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都市部でのドコモの通信品質2026夏📶 ~ドコモの足を引っ張る「spモード」

全国に広いエリアを展開し、ユーザー数でも国内最大シェアを誇るNTTドコモですが、通信品質には課題を抱えています。

世間ではコロナ禍による行動制限が緩和されつつあった2022年頃より「パケ詰まり」が指摘されるようになり、2023年4月にはドコモ自ら「ここ数カ月、都市部の繁華街などでつながりにくくなる…事象を認識している」と認めざるを得ないところまで悪化しました。

現任の前田社長は2024年の就任早々、「ユーザーの声と誠実に向き合い解決していく」として通信品質の改善に取り組む姿勢をアピール。親会社のNTT持株会社もドコモの通信品質改善を「徹底的にやる」としており、今やドコモの通信品質改善はNTTグループの重要課題になっています。

ドコモが都市部の通信品質の改善に取り組むようになって早3年。どのように変わったのか、または変わっていないのか。今回は、2026年7月時点の都市部でのNTTドコモ回線の使い勝手に着目してみたいと思います。

なお、本稿に掲載した計測例は特記ない限り、筆者の生活圏である首都圏において2026年7月に計測したものです。電波は生き物のように変わるので、いつも同様の結果が出るとは限らず、明日にはガラッと変わっていることもあり得ます。あくまで計測時点での計測例のひとつとして、参考程度にご覧いただければと思います。

(冒頭の写真はドコモが重点的に電波対策をしている渋谷駅ハチ公口での計測例)


高品質なサービスを提供している日本の通信キャリア

筆者は国内4キャリア全てを使えるようにしていることは、以前にも度々書いています。

そして、日頃から複数台持ちしていることは、実機レビュー比較動画などを見ていただいている方には今更言うまでもないでしょう:)。

複数台持ちにデュアルSIM機能も使って、全4キャリアを使えるようにしてあるので、人でごった返す大都市から人家まばらな山間地、さらには尾瀬などの山岳観光地に至るまで、各所で4キャリアの使い勝手を体感しています。

日本の通信キャリアは高品質なサービスを提供していますが、今でも地方によっては、ドコモ以外がつながらない場所も散見されます。観光地を別にすると、今でもエリアの広さに関してはドコモに勝るキャリアはないと思います。

逆に、都市部の繁華街や混雑する鉄道沿線などの4キャリアが通信品質を競っているような場所へ行くと、圏外になることは稀ですが、混雑エリアなだけに、キャリアによって使い勝手に大きな差が生じることを、実機をもって知ることができます。

なお、都市部では地下鉄などの地下エリアの整備にも各社しのぎを削っていますが、今回は地上の混雑エリアに話を絞ります。地下エリアについては他の記事を参照してください。

無線区間の混雑は最悪期を脱したが…

まずは結論めいた話になりますが、筆者の行動圏で試した範囲では、2022~2024年にかけての最悪期を少しずつ脱しているように感じます。

最悪期には東京都心部の繁華街では混雑時間帯になるとほとんど通信できないことも多かったのですが、2025年後半頃より改善し、今は全く通信できない「パケ詰まり」状態はほぼ見なくなりました。

2023年10月の平日早朝の閑散時間帯に渋谷駅ハチ公口で計測した例

とはいえ、日本の通信キャリアはみな高品質な通信サービスを展開していますし、ドコモが追いかけている間に他社が待ってくれるわけはありません。

とりわけ2社(KDDIとソフトバンク)ははるか先を行っているように思います。KDDIは 5G n77・78 の面展開を成功させて今では通信品質世界一とまで言われていますし、ソフトバンクも既存周波数の転用を進めるなどして他社に先駆けて5Gエリアを展開しました。実際に使い比べると都市部での差は歴然。

ドコモも追いかけてゆくでしょうが、背中は遠いように感じられます。NTTグループがお家騒動を繰り広げていた頃(後述)から4~5年分の遅れを取り戻すのは大変そうです。

2026年7月の povo 2.0 の計測例(渋谷駅ハチ公口にて、5G n257 対応機種で計測した例)

ドコモ直営とMVNOを比べてみよう

今のドコモをKDDIやソフトバンクと比較すると「もっとがんばりましょう」で話が終わってしまいますが(^^;、もう少し深堀りするために、今回はドコモ直営とMVNOを比べてみることにしました。

