【妄想書評】新ジャンル「フンデレ」に恋愛小説の未来を見る(見えてない)
当noteは架空の小説ジャンルを妄想で語るものであり、実在の人物・団体・文芸ジャンルとは何の関係もありません。そもそも実在しません。
「未来すぎる恋愛小説を先取りする会」の代表かもしれない、
きのころです。
あなたは、今「恋愛小説」界隈を賑やかしている新ジャンル――
「フンデレ」を知っているでしょうか?
「フンデレ」とは、「ツンデレ」から派生した、怒りの中に愛を見出す新しい恋愛の形を描いた小説群の総称です。
ツンデレが「ツン」(敵対的な態度)→「デレ」(過度に好意的な態度)という感情の往復を楽しむのに対し、
フンデレは、ヒロインの爆発的な「フンッ!」(猛烈な怒り)により、恋愛の感情曲線に爆心地ができてしまう――そんなジャンルです。
私は、昨年出版された数多くのフンデレ小説を読み漁った結果、
フンデレには大きく分けて3つのカテゴリがあることに気づきました。
すなわち、
「噴火系」、「粉砕系」、「憤怒系」です。
これから、それぞれの特徴を解説していきましょう。
① 噴火系 ― 「瞬間湯沸かし器」的フン
噴火系とは、読んで字のごとく、火山の「噴火」。
感情が暴発する瞬間、あたり一帯を焦がすような熱量を伴うタイプです。
このタイプのヒロインは、怒りの反応速度が秒速。
火山活動の周期が短く、「怒る → 爆発 → デレる」でワンターン。
怒りの規模こそ大きいものの、
基本的に、爆発のあとはスッキリと休火山状態に戻ります。
その平穏期こそが彼女なりの「デレ」――
つまり、マグマの余熱であたたかい時間です。
怒りの温度こそ愛の温度。
恋愛とは、沸騰と冷却の繰り返しだと教えてくれるのが、この噴火系です。
◆代表作:『恋は火山灰上がりのように』
作者:怒髪天 突子(どはつてん つきこ)
怒りの噴煙とともに部屋の温度が急上昇し、近所まで熱波が伝わる。
だが、彼女の怒りは長くは続かない。
翌朝には「昨日はちょっと活火山しちゃった」と言いながら、
焼き立てのパンを差し出すのだ。ほっこり(こんがり)。
② 粉砕系 ― 「破壊(物理)」的フン
続いて、粉砕系。
こちらは、怒りのエネルギーを感情ではなく行動で表します。
ツンデレが口喧嘩で済ませるなら、粉砕系は周囲を物理的に破壊するレベルのアクションを見せます。
抱きしめるかわりに、拳で愛を伝える。
恋の障壁を破壊するために、まず相手を破壊するタイプ。
そして、破壊の限りを尽くした後、彼女は必ずデレます。
壊したものを一緒に直す時間、手に残った痛みを確かめ合う沈黙――
そこに、彼女なりの優しさと安堵が宿る。
すなわち粉砕系のデレとは、
破壊の余韻に生まれる共同修復のぬくもりなのです。
◆代表作『恋は鉄骨よりも固く』
作者:拳野 クラッシュ(こぶしの くらっしゅ)
「恋愛シーンのたびに現場が崩壊する」――そんな展開から、
読者の間で「危険物取扱注意ラブ」と呼ばれる伝説の一冊。
ヒロインがブルドーザーに乗りこんで言い放つセリフ――
「あなたの心、更地にしてあげる!」は流行語大賞候補に。
③ 憤怒系 ― 「地獄の阿修羅」的フン
最も深く、最も恐ろしく、そして最も美しい怒りのかたち――憤怒。
このタイプのヒロインは、怒っていない瞬間がありません。
常に、灼熱地獄の炎の中で、心を延焼し続けています。
外見は穏やか、声も柔らかい。
けれど、その笑顔の裏には阿修羅の火焔が揺らめいている。
彼女にとっての「フン」は爆発ではなく、永続的燃焼。
怒りを鎮めることが愛ではなく、
怒りの中で愛を保ち続けることが、彼女にとっての「デレ」。
心が地獄の業火であろうと、煮え立つ血の池であろうと、
その炎が消えないかぎり、恋は生きている。
憤怒系は「冷めることを許さない愛」なのです。
◆代表作:『あなたの中で燃えつづける』
作者:灼見ヶ原 煉(しゃくみがはら れん)
怒鳴らない。泣かない。ただ、温度が下がらない。
彼女は少しずつ相手の精神を焦がし、むしばんでいく。
「もう怒ってないの。
……でも、あなたの中で、まだ私が燃えてるでしょう?」
最後に:フンデレの未来
ツンデレが「ツンとデレの間の温度差」を楽しむのに対し、
フンデレはその温度上昇のメカニズムを楽しむジャンル。
つまり、恋愛における感情の――熱力学です。
怒りを燃料にして、愛というエネルギーをどう循環させるか。
それを描くのが、フンデレ文学の本質。
最近では、三系統の混合型「フンデレミックス」も登場しています。
たとえば、『恋する地響き温泉・沸騰中』(作者:地獄谷 焔子)では、
ヒロインが怒って湯気を立て(噴火系)、
恋人を建物の柱ごと抱きしめて吹き飛ばし(粉砕系)、
最後は、別れを選びながらも温泉の地熱に怨念を残す(憤怒系)。
――結果、旅館ごと爆発する。
こうして、恋愛小説は進化の熱暴走を続けているのです。
フンデレは、怒りを恐れない愛、そして愛を終わらせない怒りを描く文学。
その熱は、まだ冷めそうにありません。
なんのはなしですか
<あとがき>
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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それでは、次の「#なんのはなしですか」でお会いしましょう!
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