#創作大賞2026 #エンタメ原作部門 納豆チャンピオンへの道 第11章|How To Make Natto-Champion|怒涛の3連取!一滴のタレに潜む罠
20点リードしていた三井田さんが選んだ20点問題は「ノンセクションB」だった。
すると目の前にホワイトボードが運ばれ、そこに納豆のラベルが5枚ランダムに並べられていた。
「最初の20点問題!
タカノフーズ「おかめ納豆」のラベルを古い順に並び替えて下さい。
よーい、スタート!」
3人は一斉にホワイトボードに走り寄り、5枚のラベルを見つめた。
茨城出身の僕は、茨城の納豆メーカーで馴染みがあるで、すぐに分かった。
ダッシュして席に戻り、ボタンを押した。
ピンポーン!
しかし自分の席の札は上がらなかった。
(え?)
一瞬ボタンの故障かと思ったら、隣の高野さんがタッチの差で回答権をゲットしていた。
「茨城のくめ納豆の高野くんが、同じ茨城のタカノフーズの問題を正解するのか?!」
高野さんがゆっくり、ホワイトボードに向かいライバル会社の5枚のラベルを並び替えた。
高野さんの回答を見ながら僕は2度頷き、口元を少し緩めほくそ笑んだ。
「高野くん!その順番でいいですか?」
「はい!」
高野さんが自信たっぷりに答えた。
___ブッブーーーッ!
「ザンネ…!」
(よっしゃー!)
ピンポーン!
とジモンさんが言い終わる前に、僕はボタンを連打して、回答権をゲットした。
「おっと空かさず、蒲生さんに回答権が回った!」
高野さんが肩を落としながら、席に戻ると、僕は高野さんが並べたラベルの1枚目と2枚目のラベルを交換した。
「蒲生さん!その順番でいいですか?」
「よろしくお願いします」
ピンポーン!ピンポーン!
「正解!!
さあ、これで蒲生さんが三井田さんに並び同点だーーっ!
蒲生さんが並び替えたラベルは一見同じように見えるんですが、
何が違うんですか?」
「有限会社と株式会社の社名の違いです」
2問目も棚ボタで正解し、思わず苦笑いしてしまった。
ちなみにタカノフーズは1932年(S7)に「高野徳三商店」として創業、1957年(S32)に「有限会社おかめ納豆本舗」へ法人化、1979年(S54)に株式会社に改組、1985年(S60)に今のタカノフーズに社名変更した。
この問題により高野さんの「タカノフーズの回し者」疑惑は解消された。
そして2回目の問題選択権が与えられた。
「加工品の20でお願いします」
次の問題はまたしても目隠し問題だった。
再びアイマスクで目隠しされて、テーブルの上にお皿が置かれた。
「どこのメーカーの何という商品かを当ててください
よーい、スタート!」
ジモンさんの合図でお皿に手を伸ばすと、約3cm四方の固形物だった。
すぐに口の中に入れてると、口の中の水分がみるみる固形物に吸い取られていった。
(フリーズドライ納豆だ。でも、どこの……?)
じわりと溶け出した瞬間、納豆の風味の奥から、ヌルッとした独特のコクが広がった。
(ん?この粘り気……まさか、とろろ!?)
ピンポーン!
脳内データベースがスパークし、僕は夢中でボタンを叩くと、ここで初めて一番目に回答権をゲットした。
「おっと!今度は蒲生さんが最初にボタンを押した!
回答をどうぞ!」
アイマスクを外し、二人の様子を見ると、高野さんは俯いたままだったが、三井田さんは「先を越された」と言わんばかりに苦虫を噛むような表情をしていた。
「奥野食品のとろろ納豆」
ピンポーン!ピンポーン!
決勝ラウンド1問正解が最終目標だったのに、2問連取して3問正解した。
「正解!
これで蒲生さんが一気がトップに躍り出た!
どこでわかりました?」
「フリーズドライの納豆の中に、とろろも入っているのは
奥野食品さんだけです」
「本来はそのまま食べませんよね?」
「本来は水で溶かして食べるんですが、最初の一口はそのままで食べました」
「納豆開発委員会の委員長は、そこまでするんですね!」
しかもここまで三重県の奥野食品さんの問題が3問出題され、全問僕が正解したことになる。
なんとなく勝利の女神が僕に微笑んだような気がした。
「次の問題をお選びください」
「味の20でお願いします」
するとスタッフ3人が小皿に何かを乗せて持って登場した。
「スポイトに数滴、入れられた納豆のタレをなめて、
どこのメーカーの何という商品か当ててください
いいですか?よーい、スタート!」
一斉にスポイトを口に咥え、タレを押し出した。
(かなり出汁が効いてるな…これは?)
脳内データベースを検索を掛けていると、
ピンポーン!
と先にボタンを押したのは高野さんだった。
「3番手の高野くん、ここで正解するか!?」
「タカノフーズさんのおかめ納豆極小粒ミニ3!」
またしても高野さんが自信たっぷりに答えた。
___ブッブーーーッ!
「ザンネーーン!」
(ここでもタカノフーズ推しとは、
高野さんやはりタカノフーズの回し者か?)
と少々余計なことを考えつつも、どんどん口の中で薄れていく出汁を舌で追いかけた。
(ん?こんぶ出汁の後から、まろやかな風味が追いかけてくる…
あ!コレはやはりタカノフーズのアレに違いない!)
3秒ほど遅れて脳内データベースがスパークしたが、ここでも1秒、手が止まった。
(待てよ…タカノフーズは商品数が多すぎる。
本当にあの商品でいいのか?
他にあのタレを使った商品はないのか?
間違えれば痛いお手付きになり、三井田さんに追いつかれる。
……でも、ここは行くしかない!)
ほんの1秒の間にいろんな考えが頭の中を駆け巡ったが、思い切ってボタンを押した。
ピンポーン!
「リードしている蒲生さん、3問連取なるか!?」
「タカノフーズの北海道丸大豆納豆?」
迷いがあった分、疑問形で答えた。
___ピンポーン!ピンポーン!
「蒲生さん正解!ここで一気に二人を突き放しにかかった!
どこで分かりました?」
「こんぶとホタテの出汁が効いているのは、
コレだけだったと思います」
一滴のタレに潜んでいた罠を辛うじてかわし、なんとか正解して一安心した。
「三井田さん、これは難しかったですか?」
しばらく沈黙を続けていた三井田さんにジモンさんはマイクを向けた。
「僕は基本的にタレを使わない醤油派なので、
この問題は捨ててました」
と、三井田さんはタレ問題に白旗を挙げた。
気づけば20点問題になってから3問連取していた。
全15問のうち8問が終わった時点で、僕がいつの間にか70点となり、三井田さんの30点、高野さんの10点を大きく上回り、後半戦に突入した。
第1章はこちらからどうぞ
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