…と言うのは結果論なのですが(^^;、今回は久々にahamoを新規契約してみたんです。言わずと知れたNTTドコモの格安プランであり、今のドコモのユーザー獲得の柱でもあります。

楽天グループ株主優待SIMをMNP転出してみたことは前回書きましたが、株主優待SIMが今月で自動解約になります。まあまあ覚えやすい電話番号だったので残しておきたくて、でも他のキャリアの契約を動かす予定はなかったことと、ahamoでは各種キャンペーンを強化していてお試しで使いやすい負担感になっていたこともあって、数年ぶりにドコモ直営のahamoを使ってみることにしたんです。

ahamoは以前にも使っていたのですが、ドコモ回線の通信品質劣化で使い物にならなくなった2022年頃に、MVNOの日本通信SIMに変更した経緯があります。

筆者は4キャリアの回線を全て持っていると言いましたが、厳密に言うとMNOとMVNOではバックボーンが異なるので(後述)、ネットワークを使い比べるならば、MNO直営の契約で揃える方が望ましい。しかしドコモ回線は通信品質の劣化が著しかったことから、MVNOの中でも比較的ネットワークの品質を測りやすい(後述)日本通信SIMを使っていたんです。

よって、筆者はこの間もずっとドコモ回線(の無線部分)の具合は見ていましたが、ドコモ・ahamoのバックボーンである「spモード」の具合を見るのは4年ぶりとなります。

ちなみに今回ahamoが復活したからと言って日本通信SIMを解約する予定はなく、日本通信SIMは通話用に引き続き使いますが、契約プラン「合理的みんなのプラン」のデータ容量を持て余している状況です…もったいない!

そして、ahamoは大盛りオプション最大3ヶ月間実質無料キャンペーンを実施していたので、大盛りオプションを付けてあります。最初の3ヶ月は月々110GBも使えるわけですが、絶対に持て余すでしょう…もったいない!

というわけで、今回久々にahamoを契約したことで、日本通信SIM(ドコモ系MVNO)とドコモ直営の両方の通信品質を比べてみることができるようになりました:)。

(ドコモの他のプランに比べて)「ahamoだけ遅い」などという噂が独り歩きしてしまうほどに劣化したドコモ回線の通信品質ですが、実際に比べてみて、その実態を少し覗いてみましょう。

なお、ahamoは 5G SA に対応していますが、今回の計測は全てNSAで行っています。7月はNSAで使ってみて、8月頃に 5G SA 契約に切り替える予定なので、もし所見があれば改めて記事にするかもしれません。

モバイルネットワークのボトルネック箇所

MNOとMVNOのネットワークは、共通点も多いものの、少し違いがあります。簡単ですが図を描いてみました。

MNOとMVNO比較概念図
(プロンプトを書くよりも自分で描く方が早いので生成AIは使っていません)

主に、図の4箇所にボトルネックになり得る場所があります。

①ドコモ回線(無線区間)

の無線区間では、MNOとMVNOの差はありません(※)。

※5G SA が普及するとスライシングなどの技術が入ってくるので、差ができる可能性はありますが、今のところ差はありません。また、いわゆる「フルMVNO」になると、モバイルネットワークの加入者管理機能などをMVNOが持つようになりますが、ボトルネックになりやすい無線区間には影響しません。

ドコモ回線が「遅い」と言われている主因は、この無線区間が弱いから。と言っても基地局数が少ないというより(※)、設計の悪さ(5G n79 偏重で n78 の整備を怠った混雑する鉄道駅付近や繁華街での整備を怠った)や設備の古さ(5G展開期に設備投資を抑制したことや、後述する国内ベンダの技術力不足)が要因になっているようです。

※新規参入の楽天モバイルの場合は、設備は新しいものの、基地局数が足りていないので、ひとくちに通信品質と言っても要因は異なります。

抜本的な対策は基地局を増やすこと(※)になりますが、併せて新技術の導入(後述)も行われています。

※単に基地局の場所を増やすだけでなく、5G n79 しか吹いていない場所に n78 用の設備を増設する等もあります。

②MVNO特有の「POI」

のPOIはMVNO特有。昨今のMVNOはここの接続幅(一度に通信できるデータ量)で接続料を決める契約形態が一般的なため、MVNOでは混雑時間帯(※)に限ってここがボトルネックになりがち。

