恋川春町先生への感謝と泣き笑い――大河ドラマ「べらぼう」第36話
江戸文化好き、「図書・図書館史」好き司書、きのころです。
NHK大河ドラマ「べらぼう」第36話、「鸚鵡のけりは鴨」。
ついに今回、我らが恋川春町先生が退場してしまいました……(涙)。
岡山天音さん演じる「べらぼう」版の春町先生は、
とにかく融通が効かない、とことん真面目な男……
ちょっと(じゃなく)こじらせた人として描かれていました。
狂歌師としての名前「酒上不埒」にも、
その真面目さを存分に活かした誕生エピソードが盛り込まれ、
「べらぼう」屈指の名キャラクターになっていたと思います。
皆さんも、春町先生、好きでしたよね?
こんな人、実際に身近にいたら、相当めんどくさそうですが……(笑)
――私は、大好きでした。
だからこそ、史実では悲劇が展開することがわかっているだけに、
「べらぼう」では、どういう描かれ方をするのか、気になっていました。
ドラマを見ながら、1回や2回ではなく、3回くらいは、
「ひょっとしたら、春町先生、助かるのでは?」
と思っちゃいました。(ミスリード、うまし)
最後、布団に横たわっているのを見ても、
まだ、起き上がってくるのを期待してました……。
でも、ダメでしたね(涙涙)。
武士としては切腹する。
戯作者としては豆腐の角で頭をぶつける。
最後まで、律儀に、くそ真面目に筋を通したところが、
これまでドラマが丁寧に作り上げてきた春町像と完全に一致して、
泣き笑いしながら、最期を見届けることができました。
辞世の句までいじり倒されて、
戯作者仲間にも、笑って見送ってもらいましたね。
「悲しい」と「清々しい」を両立させるアクロバティックな展開。
今回も、本当にお見事でした。
ちなみに、恋川春町には、恋川ゆき町という弟子がいました。
恋川春町、喜多川歌麿に学び、師匠が亡くなった後は、
2代春町、2代歌麿を名乗った、とのことです。
「べらぼう」には、今まで出てきていないので、
おそらく、今後も出てくることはないと思います。
さて、今回は、恋川春町先生を偲んで、
次の本を紹介させていただきます。
『江戸の戯作絵本 1』 (ちくま学芸文庫)
小池正胤、宇田敏彦、中山右尚、棚橋正博 編
漫画家、江戸風俗研究家の杉浦日向子さんも愛読した名アンソロジーの文庫版。
全4巻を横に並べると、表紙が「戯作絵本」になるという粋な構成です。
この中に、「べらぼう」でも紹介された初期の黄表紙の傑作が大量に収められています。
【目次】
金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ) 恋川春町作画
化物大江山(ばけものおおえやま) 恋川春町作画
桃太郎後日噺(ももたろうごにちばなし) 朋誠堂喜三二作・恋川春町画
辞闘戦新根(ことばたたかいあたらしいのね) 恋川春町作画
無益委記(むだいき) 恋川春町作画
時花兮鶸茶曾我(はやりやすひわちゃそが) 芝全交作・北尾重政画
一流万金談(いちりゅうまんきんだん) 朋誠堂喜三二作・北尾政演画
御存商売物(ごぞんじのしょうばいもの) 北尾政演作画
啌多雁取帳(うそしっかりがんとりちょう) 奈蒔野馬乎人作・忍岡歌麿画
万載集著微来歴(まんざいしゅうちょびらいれき) 恋川春町作画
天慶和句文(てんけいわくもん) 山東京伝作・北尾政演画
頭てん天口有(あたまてんてんにくちあり) 四方山人作・勝川春潮画
狂言好野暮大名(きょうげんずきやぼだいみょう) 岸田杜芳作・北尾政美画
大悲千禄本(だいひのせんろくほん) 芝全交作・北尾政演画
江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき) 山東京伝作・北尾政演画
亀山人家妖(きさんじんいえのばけもの) 朋誠堂喜三二作・北尾重政画
面向不背御年玉(めんこうふかいのおとしだま) 森羅万象作・式上亭柳好画
ここでは、春町先生の手による6作品をご紹介します。
①金々先生栄花夢 恋川春町作画
ご存知、元祖・黄表紙。栄華を夢見る田舎者の金村屋金兵衛の物語。
②化物大江山 恋川春町作画
鬼退治物語『酒呑童子』のパロディ。蕎麦vsうどんの戦いを描く。
③桃太郎後日噺 朋誠堂喜三二作・恋川春町画
桃太郎の続編……と言いつつ、よいこは読んではいけない大人の絵本。
④辞闘戦新根 恋川春町作画
流行語が化け物になって襲ってくる!現代のマンガに匹敵する斬新な展開。
⑤無益委記 恋川春町作画
聖徳太子の未来預言書「未来記」を元にした(?)、江戸の未来予想図。
⑥万載集著微来歴 恋川春町作画
狂歌界をテーマに、「万載狂歌集」の来歴を平家物語に仮託して語る作品。
今回は春町先生の作品だけを取り上げましたが、
他にも江戸戯作者オールスターの傑作がぎっしり収められています。
江戸の戯作絵本をまとめて読みたい方におすすめです。
さて、今回のnoteは「恋川春町特集」でしたが、
ドラマの中では、朋誠堂喜三二先生の大送別会が楽しかったですね。
昔なつかしの面々が勢揃いし、
さらに、そのメンバーがそれぞれ取り出すのは――
これまたなつかしい、メンバーゆかりの本たち。
泣き笑いしながら喜三二先生を見送る、素晴らしいシーンでした。
このシーンで出てきた本については、
大和愛さんが、こちらのnoteにまとめられています。
ドラマを見ながら「これ何だっけ?」と引っかかった本も多かったのですが、大和愛さんのまとめを拝見して、「そうそう、これだ!」と思い出すことができました。
大和愛さん、ありがとうございました。
今回は以上です。
今後も、べらぼうファンの皆さんと一緒に、
ドラマの行く末を見守りたいと思います。
お読みいただきまして、ありがとうございました。
たくさんのnoteの中から、私の記事を見つけて読んでいただき、
ありがとうございました。
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