古本を_13🌏【バッケン】【シロクマ文芸部】
古本を友人にゆずるものと、処分するものとに分けていた。
シオンが初めて惑星ガイアに到着したとき、先発隊の探索員からガイアに関する情報を体内に埋め込んであるICチップにインストールしてもらっていた。しかし、未だに電子化されていない書物も多く、シオンは情報を得るために本を買い漁っていたのだ。
ガイアを出発する日が近づいていた。
…
先日、惑星アースのスペースコロニーにいる父のカイトからシオンに交信が入った。
「急だが、全探索員にガイアからの退去命令が出た」
「まだ、ガイアに来たばかりですよ」
「詳細は知らされていないが、アースの宇宙軍がガイアを侵攻するらしい」
「それは本当ですか?」
「侵攻はまだ噂の段階だが、可能性は高い」
「ガイアにダウニウムがあることを報告したからでしょうか?」
「それもあるが、先にガイアへ行った探索員からの報告も判断材料になっているようだ」
「そうですか…」
「ガイアは発展途上惑星だから、いまのうちに占領した方がいいと判断したんだろう」
「わかりました。さっそく、戻る準備をします」
…
サイエンス大学の退学手続きを済ませた後、シオンはバッケンの部員たちに別れの挨拶を告げるため、基礎化学実験室へ向かった。
「シオンとは短い付き合いになっちまったな」
「ユースケには色々お世話になったよ」
「で、これからどうするんだ?」
「亡くなった父親の兄弟が見つかってさ」
「それで?」
「子どもに恵まれなかったようで、僕を養子に迎えたいってことになったんだ」
「大学卒業してからでも、遅くはないのに」
「それはまあ、色々あってさ。…あの、実はさ…」
シオンはユースケだけでも何とか助けたいと思っていた。アースが侵攻した惑星の先住民たちは、ことごとく奴隷のように扱われるからだ。
「実はなに?」
「いや、なんでもない。もう、会えないかなって思ってさ」
「そんな、どこかの惑星に行くわけじゃないんだろ」
「それは、まあ、そうなんだけど…」
シオンはバッケン部員への別れの挨拶を済ませると、宇宙船へと向かった。
それっぽいフィクション(SF)のショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
小牧幸助さんの企画に参加しています。
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