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僕がコロナ禍以前の本を読まない理由

本を読むとき、僕は初版の発行年を気にしている。読みたいのは2020年以降。
僕は少なくともコロナ禍以降の情報が欲しい。


2019年。
僕は以前勤めていた企業の研修に参加していた。
次のリーダーを育成することを目的とした研修で、半年間かけて様々な研修を受けた。

その最後の日、全員に一つの質問がされた。
『あなたの理念はなんですか』
僕は少し考えて、以前からずっと抱いていた、ある思いを口にする。
「5年経てば、世の中は変わる」
世界は常に変わり続ける。古い考えに縛られたくはない、これが僕の理念だった。研修の講師からは「フンッ」と、鼻から笑いの吐息が溢れた。

そのわずか数ヶ月後、世界は未知のウイルスの蔓延によって大パニックに陥る。


2019年の当時、僕が以前働いていた会社の元上司は週に一度、会議に出かけていた。
会議があるのは本社の建物で、職場からは車で約1時間半。そこから1時間の会議をして、また1時間半かけて戻ってくる。
合計4時間の時間を使って行われる会議は、ただ1週間の仕事の報告をし合うだけの形式的なものだった。

「あれ、zoomか何かのオンライン会議にしたらどうですか?」
僕は本社にいる当時の部長と話すことがあった折に、ついでに聞いてみたことがある。世の中には便利なオンライン会議の仕組みがすでにあったので、4時間かけて往復しなくてもよくなると思ったのだ。
「でもね、直接集まることに意義があるんだよ」
そう言われて僕の提案は却下された。

ところがコロナ禍以降、そんな職場にいきなりzoom会議が取り入れられた。
そこに何の意義があるのかわからないまま直接集まって開かれていた会議は、ウイルスの蔓延によって一瞬で変わった。

コロナ禍以降、世の中の価値観や考え方は変わった気がする。いや、変わったと期待している。
直接集まることの価値観。人との距離感。一つの仕事に依存するリスク。物の価値観。時間の価値観。
いろいろなことの視点が見直された。
日本での流行は2020年から始まって、「マスク着用は自由にします」と言われたのは2023年頃。
5年も経たずに、世の中は多少なりとも変化したはずだ。

だから僕は、2019年までに出版された本にまったく価値がないとは言わないが、コロナ禍になる前の感覚は古いのではと思ってしまうのである。


僕の発言を鼻で笑ったあの人は、後で僕の発言を思い返しただろうか。もしくは忘れていただろうか。

僕からすると、「ほらね」なのだ。


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コリ|メガネ屋エッセイスト 路上にチップもらう用のシルクハットを置いてパントマイムするの、実はやってみたかったんです

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