興奮_03【熱きアツキ】【シロクマ文芸部】
波の音のように豪快で、何度も押し寄せるような応援が『さいたまダイヤ』のサポーターの特徴だ。テレビで見ているだけでも、ものすごい迫力を感じる。スタジアムへ行ったら、どれほどすごいことだろう。そう考えると敦輝の興奮は収まらなかった。
スタジアムへ向かう電車の中で、敦輝は窓の外に流れる景色をじっと見つめていた。あちこちに見える一軒家やマンションのベランダに『さいたまダイヤ』の赤い旗が掲げられていた。
電車が駅に停まるたび、赤いレプリカユニフォームを着た人たちが次々と乗り込んできて、車内の赤がどんどん濃くなっていく。
「真っ赤だね。父さん」
「ああ、これが『さいたま』という街なんだ」
父はどこか誇らしげだった。スタジアムに近づく頃には、超満員になっていた。小学生の敦輝は、真上を見上げながら金魚のように口をパクパクさせて息をしていた。
電車を降りて駅を出ると、スタジアムへと続く歩道が、まるで一本の太い赤い川のようになっていた。
「すごい!こんなにたくさんのサポーターがいるんだね」
「人気のチームだからな」
「ドキドキするね、父さん」
「そうだろう。俺も何度も来てるけど、いまだにドキドキするなあ」
歩道の脇にある柵には、歴代のフラッグがずらりと並んでいた。父はそれらをひとつひとつ、懐かしむように眺めていた。父の夢は『さいたまダイヤ』のリーグ優勝をこの目で見届けることだった。チームはいまだに一度も優勝したことがなかった。
「父さん、あれがスタジアム?」
「そうだよ。さいたまスタジアムだ」
まだ遠くにあるはずなのに、スタジアムは信じられないほど大きく見えた。近づくにつれて、それはどれほど大きくなっていくのだろう。敦輝の胸の鼓動は、ますます速くなっていった。
ショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
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