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接続_18【シロクマ文芸部】【lpz.89】

( 前 話 / 登場人物と目次 )


炭酸の入った水を飲み干すと、凌太はようやく一息つくことができた。サイバー攻撃の元凶である『レプロ』を停止させためのキーマンである、ギド・エンゲルスを説得することに成功したのだった。

前回まで


ギド・エンゲルスが協力を決意したことで、小屋の雰囲気は一変した。エンゲルスはレプロの古いプロトタイプの端末機を撫でていた。

「マスターキーコードは、ここにはない。私の最後の予防策だ」

エンゲルスは重々しく言った。

「コードは、ライプツィヒ郊外の廃駅にある『プロテクトサーバー』に保存してある。あそこは、かつて『レプロ』を開発した研究施設と秘密裏に接続されていた場所だ」
「なぜそこに?」

希実が質問する。

「マスターキーコードは、稼働しているネットワークに接続されていなければ引き出せない。それに、外部から無理にアクセスすれば、コード自体が消滅してしまう可能性がある」

つまり、危険を冒して、起動中のプロテクトサーバーに直接接続してコードを生成させなければならないのだ。

「目的地は決まったわね」

ことの成り行きをうかがっていたエリカはみんなをレンタカーに乗せると、アクセルを踏んだ。エリカは運転しながらスマートフォンを操作して、何度も行き先をチェックしていた。



目的地である廃駅の近くにレンタカーを止めると、凌太は周囲の警戒を強化した。

「まだ奴らの気配はない。急ごう」

凌太、希実、そしてエンゲルスの三人は廃駅の地下にあるプロテクトサーバーが設置されている部屋に入った。室内は薄暗く、埃にまみれていたが、中央に置かれた古いネットワーク機器だけが、まるで生きもののように稼働していた。

希実がノートパソコンを起動させて、サーバーへの接続を試みた。そのとき、外で車が急停止する音と、男たちの荒々しい足音が響き渡った。

「ペトロフ・コネクションだ!もう来やがった!なんで、奴らはいとも簡単に俺たちの前に現れるんだっ!」

凌太が緊張で息を呑んだ。エンゲルスは覚悟を決めた表情で、懐から古い真鍮製のペンダントを取り出した。それは二つに割れて、片方は端子になっていて、もう片方の内側には数式が刻まれていた。

「これがマスターキーコードを引き出すための認証キーだ。私が時間を稼ぐ。お前たちはマスターキーコードを生成させろ!」

エンゲルスはペンダントを凌太に託すと、迷うことなく部屋を出て、大きな声でペトロフ・コネクションを挑発し始めた。

「凌太!認証キーを。早く!」

希実の手に汗が滲んだ。ペンダントを受け取った希実は半分の端子をサーバーの特殊なポートに接続した。もう半分に記されている数式を解読しながら入力するとノートパソコンの画面上で、ついにマスターキーコードの生成プロセスが始まった。それは、桁数の多い、超高速で変化するデジタルコードだった。

「お願い、間に合って、お願い…」

希実は祈った。

(つづく)



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ショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。

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