※平日昼休みや通勤通学時間帯の全国的な速度低下はここが原因で起きています。

とはいえ電車に混む時間帯と空いている時間帯があって、基本的には混雑時間帯でも詰め込んで乗れる程度には車両が用意されているのと同様に、インターネットにも混む時間帯と空いている時間帯があって、混雑時間帯でも辛うじて捌ける程度には設備容量が確保されているので、混雑時間帯以外にはMVNOがボトルネックになることはあまりありません。

喩えるなら、①の無線区間は線路容量、②のPOIは車両数とでも言えましょうか。車両不足で入場制限になるようだとクレームが出るので、ラッシュ時間帯でも詰め込んで乗れる程度には車両(本数)が確保されているのと同様、MVNOでも最混雑時間帯に入場制限(0bpsやパケットロス)にならない程度には帯域が用意されています。でも閑散時間帯にはその帯域を持て余すので、オフピーク通勤すると電車が空いているように、混雑時間帯を避ければMVNOも空いているわけです。

そして②のPOIは全国で1~2箇所。つまり全国のユーザーが集中するので、平日昼休みなどの混雑の影響はもろに出ますが、局地的な混雑は平準化されるため、繁華街やイベント等の局地的な混雑の影響はさほど生じません(局地的な混雑では①の無線区間が先に詰まります)。

そんなわけでMVNOはオフピークすれば、MNOと同様に①の無線区間がボトルネックになりがち。ここは電車で言えば線路容量です。いくら車両を用意しても、線路容量が不足したら走れませんよね。今のドコモで問題になっているのはこの状態です。

よって、MVNOを使っていても、混雑時間帯を避け、素直な通信速度が出るMVNOを使えば、①の無線区間を測ることができるわけです。

ちなみに厳密に言うとahamoはドコモ直営のISP「spモード」につながっているのですが(※)、MNO直営の場合は接続料の支払いがないので、通常はMVNOのような問題は生じません。

※昔は「spモード」以外のISPもありました。今でも「mopera U」というのがありますが、他のISPもドコモ回線に参入していてISPを選べた時期もありました。

そして、ahamoは契約上は「spモード」ではない(※)(そのためドコモメールが使えない)のですが、APNは共通で、接続するISP(インターネットへの通り道)は「spモード」なんです。

※ドコモの料金プラン(ahamo、旧irumoと「ドコモmini」を除く)ではISPが別扱いになっていて、通常はspモードをセットで契約します。一方、ahamoの契約約款等はここにありますが、ahamoは5Gサービス契約約款において「コースB」という別扱いになっていて、ISPに相当する「ahamoインターネット接続サービスご利用規則」が用意されていて、契約上はspモードではありません。でも接続先(APN)は同じ(spmode)です(^^;

ややこしいですが、サービス名としての「spモード」とISPの「spモード」(spmode)が存在していて、前者はahamo対象外だが、後者はahamoも使っている、と理解しておいてください…

③「spモード」がボトルネックになることも…

ISPは、データの通り道を提供するとともに、IPアドレス(IPv4・IPv6)の割り当て、アドレス変換、ルーティング(データの仕分け)などを行っています。

ここがボトルネックになることもあまりないのですが、IPv4しか対応していないISPではアドレス変換等の処理が増えることから、僅かに遅延が増す傾向があります。

実は、その典型例がNTTドコモの「spモード」でして…

昔はともかく、今は他のMNOで③ISPが問題になることは(ドコモ以外では)ないのですが、ドコモでは昔っから「spモード」が鈍重(高遅延)でした。その古いISPを、いまだに引きずってしまっているようです。

4キャリアの中で、先駆けてIPv6に完全対応したのはソフトバンク(※)と、開始時よりIPv6にフル対応していた楽天モバイルでした。KDDIは意外と遅くて、5G対応の際にIPv6にフル対応しました(取り組みは早かったのですが実環境への本格導入はSB楽天に先を越されました)。

※iPhoneは機種によりIPv6を使えません。AndroidはAPNを書き換えると使えますし、最近の機種は対応済みになっています。

IPv6に対応すると、IPv6同士の通信ではキャリアグレードNATなどのボトルネック装置を通らなくなって、ネットワークが簡素化します。途中の処理が減ればそれだけ遅延を減らすことができ、Google系やNetflixなどのIPv6に対応しているサービスで効いてきます。

