月の味_15🌏(最終話)【バッケン】【シロクマ文芸部】
月の味方が惑星ガイアに到着したことを、いつもならアニメを放送しているテレビ局もニュース速報として流していた。
ガイア上空に浮ぶ満月のような巨大な球体は『デス・ムーン』と呼ばれ、惑星チキュウが開発した兵器だった。これは以前、チキュウで上映されていた宇宙戦争映画に登場した兵器をベースに製造され、一撃で惑星を消滅させることができるほどの威力をもっていた。
チキュウはアースに向かって警告したところ、アースの宇宙軍はあっけなく速やかに撤退してしまった。両者の兵力の差がありすぎたからだ。
では、なぜチキュウがガイアを救ったのか?
それは、ガイアとチキュウとの間でディールがあったからだ。ガイアの資源の利権をチキュウに与える代償として軍事的な安全保障条約を結んでいたのだ。
こういう裏事情をユースケに教えたのは、バッケン部の部長、ショーヤだった。ユースケはサイエンス大学の寮に入寮した初日にショーヤから声をかけられた。
「隣の部屋に入寮するシオンをマークしろ」
突然のことで驚いたが、要はシオンと友達になってバッケンに入部させろということだった。元々、友達を作りたかったし、将来教師になることを志望していたので、シオンを誘ってバッケンに入部させることに異論はなかった。
しかし、さすがに隣の部屋にいるシオンの交信を傍受しろと言われたときは焦った。それはガイア政府からの指示であり、予めシオンたちアースの惑星探索員をマークしていたのだ。その説明を受けたときにガイアとチキュウとの関係についても聞いていたのだった。
非常事態宣言が解除されて、ユースケは久しぶりに基礎化学実験室へ行ってバッケンのメンバーに会った。みな、緊張から解放されて笑顔がこぼれていた。
「諸君、無事でなによりだ」
みんなに声をかけながら基礎化学実験室に入ってきたショーヤにユースケが尋ねた。
「ショーヤ部長、いったい、あなたは何者なんですか?」
「ワシか?ワシはただのチキュウ人だ」
(おわり)
それっぽいフィクション(SF)のショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
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