日本中、ムスカ大佐だらけでもいいかもしれない
「ムスカ大佐みたい」
僕の眼鏡を見て、ある人がそう言った。少なくとも褒め言葉でないことはわかる。とりあえず嬉しくはない。
でも僕は、みんなムスカ大佐になればいいと思っている。
僕の愛用している眼鏡は、調光レンズになっている。
基本的にはレンズは透明なのだが、外に出て紫外線に当たると濃いブルーに変色してサングラスになる。
そして室内に入ると透明に戻る。夜の日が当たらない時間帯も透明のまま。


昼と夜、外と中とで表情を変えるのが面白くも実用的で、これをほぼ毎日使っている。
しかしその愛用の調光レンズの眼鏡を見て、 「ムスカ大佐みたい」と言われたのだ。
たしかに僕の眼鏡は長方形だから、なるほど確かにムスカ大佐の眼鏡にもどこか似ている。…かもしれない。メガネ屋の僕からすると全く形は違うのだが、興味のない人からすると同じに見えるのだろう。
しかも街を歩いていると、すれ違いざまに相手がチラッとこちらを見て、ほんの一歩ぶん距離を取られる。
ムスカ大佐に見えるからだろうか。別にあなたのお買い物を3分間だけ待っている訳でもないのに。
サングラスに抵抗を持つのは、日本人特有の感覚らしい。
日本人は目で喜怒哀楽の感情表現をするので、その目が隠れていると不気味に見えたり威圧感が出るらしい。口角は上がっていても目が笑顔でなければ、「目が笑ってない」と言われるのはそのせいか。
それに対して欧米では、口元で喜怒哀楽を伝える。だからこそ彼らはマスクを嫌う。
しかし、サングラスは健康のための必需品だ。
紫外線は肌だけではなく、目の奥にもしっかりとダメージを与えてくる。
白内障などのリスクに繋がることもある。
そうでなくとも、眩しさを抑えるだけでとても快適になる。決してファッションだけの物ではない。実益だってしっかりとあるのだ。
だから僕は、もっとサングラスが当たり前に、不気味さや威圧感を持たずに使用できる世の中になって欲しいと願う。
だからこそ今日も僕は、堂々とムスカ大佐で外を歩く。
街行く人に、
「ハッハッハ、どこへ行こうと言うのだね」
と、心の中でつぶやきながら。
そのうち日本のあちこちで多くの人が、
「目が、目がぁ!」
とならないために。
そのための一端を担っているような気持ちで、
「君もサングラスをかけたまえ」
と、無言の布教活動を行なっている。
街ですれ違う全ての人がサングラスを掛けている風景を想像して欲しい。
それこそ、
「最高のショーだとは思わんかね」
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路上にチップもらう用のシルクハットを置いてパントマイムするの、実はやってみたかったんです