空いている時間帯であれば影響は微々たるものですが、混む時間帯にはいろんなボトルネック箇所が詰まるようになります。例えばJR東日本が「Suica」を開発した時には1人あたり0.2秒という超高速処理にこだわったことが知られていますが、空いている時間帯や地方路線であればこんな高性能は要りません。でも都市部のラッシュ時に改札がボトルネックにならないために、これだけの高性能が必要とされたのです。

モバイルネットワークでも同様に、無線部を高速化・低遅延化するのに併せて、バックボーン(ISP)も高速化・低遅延化せねばボトルネックになりかねません。

そこで高速・大容量・低遅延が売りの5Gが始まる際には、他のMNO各社はISP部分も更新しました(楽天モバイルは最初から5G対応)。でもユーザーがバックボーンの性能を測るのは困難ですが、新しいネットワークはIPv6に対応しているので、ここが目安になります。

ところがNTTドコモでは、いまだにIPv6対応が不安定。2026年7月になっても、時によりIPv6を使えたり、使えなかったりしています(※)。正直酷いなと思います。

※「FAST SPEED TEST」を使わなくても、 https://test-ipv6.com/ でIPv6利用可否を確認できます。IPv6対応を確認するにはこちらの方が確実です。

一方、例えばMVNO最大手のIIJでは早くからIPv6に完全対応していて、通信速度こそ抑えられがちですが(後述)、比較的低遅延な通信サービスが提供されています。

用途にもよりますが、Webサイトやアプリの利用、地図などの、通信速度(伝送量)よりも低遅延(反応の良さ)が利点になる用途において、ドコモの「spモード」を使うよりもIIJの方が快適という場面もあります。

③ネットワーク品質を測るのに適した日本通信SIM

③が2つ出てきたのは誤字ではありません。先ほどはMNO(ドコモ)、こちらはMVNOの話になります。

MVNOでは②のPOIがボトルネックになりやすいという話をしましたが、③のISPにも違いがあります。ユーザーの通信量を平準化することで平均的なスループットを向上させる目的だと思われますが、MVNOでは意図的に通信速度の制御が行われていることも多いんです。

筆者が日本通信SIMを愛用しているのは、もちろん料金が安い、70分通話パックが便利といったこともあるのですが、日本通信ではそうした制御があまり行われておらず、空いていれば素のネットワーク速度を観察しやすいのです。

対して、MVNO最大手のIIJなどは、混雑時間帯に速度低下することは共通していますが、閑散時間帯にも常に規制されていて、深夜早朝等の空いている時間帯にも通信速度の頭が抑えられています。So-net(NUROモバイル)などにも同様の傾向が見られます。それでも(空いていれば)100Mbps程度は出るので一般的な利用においては問題にならない程度なのですが、IIJはドコモ回線そのものの通信品質を観測する用途には向きません

その点、日本通信SIMは空いている時間帯に使えばMNO並みの速度が出ますので、今回のようにドコモ回線そのものの通信品質を観測する際に使うこともできます。

最後のIXとは、ISPが相互に接続している拠点で、ISPのインターネットへの出入口です。

IXも昔は混むことがありましたが、今はボトルネックになることはあまりないと思います。でも時と場合によりボトルネックになり得る箇所のひとつとして図示しました。

ときにMVNOよりも遅くなるドコモ

前説が長くなりましたが、通信品質を測る上で欠かせない予備知識なので、ご理解くださいね。

ここまで見てきたように、モバイルネットワークには主に4つのボトルネック箇所があるのですが、今のドコモ(MNO)の通信品質で問題視されているのは専ら①の無線区間(基地局)です。

ahamoよりも日本通信SIMの方が快適!?

