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ゴールデンウィークは犠牲ドライバー

「明日は5時に家を出て送迎に行かないといけない」
メガネのメンテナンスでお店に来た方が、唐突にそんな言葉を漏らした。

詳しく聞いてみると、次の日に高校生のお子さんの部活の送迎で、寮住まいをしている広島市の高校から鳥取県境港市まで車で送らないといけないらしい。
現地の集合時間は遅くても9時まで。
それもご両親が送迎できない他の子たちも乗せて。

広島市から境港市までは、広島に住んでいる僕はなんとなくでもわかる。かなり遠い。

引用:Google Earth

とにかく遠いのがお分かりいただけるだろうか。
子どもの送迎の範疇を超えている。広島市から境港市までの移動は、ほぼ旅行だ。
なにせ瀬戸内海沿いから日本海沿いに向かっている。ふたつの海を股にかけている。


「さすがに遠すぎませんか!?」
送迎の範疇を超えていることを遠回しのようで遠回しでもない言葉で投げかけた僕に、その方は言った。
「うちはハイエースを持っているから仕方ない」

ハイエース。日本が世界に誇るトヨタ自動車の人気車種。企業から個人まで幅広く愛される名車である。
他の車にはない圧倒的な広さと安定性を持つその車を所持するということは、もれなく送迎の任からは逃れられないということか。

「しかも部活の試合はさらに次の日なんよ」
「境港に着いてからは何もすることがないから帰るしかない」
試合はさらに次の日だから見学もできない。送るだけ送らされて、境港市でその人は1人取り残される。
「さすがにガソリン代と高速代は部費からもらえるらしいけど」
当たり前だ。これでガソリン代すら出なかったらキレていい。


そういえば僕も高校時代にバレーボール部で部活とやらをやっていたときは、送迎をしてもらっていた。
多くの場合は駅までは父親、そして電車に乗って学校に到着してからはO先生の車で。

このO先生、2人いるバレーボール部顧問のうちの1人ではあるけれど、バレーボール経験者ではない。メンバーや作戦を考えるわけでもない。指示を出すわけでもない。
O先生が顧問である理由はただ一つ、僕たちの“送迎”のためのみである。

ただ僕たちを自家用車に乗せて試合会場に送り届けるためだけに、O先生の土日の休日は使われていた。


部活というものは、もれなく誰かの犠牲の上に成り立っているものなのだろうか。

そういえば何年か前に地元の高校の野球部が地方大会の決勝戦まで残ってしまい、あと1勝で奇跡の甲子園出場かと言われていたときに、チームメンバーのご両親たちは思っていたらしい。

「負けろ」
………と。

送迎や宿泊や応援で休みとお金が消し飛んで、そこから甲子園まではとても着いて行けなかったそうだ。


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コリ|メガネ屋エッセイスト 路上にチップもらう用のシルクハットを置いてパントマイムするの、実はやってみたかったんです

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