追跡_12【シロクマ文芸部】【lpz.89】
レシートに記されたような断片的なメモ『lpz.89』を頼りに、凌太とエリカはドイツ・ライプツィヒ郊外にある廃墟の研究所『コールド・コード・ラボ』へと辿り着いた。その廃墟にはメモを残して失踪した希実の痕跡がいくつも残されていた。希実の存在を確信したのも束の間、彼らを追う組織「ペトロフ・コネクション」が迫っていた。
エンジンの音が更に近づき、研究所の前で停止した。きっとペトロフ・コネクションの奴らだ。彼らがこの部屋に入ってくるまで、残り数分もない。
「彼らが来るわ!早く逃げないと」エリカが焦りの声を上げたが、凌太は秘密のマークの前から動かなかった。
「待って、エリカ。希実は、ただここにいたことを知らせただけじゃない。彼女は、何かを伝えるために、このマークを残したんだ」
凌太は学生時代の頃を思い出していた。このマークの意図することを。そうだ!宝探しゲームだ!
あるものを隠したときに、二人にしかわからない秘密のマークを作っていたのだ。そのマークはロッカーを示していて、下の線は指数を、小さな丸は8を意味していた。2の8乗で256。つまり、256番のロッカーに何かが隠されているはずだ。
足音が徐々に近づいてきている。
「リョウタ、もう時間がないわ!」
エリカは凌太の手を引いて奥にある階段へ向かった。一旦、地下に降りて反対側にある元の入口に戻ろうとした。
「二手に分かれましょう」
エリカは地下室を時計回り、凌太は反時計回りで入口を目指すことにした。
ショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
小牧幸助さんの企画に参加しています。
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