ところが、筆者が試した範囲では、ahamoでは①のみならず③のISPが原因と思われる速度低下も少なからず見られました。

平日日中の比較的空いている時間帯に、同じ場所でahamoと日本通信SIMを計測した例(1)

例えば、上の図はいわゆるスピードテスト系アプリでの計測例ですが、なんとびっくり、ドコモ直営のahamo(左)よりもMVNOの日本通信SIM(右)の方が快適(高速・低遅延)な場面を少なからず見かけたのです。

同じ場所で、ほぼ同じ時間に計測していますので、①の無線区間(基地局)はほぼ共通ですから、③のISPが原因と思われる速度低下です。こんな感じの逆転現象(※)が一度や二度ではなく、そこそこ起きているので、びっくりです。

※一般には MNO > MVNO と認識されていますが、その逆が起きているという意味です。

ドコモの通信品質問題といえば①の無線区間(基地局)という認識の人がほとんどだと思いますし、筆者もそうでしたが、実は③のISP「spモード」もだいぶ足枷になっているんだなと、同じ無線区間(ドコモ回線)を使うMVNOと比較してみたことで認識できました。

ただし毎回こうではなく、「spモード」でIPv6を掴む時もあります。この場合は一般的な認識の通り MNO > MVNO になることが多いです。

ahamo でIPv6を掴んだ時の計測例(左)と、ほぼ同じ日時場所にて日本通信SIM(MVNO)の計測例(右)

補足すると、一般にIPv6対応により遅延(レイテンシ)の改善は見込めるものの、いわゆる通信速度(bps)にはあまり影響しません。でも、おそらくIPv6に対応していないネットワークは古いので、他の要因が合わさって足を引っ張っているものと思われます。

そして、ahamoの側に「OCN (NTT Com)」と表示されていますが間違いではなく、NTTドコモの「spモード」です。

NTT(持株会社)は2020年頃から大胆な子会社の再編を行っており、2020年 9月29日のNTT持株会社によるNTTドコモの完全子会社化を皮切りに、翌年の2021年12月14日にはNTTコミュニケーションズ(NTTcom、後に社名変更して現在は「NTTドコモビジネス」)などがドコモの傘下に入る大規模な再編が行われました。

NTTcomは「OCN」ブランドで法人および個人向けのISP事業を展開していますが、ドコモの傘下に入っていることもあり、IPアドレスは共通運用になっているのでしょう。

今回の計測に使っている端末

後先になりましたが、今回は、ahamoでは「Xperia 1 VIII」を、日本通信SIMでは「Find X9 Ultra」を使っています。どちらも2026年発売の最新ハイエンドモデルで、SoCには最新の Snapdragon 8 Elite Gen 5 を搭載しています。そして、どちらもSIMフリー機種ですが、ドコモ5Gの主力バンドである 5G n79 にしっかり対応しています。

5G n257(いわゆるミリ波)はXperiaしか使えませんが、ドコモの 5G n257 はなかなか掴まず、掴んでもあまり効果を実感できないことが多いので、今回は割愛しています(機会があれば改めて書くかもしれませんが、今のドコモ回線はあまりにn257を掴まなさ過ぎて評価不足です)。

JR代々木駅(NTTドコモ代々木ビル)での計測例
KDDI回線の povo 2.0 は 5G n257 を掴んで余裕の下り1.5Gbpsでしたが…
せめてここではドコモにもn257を掴んでほしかった(^^;

そして、他社(povo 2.0、Y!mobile、楽天モバイル)で比較すると、5G n257 を掴まない場所では両機の通信の性能差はほぼ感じられなかったので、両機に(対応バンド以外の)無線性能の差はほぼないと判断しています。

その時々で当たり外れの大きい「ISPガチャ」

MVNOの方が遅いのならばよくある話ですが、ドコモ(ahamo)はMVNOよりも遅いことがしばしばあるのには驚きました。

ドコモの「spモード」のどこに問題があるのかは正直よくわからないのですが、ひとつ言えることは、ドコモの「spモード」は接続しに行く度にISPの挙動が二転三転します。

現地ではahamoと日本通信SIMだけを計測しているわけではありません。ahamoを入れている Xperia 1 VIII には povo 2.0(KDDI回線)と Y!mobile(ソフトバンク回線)も入れてあって、3キャリアを切り替えながら使えるようにしてあります。

