていたり、距離が違っていたり、
耳も高さや前後の位置や大きさが左右で違う。
鼻の形も左右で違うし、メガネにはあまり関係ないかもしれないが顎も左右で違う。

「私、顔が左右で違うから」
なんだか申し訳なさそうに言ってくるお客さんがいる。申し訳なく思う必要もないのだが、その人はその人なりにコンプレックスなのかもしれない。

「実は、みんなそうなんです」
僕がそう言うと、「えっ?」と言いながら顔が少しだけ明るくなる。「みんなそうなら自分はおかしくない」とわかった瞬間に、僕はその人が抱えていた荷物を一つ降ろすことができたのだろうか。


顔が左右対称な人は、100万人に1人の割合らしい。それも100%左右対称なのではなくて、“ほぼ左右対称”というぐらいらしい。
学術的には、100%完全に左右対称というはあり得ないそうだ。

生まれる以前の胎児のときの姿勢や、生まれてからの姿勢。そして聞き手や聞き顎やその他の生活によって骨格はミリ単位で変わる。もちろんある程度の遺伝もあるだろう。

“ほぼ左右対称”は、そんな綱渡りのようなギリギリのバランスを全てクリアしながら渡り切った限られた人にようやく与えられる、トロフィーのようなものかもしれない。

そのくらい100万人に1人というのは、ほぼ存在しないと思っていい。

僕は広島県在住なのだけれど、広島市の人口が100万人くらいだ。
広島市中をすべて探し回ったら、ようやく1人見つかるくらいの確率。
東京都の人口が1,400万人らしいから、東京都中を探し回れば14人くらい見つかるということか。


これは個人的な好みだけれど、僕は左右非対称なものが好きだ。
それは人の顔に限らず、建物やファッションや景色や食べ物でも何でも。カレーのライスはど真ん中ではなくて左右どちらかに寄せてほしい。
いかに崩しているかというところに面白さを感じる。人はバランスが取れていないくらいがちょうどいい。


「じゃあ顔を新しくしてきてください」なんてジャムおじさんとアンパンマンのようなことは言えないから、僕は左右非対称な顔にメガネを合わせる。

メガネは一見すると曲がっているかもしれないけれど、それが人の顔に合わされば±0で真っ直ぐになる。
曲がってるもの同士がなんだかいいように噛み合って真っ直ぐになればいいのだ。なにごとも。


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コリ|メガネ屋エッセイスト 路上にチップもらう用のシルクハットを置いてパントマイムするの、実はやってみたかったんです

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