余談ですが、最新のXperiaはクイック設定パネルを引き出して1タップでデータSIMを切り替えることができて便利です:)。

それで他社を計測してahamoに戻すと、ISPの挙動が変わっていることがしばしば。どうしてこんなことになってしまうのか、筆者も理由を知りたいくらいです。

念のため補足しますが、IPv4でもそこまで大きな遅延にはならず、まあまあの通信速度が出る時もあります。でも「spモード」は使える時と使えない時の落差が大きく、予測も困難。要は、あてにならないことが問題だと感じています。

ahamoの計測例(JR秋葉原駅)

ahamoの足を引っ張る「spモード」

筆者は他社もよく計測していますが、povo 2.0(KDDI回線)や Y!mobile(ソフトバンク回線)で同様の不安定な挙動が気になることはないですし、エリア整備に課題がある楽天モバイルでもISPは安定して低遅延です。

人が多い鉄道沿線や繁華街、イベント会場等では①の無線区間の電波状況がコロコロ変わるのですが、①の無線区間の混雑はMNOもMVNOも等しく影響を受けます。

povo 2.0(KDDI回線)の計測例 混雑エリアでは同じ場所で計測しても①の無線区間の状況によりスループットが変わる(左は 5G n257 を掴んだ時、右は 5G n77 を掴んだ時)

一方、前述したように、③のISPは局地的な混雑の影響を受けません。IPv6アドレスを掴んだり掴まなかったり、ときに同じ場所で計測したMVNOより遅くなったり、という挙動はドコモ特有で、他のキャリアではあまり見られないものです。

「spモード」のIPv6対応の経緯

ドコモのWebサイトを見ると、「対応端末をご利用の場合でも、接続されたドコモの通信設備によっては(略)IPv4アドレスのみの割り当てとなる場合がございます。」と注記されています。

ドコモからすれば想定内の挙動なのでしょうが、どうしてこうなってしまうのでしょうか。いまだに新しいネットワークと古いネットワークが混在しているのでしょうか。筆者は以前にもahamoを使っていたと言いましたが、実は2021年頃もこんな感じでした。

ドコモでは5年前の2021年7月より「IPv6シングルスタック接続試験」を実施していましたが、当時もIPv6アドレスを掴んだり掴まなかったりという状況でした。でもその頃はまだ「spモード」でのIPv6対応が始まったばかりだったので、過渡的に仕方ないのかなと思っていました。

その後2022年夏頃にはほぼIPv6を掴むようになっていたのですが、まさか4年も経った今になって昔に逆戻りしたような使い勝手になっているとは驚きです。

通信品質の建て直しは道半ば

前半で書きましたが、筆者は4キャリアを使い分けているので、各キャリアの通信品質を実感できます。そんな筆者は2021年頃からドコモの通信品質低下を感じていました。ドコモは2022年にspモードの障害を度々起こした時期もありましたが、その頃にはとうに限界を迎えていたのではと思います。

NTTグループでは2023年頃まで「ドコモの最大の売りは高い回線品質」だという意識でいたようですが、2023年4月になってようやく、「ここ数カ月、都市部の繁華街などでつながりにくくなる…事象を認識している」と、ドコモ回線に通信品質問題があることを認めました。

ドコモは2022年頃まで設備投資を抑えていたものの、通信品質問題を認めた2023年頃から方針転換。2025年度には設備投資を増やして、まずは東京都心部などの繁華街と山手線などの鉄道沿線で基地局設備を増強。2026年夏までの3年で、最悪の事態を脱するところまではきたようです。

ドコモ5Gの問題点

ドコモにも事情はあって、当初「瞬速5G」と謳って整備した 5G n79 がほぼ日本(と中国)でしか使われないようなローカルバンドのため対応端末が少なかったこと。そして従来のドコモが主に採用していた国内メーカー(富士通、NEC)の基地局設備は Massive MIMO などの新技術に対応していなかったこと。

対応端末の多い国際バンドの 5G n77・n78 を大きく展開したKDDIが通信品質世界一と評されたのとは対照的です。ドコモは見込みが甘かった、アテが外れたということでしょう。

そして他キャリアは基地局増強のみならず、Massive MIMO などの新しい技術を導入することで収容能力の拡大を図っていますが、Massive MIMO を提供できる国内メーカーはなく、国内メーカー製品を採用していたドコモは新技術に対応できていませんでした。

ドコモは別途進めていたO-RAN化の流れで海外メーカー製品も部分的に採用していましたが、2024年に方針転換し、エリクソン製ノキア製の Massive MIMO 対応設備を2025年より本格導入(※)しています。

表立っての話はありませんが、おそらく国策として、経済安全保障の観点から、国内ベンダー製品を採用していた経緯もあったのだろうと思います。実際、国内で無線設備を開発していたNECは2026年1月に基地局事業からの撤退方針を表明しています。ただしvRANは続けるとしているので、楽天モバイル向け事業は継続し、ドコモ向け事業を終息するのでしょう。

※ちなみにノキアは2014年にパナソニックの基地局関連事業を買収しており、ドコモはその頃から取引があるようです。エリクソンはソフトバンクの基地局設備の大部分を納入しています。

KDDIやソフトバンクはほぼ海外メーカー製品を調達しているので、ドコモも海外メーカーに転向すると、国内で携帯電話基地局関連の技術開発が立ち行かなくなってしまう…でも3年待っても日本メーカーの技術開発力は海外メーカーに追いつかなかった…そんな苦渋の決断もあったのかもしれません。

このように、①の無線区間の再整備は徐々に進められているようです。時間はかかるでしょうが、しっかり建て直してほしいと思います。

しかし、③のISP、「spモード」の対策は見えてきません。筆者も実際に見比べてみるまではあまり意識していませんでしたが、当事者のドコモでも「spモード」が酷いことになっていると意識すらされていないのではと気がかりです。

営業面では成功したが、技術面では失敗したドコモ

NTT持株会社からドコモに送り込まれた井伊社長(ahamo開始当時、企画時点では副社長)の下で企画され、鳴り物入りで登場したahamoは、後発でありながら「格安スマホ」を代表するような存在になりました。

当時はまだ(他のMNOを含めて)キャリアショップ(ドコモショップ等)に行かないと契約も手続きもできない時代でしたが、その頃にショップ手続きを廃して完全オンライン手続きを打ち出したのも画期的でした(※)。

※実際には完全オンラインになっておらず、郵送やショップへ行かされる手続きもありましたが(^^;。

ドコモはショップが強かっただけに、その強固な基盤をあえて使わない判断をするには、イノベーションのジレンマがあったことと思います。ahamoは当時の井伊副社長の下に集められた入社数年目の若い社員さんが中心になって企画されたそうなので、そこが突破口になったのでしょう。そしてahamoをきっかけに他のMNOでもオンライン手続きが一般化しました。ショップに依存しないオンライン専用プランを盛り上げたことは、ahamoの大きな功績だったと思います。

しかし、いくら商品(料金プラン)が良くても、肝心要のネットワーク品質で劣後してしまっているのが今のNTTドコモ。

経営者は人を動かす立場なので、技術出身の経営者になれば技術面がうまくいくとは限りませんし、営業畑の経営者が技術で成功する場合もあるでしょう。今のドコモは、「瞬速5G」を掲げた5Gの立ち上げ期に技術出身の吉沢社長がNTTのお家騒動に巻き込まれる形でハシゴを外され、営業出身の井伊社長時代に設備投資を抑制して傷を拡げました。今のドコモネットワークの体たらくの背景に親方日の丸NTTのお家騒動があったであろうことは、想像に難くありません。

その反省を受けてかは知りませんが、現在の前田社長は元リクルート出身という異色の人事になりました。生粋の営業畑で、ネット銀行の買収など金融事業の再編に大ナタを振るいつつ、設備投資も増やそうとしています。

経営者目線では金融などの新領域を育てることを重視されるのは理解しますが、ユーザー目線では何よりもまず根底のネットワークの建て直しをしてほしいと思います。でもドコモ回線が酷いと言われるようになって早3年、ここまで見てきたように、ネットワークの建て直しはまだ端緒についたばかりという状況のようです。

個人的には、地に落ちたドコモの通信品質が今年こそは改善するのではとの期待も込めてahamoを契約してみたので、筆者が試しているうちに目に見えて改善してくれることを願っているのですが、4年前から変わらず不安定な「spモード」は不安要因になりました…こればかりは使ってみないと判らないとはいえ、正直落胆しました。

ぜひ筆者が試しているうちに改善してほしいと願ってやみませんが、そもそもドコモさん、「spモード」が酷いと認識されていますかね?まさか「ahamoはspモードを使っていない」とか思っていないですよね?

なお、今回は便宜上ahamoを例に挙げていますが、ahamoと他のドコモの料金プランの通信品質は同じです。「ahamoが遅い」のではなく「ドコモが遅い」のであることをお断りしておきます。


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